10/30/2014

[law] 最高裁にて政務調査費に伴う全領収書の提出義務対象認定

地方議会に始まり、このところ閣僚ら有力国会議員にも政治資金周りの不正が相次いで発覚し、あっちもこっちも終わっている感しかしない国内政界。もとより既に希望も何も感じられず、絶望のち無関心を決め込んでいた身としては、いっそ全員死んでしまえ、位の冷めた感想とも言えない虚無的な侮蔑を抱くだけでした。どうせ大半は諸々の法的な保護を盾に詭弁を弄し続け、殆ど具体的な責任の追求も応報もないままに議員や首長であり続けるのだろう、と思っていたのです。いや、今もなお思っています。

が、このタイミングで最高裁が、政務調査費における小額領収書の提出・開示義務を認める判決を出したとか。急いで本文を確認してみると、その主旨は、当該領収書類の提出義務は、政治家の調査研究活動の自由をある程度犠牲にしてでも使途や支出先等の透明性を確保し、不正を防止する事を優先したものであり、従ってそれらの領収書類は(開示対象外となる)”専ら文書の所持者の用に供するための文書”にはあたらず、開示対象となる、としています。そして、法令上は提出の対象外となっている一万円以下の小額領収書は、その額の小ささから、高額領収書よりも更に政治活動として秘匿する必要性に乏しく、またその提出除外規定についても、議員や議長の、写し作成等事務処理上の負担に配慮して提出を免除されているに過ぎないものにつき、本来は開示・提出の対象である、というのです。

正直、驚きました。本判決は岡山県の県議会を対象とするものですが、地方自治法の規定を解釈するものでもあるし、その判旨は一般的かつ明確です。従って、政務調査費に関する領収書について同様の規定を設けている他の自治体や国政には当然に適用されるだろうし、それ以外の公金の支出、用途や支出先の透明性を求められる類の支出のうち、特に保護されているもの以外のおよそ全てにあてはまるだろうものなわけです。議員周りは無論として、一般公務員の諸々についても対象に含まれる得るだろう、ということで、その影響の範囲は凄いことになるのだろうな、と。他にも、判決の主旨からして、政治資金の収支報告や小額献金も普通に当てはまり得る帰結として、今後は細かい領収書類の全てが開示を求められる可能性も示唆されるわけですし。

無論、仮にも公金を支出し、また公的立場の人間や組織が金銭を受け取るからには、額の多寡によらず全て適切である事が絶対に必要で、その証明は当然なされていて然るべきものなのですから、本来であれば当然の話と言えるわけです。が、残念ながらというか、この種の公金の出入に関してその証明を免除する類の例外は、特に小額の場合に広く認められているところ、おそらくはその全てが不正の温床になる、というかなっているだろう事は、兵庫県議会の件だけを見てもその辺は推して知るべしだし、というか過去の例には暇無く、また挙げるまでもなくほとんど周知の事実とも言える惨状なわけで。既にどっぷり手を染めてしまった多くの議員や公務員諸氏は、真っ青になるどころの話じゃないでしょうね。だからって自業自得だしもうどうしようもないわけですが。

ともあれ、流石に最高裁で明確な判断がなされた以上、自治体も公的機関も、およそ公的な組織には運用の方は速やかに転換して合わせる以外の選択肢はなく、潔く条例改正するなり、そうなると破滅するやっちまってた人たちが抵抗して即訴訟を起こされたり居直ったり、とかいう残念な事も起こりうるのでしょう。

事実、このところのあれこれの当事者は、国会議員であれ県会議員であれ、皆見苦しくも開き直ったり逃亡したり、およそ考えうる最悪な振る舞いしかしていないわけですし。何か国会では与党も野党も皆クロだからって首相周りは開き直ってしまったようで、何とも象徴的なのはとりわけ残念なわけですが。。。それが許されると思ってるのか、そうするしかないのか。いずれにせよ正気ではありませんし、到底受け入れられる筈もありません。それならそれで、今回の判決の後押しもある事ですし、隅から隅まで存分にガサ入れを受けてのち相応の罰を喰らうか、もしくは逃げ切るかしかないんでしょう。

しかし仮にも国政の担い手、その主導的立場の人間が揃って不適格が理由で機能不全に陥るとか、何とも不毛な話です。出来れば潔く自首して頂きたいところですけれども、それが可能な位ならそもそもそんな犯罪犯しませんよね。ええ。もとより、その種の期待を抱けた時代はもう遠く昔に過ぎ去りました。粛々と強制措置に付されればそれでいいし、そうするしかないんだろう、と諦めるより他ないのでしょうか。代わりはいない、というか代わりになりうる人間も同じ穴の狢なんでしょうから、それでどうなるとも思いませんけど、せめて報いだけは受けて、多少の慰め位にはなって頂きたいところですが、さて。

政務活動費 1万円以下の支出の開示命じる