7/20/2011

[law] ウィルス作成による器物損壊、懲役2年6ヶ月

ちょっと予想より量刑が重い気がしますけど、そんなもんでしょうかね。ウィルス作成罪に移行するので、器物損壊で扱われるのはこれが最初で(?)最後になるのかもしれない特殊なケースではあるのだけれども、量刑の基準的にはおそらく引き継がれる筈、という事で注目されていたところの本件。ウィルス作成罪に規定された懲役刑の上限3年にほぼ近い形で、ここ数年の厳罰化傾向を踏襲した格好になりました。第一審ではありますが、東京地裁の判断は割と安定しているので、今後の参考になる判決であろうかと思われます。

もっとも、今回は事実関係についてはほぼ議論の余地もなく、弁護の内容も素人丸出しのお粗末なものだったので、上限を適用するに躊躇なしであっただろう事からすると、当然というか自明の結果とも言えるでしょう。問題は、ウィルス作成罪において新たに刑罰の対象となった、所持作成のみだとか、被害が潜在的なものに留まる場合にどう扱うのか、という未知の点であるわけで、それは今後に持ち越しです。もちろん実際には適用がなされない、というのであればそれが望ましい話であろうけれども、適用されれば、その影響は非常に大きい事も間違いないという事で、いずれにせよ不安定な現状、司法側の公式スタンスがどのあたりにあるのか、出来れば早めに知りたい所であります。予防を建前にした警察権力の濫用も懸念されますから。

イカタコウイルス作成者に実刑判決 器物損壊罪
東京地裁、懲役2年6月