9/06/2011

[biz] 東芝がWH株追加買取

すると聞いて、何故?そんな余裕あんの?とまず疑問を感じたわけですけれども、確認してみると、出資時の特約として、他株主に保有分株式を東芝に強制的に買い取らせる権利条項があって、これを行使するって話だから拒否は出来ないんだそうで。売却する側のショー・グループは4000億中20%だから800億の出資で今回売却額が1000億、それに当てたとされる円建て社債の金利を考慮してもまずトントンという所、逆に東芝としては今更代わりの出資引き受け先を探すのも大変、というかまあ価格によるんでしょうけども余程割り引かないといけないだろうし、その差損を被る格好ですね。ご愁傷様です。

しかしこの特約が設定された事自体がね。こういう強力な条項は、将来起こりうる状況の予測は一般に極めて困難かつ往々にして致命的な結果につながる可能性が懸念される事から、余程客観的かつ安定的に見積もりが可能な場合か、でなければそのリスクに目をつぶり、予測自体を事実上放棄したような場合にしか設定されないものな筈なんですけれども、WHの買収自体は当時から相当にリスキーなものとして認識されていた筈だし、結局のところ後者だったって事なんでしょうね。その契約時には、少なくとも東芝側としてはその行使される可能性を小さく見積もり、出資を取り付けるエサとして安易に算盤を弾いたんでしょうけど、見事にあてが外れたわけで、ここ数年の東芝の弱点であるところのリスクを過小に見積もる体質、その帰結の典型のように思われるのです。本件自体は致命傷とまではいかないんでしょうけれど、原発関連ではまだ従前の強気な姿勢、もう既に単なる建前に過ぎないようにも見えるそれを崩していない以上、この種の失策はまだまだ雪だるま的に拡大しそうにも思えて、危うさを一層強く感じざるを得ないのであります。

東芝、ウエスチングハウス株1000億円強で追加取得へ