神戸製鋼がやってくれました。偽装です。それも昨年に引き続いての再犯というか、その際に既に犯行に及んでいたにも関わらず、隠蔽していたというのです。日産といい、どいつもこいつも・・・。もう潰れてしまえばいいのです。
具体的には、栃木・三重・山口・神奈川の4箇所のアルミ・銅製品を製造する工場で、強度や寸法の偽装、また検査の手抜き等が少なくとも10年以上に渡って組織的に行われていたんだそうで。問題の製品は判明している分だけでもアルミは数万トン、銅は数千トン。納入先は200社を超え、自動車や航空機等、シビアな品質管理が求められる製品にも少なからず採用されてしまっているとのこと。規模も態様も、昨年のばね用ステンレス線の件とは全く異なる甚大なものです。
大変な事になりました。銅の方は強度が問題になるような部分にはそれほど使用されないでしょうし、上記の規模が事実であれば量がさほど多くない事からまだしも、アルミはフレーム周り等、強度が求められる部分にも利用されるし、しかしその種の部材としては柔らかく、特に強度面では安全マージンが小さくなりがちな部材です。元々余裕のない部分で、さらに強度が設計値を下回り、あるいは寸法が合わない、というのであれば、致命的な結果を招いても不思議ではありません。
しかも、この手の部材の不具合は、その対処は取り替える他ないわけですが、本件偽装が行われていた期間は非常に長いことから、既に交換用の部品の生産が終了しているものも多いだろうし、現行品以外は相当な困難を伴い、あるいは交換が不可能なケースもあるでしょう。それでも対処しないわけにもいかないでしょうし、そうするともう丸ごと同等品に交換するか、金銭等の代替的な賠償で対応するか、という話になります。
一応、本件部材を使用していても、最終の製品全体としては問題ない、で押し通す方法も無くはありませんが、大多数のユーザがそれを受け入れるとは到底考えられませんし、まずもって無理でしょう。そもそも最終製品のメーカーには何の責任も無いのだから、それで被る信用の毀損だとかユーザの反発だとかをあえて招く理由もないのですし。
さて、犯人であり、その責任を100%負うべきところの神戸製鋼はどうするのでしょうか。仕様を満たさないものを故意に偽装して出荷した事は事実で、その時点で債務不履行、あるいは詐欺でもある事は確定しており、また最終製品での問題の有無は神戸製鋼には判断する事すら出来ないのだから、神戸製鋼の側から、実際上は問題ない、等と言い張って責任を逃れる事は不可能です。
過去の例を見れば、その行く先は自ずと明らかです。東洋ゴムは全交換に追い込まれました。旭化成は複数物件の建て直しと、そうでないケースも多額の賠償を余儀なくされています。神戸製鋼だけが逃れられる、と考える理由はなく、 全交換ないしそれと同等の賠償を求められる事になるでしょう。本部材が使用された最終製品の中には航空機にしろ自動車にしろ、その部材の単価に比して価額が大きいものが多数あるでしょうし、まともに賠償を求められたら普通に神戸製鋼自体が吹っ飛んでしまいます。そこら辺に配慮してくれるような優しい、あるいは甘い取引先はどれ位あるか。完全に故意で取引先を騙し、裏切り、損失を与えたものに他ならないのだから、むしろ激怒して容赦も何もなくなりそうなものですし、昨年に同様の偽装が発覚し、再発防止等を誓っていたにも関わらず隠蔽していた点も考慮すれば尚更だろうと思われるところ、さてどうなることやら。
神戸製鋼 アルミ製品などの一部でデータ改ざん
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