ちょっと目を疑うというか、覆いたくなるというか。この程Spain、Cataloniaで実施された、その是非を問う住民投票の様子が至る所にUPされていますが、どれもこれも酷い光景です。
本件の経緯等については既に多数報道もなされていますから、ここではその詳細は省きますが、その結果をまとめれば、Spain政府の暴力的な、弾圧とも言うべき妨害活動により投票率は40%強に留まったものの、独立への賛成は9割を超え、圧倒的な賛成多数となりました。
元々、地域住民の独立への意思は悲願と呼んでもいいだろう程に明らかでしたから、実施さえされれば賛成が多数を占めるだろう事は確実でした。それ故に、Spain政府は投票自体を違法とし、文字通りになりふり構わぬ妨害をするに及んだわけです。
しかしその阻止は敵わず、完全ではなくとも、有意とは言えるだろう程度の投票率に達しました。独立の意思は示されたものと解する他ありません。むしろ、あれだけの妨害にも関わらずそれだけの投票率に達したという事から、その意思は相当に強いものと言えるでしょう。これにより、Spain政府の妨害は、徒労に終わったと言うに留まらず、自国民の民主主義的な意思表示に対し、暴力を以って危害を加えた、という最悪の結果を残すものになってしまいました。
ガラスを叩き割って建物に侵入し、武装は一切しておらず無力な事は一目瞭然かつほとんど無抵抗の一般市民に対し、警棒で、あるいは素手で殴りつけ、引きずり回し、階段から蹴り落とし、投票箱や投票用紙を強奪していく様は、愕然として戦慄を覚えざるを得ない、あまりにも醜悪な光景でした。
映像だけ見れば、テロ対策を行うかの如く、覆面を付け、黒尽くめの重装備に身を包み、一方的に、嬉々として暴力を振るうようにすら見える警察の人員は、都市を侵略し、制圧しようとする軍隊のようにしか見えませんでした。軍隊と異なるのは、殺害まではしようとしていない点位でしょうか。それ以外は、見た目と振る舞いだけならウクライナ東部のロシア系組織とも大差ないでしょう。
何のために、そのような異常な、民主主義国家にあるまじき市民に対する暴力が公然と振るわれたのか。無論、Mariano Rajoy首相がその事を謝罪するどころか正当化あるいは無視しながら言ったように、Cataloniaの独立を阻止するため、ではあるのでしょう。しかし、それが目的ならば、今回の暴力は、その手段としては論外であったものと言わざるを得ません。
今回の投票を含め、一連の独立運動をするに際し、Catalonia政府はじめその住民は、あくまで民主主義的な方法のみを用いて来ました。今回のように理不尽な暴力を振るわれてすら、一般に暴動の際に見られるような投石等、暴力的な反撃の類はありませんでした。そうである以上、Spain政府がそれを認めない、というのなら、それに反対する手段もまた民主主義的なものでなければならなかったのです。融和を目指して現実的な交渉を続け、Spainという国家がCataloniaの人々に受け入れられるよう、障害を取り除き、利を提示して説得する他に方法など無かった筈なのです。
それを選択せず、あるいは怠り、安易かつ愚かにも、投票自体を阻止しさえすればいい、と考えたその判断自体が住民達の意思と相容れないものであり、むしろその反発を強め、独立への意思を強固にするものである事は自明であったと言えるでしょう。まして、その手段に暴力を選び、Spain政府が主張するように独立を認めないのならば自国民であり、守るべき対象である筈の人々に対し、意図的かつ組織的に、多大な危害を加えるなど論外です。にも関わらずやってしまった、その報いは小さいものではあり得ず、さりとて今更後悔しても取り消す事も出来ません。もはや憎悪と呼んで差し支えないだろう程に悪化した心象を抱く相手と、誰が今更融和したい等と考えるでしょうか。住民の独立への意思、またSpain政府はじめその他の地域への悪化した感情は、修正不能な域に達しているものと考えられます。Spain政府はCataloniaの人々にとっては完全に敵と言って良いのでしょう。
事ここに及んでは、どうにもなりません。 この上にさらに弾圧を加えても意味はなく、さりとて独立の是非については、両者の間には今更交渉する余地も無いでしょう。Cataloniaの人々が翻意しない限り、独立へと進む事はもはや避けようがないだろうところ、独立の形や時期、それに際しての条件等について交渉出来るよう、速やかに諦め、まずは謝罪するべきではないかと思われるわけです。なにせ、現時点ではその交渉すら出来ないだろう状況なのですから。
Catalan referendum: Catalonia has 'won right to statehood'