9/19/2011

[biz] シーメンスの原発事業撤退

先日決定された脱原発方針に対応しての撤退決定、そこに見られるところの、ドイツ国内の政府・企業・国民の判断・行動の統一性と迅速性には驚きを禁じ得ません。折しもフランスでおそらくは放射性物質も放出されたであろう核処理施設の爆発があったところでその影響もあったんでしょうけれども、原子力産業の中核としてその実体を担う有力メーカーの一角による今回の転換によって、脱原発の流れがいよいよ決定的になったように感じられます。

といってもまだ急進的な一部の流れに過ぎないし、全世界が一様に追随する事は考えづらいのですから、原子力の今後に関しては、おそらく推進と脱却とに国・地域単位で二極化していくものと思われます。その場合、脱却するだけの経済力のある国だけが転換して、比較的貧しい国に原発が偏在する形になる可能性が高いように思われるのですけれども、もしそうなると、安全確保のための資金が十分でない場合も多々あるでしょうから、より一層事故の危険が高くなるものと推測されるわけで、その意味でも原発の未来はもはや暗鬱たるものに落してしまったものと言わざるを得ないようにも見えるのです。

さて日本はドイツの後に続く事が出来るのか、また東芝・日立をはじめとする国内メーカーは、シーメンスと同様に転換を決断する事が出来るのか。ありうるとすればその条件は何で、時期はいつなのか。現実としてそれは相当に困難で、ありうるとしても大分先の話だろうとは虚しくも思うのですけれども、一個人、一市民として、一刻も早い転換を願う次第です。経済的な不利益が大きく困難であるのも当然ではありますけれども、もとより利害の天秤にかけるべきではない筈のものだと思うし、少なくとも、国内にせよ国外にせよ、この悲劇が繰り返されるような事があってはならないのですから。