カナダのバンクーバーで虹彩認証による自動チェックインゲートを展示してるそうで、記事を読むと複数箇所で実証実験も実施中だとか。もうこういうのは無理という事で結論が出たと思ってたんですけど、未だにやってんですね。
システムとしてはカード読み取りの1対1認証、ゲート脇のリーダーにカードを読ませてからポールに備え付けられたカメラの方を見る事で認証するという事で、特に新しい要素は何処にもありません。であるからには、認証の精度、既知の認証困難な場合についてもおそらく同様である筈で、コンタクトやら近赤外光を反射する類の眼鏡類やらの着用者とか、とても細目の人とか、他にもカメラの方を向く際の向きズレの影響だとかで、認証出来ない人が結構な割合、少なくとも数%以上は出るだろうわけで、結局は従来と同じ手続きを残さざるを得ないんですよね。あと、コンタクトで簡単になりすませてしまうのも解決したんでしたっけ?とか。
虹彩認証自体の問題の他にも、記事でも言及されている通り、既にもっと安価な指紋認証を導入してしまっている国がたくさんあるわけで。ICパスポートの仕様変更なんてそうそうできないし、それでも仮に何処かが虹彩を導入したとして、認証方法が国やら場所によって違うというのでは、登録データ管理の面だけでも事実上運用不可能という事になってしまうのですよね。大体、経緯的にテロ防止の観点から一番認証出来なきゃいけないのは外国人な筈なのに、国内限定というのでは意味がないでしょう。
かように、非常に強く今更感の漂う話なわけです。何度騙されたら気が済むんでしょうか。もっとも、開発会社とか政府の関係部門からしてみれば、絵に描いた餅的に実験を続けているだけで仕事をしている事になって結構な金が回るからそれでいい、というかむしろ実際に使われない方が問題が発生しない分望ましい、とか思ってるのかも知れませんけど。何とも馬鹿馬鹿しい話です。仮に導入に成功しても、空港にしろ銀行にしろ、その少ない例を見るにつけ肝心の目的は達成されず、手間が増えるデメリットばかりが残った感じだし、生体認証自体が本来的に多くの人にとっては無駄な、筋の悪い技術なのかな、との思いを深めてしまう次第なのです。今更ですけれども。
AOptix e-Gate could improve global airport security, replace ID checks with iris scans