7/21/2011

[law] ウィルス作成罪で初の逮捕者

ウィルス作成による器物損壊罪による有罪判決が出て、ウィルス作成罪で新設された保管容疑での事例はいつ出るかな、と思っていたら、その翌日に初の逮捕者が出たでござる。なんともタイムリーな。

容疑者は川口靖博38歳無職、独学でウィルス作成方法を学んで、P2P利用者の無秩序さに立腹して懲らしめようと思い、ウィルスを作ってShareで流した、と。刑法の条文に言う所の「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」を、「正当な理由なく」保持した、という要件には綺麗に当てはまりますね。未遂も罰せられる本罪ですが、本件は既遂でもあって、その点で立件はし易かったところでしょう。

作者が摘発の対象になる事には議論の余地はありません。しかしこう簡単に作者が見つかるとは、少々予想外で驚きました。筋から言えば作者の方が先に摘発されるべきなのは当然ですが、匿名のネットワーク上で転送を繰り返すウィルスの性質上、一般には作者を見つけ出すのは容易ではないし、末端の利用者が先に立件されて物議を醸すものとばかり。ともあれ、量刑については、前日の器物損壊罪での判例に倣うなら数年単位の割と重い懲役刑の適用が予想されるところですが、さてどうなるか。その次は、懸念の焦点であるところの、単に保管しているだけの者が立件されるのか、されるとすればどう扱われる事になるのか、というところで、引き続き要注目です。既に候補者はそれなりにリストアップされている筈でしょうから、警察、検察の判断次第な筈なのですけれども。

ウイルス作成罪初適用、38歳男逮捕 パソコンに保管容疑
警視庁


[過去記事 [law] ウィルス作成による器物損壊、懲役2年6ヶ月]