10/20/2014

[biz] IBMが半導体事業を売却

何か今更な気もしますが、IBMが半導体部門を丸ごと売却しちゃうんだそうです。売却と言っても超赤字部門を引き取ってもらう形だからか、対価がマイナスになって$1.5billion、約1600億ほど先方に支払うんだそうで、その一見して奇妙な取引が注目を集めているようですが。

その引き取り先はGlobalfoundries社。AMDから分社した名前の通りの半導体生産会社で、売上高は5000億程度と普通に大手ですね。対して今回の買収の中心となるIBM Microelectronicsの売上高は2000億弱程度で、こちらの方が小さいものの、その他関連部門も合わせればその差はそれほど圧倒的というわけでもなく、一応吸収という形ではありますが実質的には合併に近いものと言えるでしょう。

そして、IBMの半導体部門はここのところ年500億程度の赤字を垂れ流す不採算事業でしたから、合併に伴うリストラその他諸費用と当面の損失を資産と差し引きした補填額がその額になった、という事なんでしょうか。あと、これから10年ほどGlobalfoundries社がIBMのサプライヤーになる契約も結ばれたそうなので、その分も計算に入ってるのかもしれません。であれば相当にダイナミックな組織再編処理で、その辺は現代的な大規模組織経営の先駆者たるIBMの面目躍如と言えなくもない気がしなくもない感じでしょうか。

ともあれ。ここ数年、サービス特化型へ転換すべく、PCはじめハードウェアの生産事業から次々と撤退し続け、世界的な組織再編と共に大規模なリストラも連発して来たIBMですが、これで一連の転換作業もほぼ完了ですかね。一応ハイエンドのサーバ事業は残っていますけれども、これは外注が難しい事業ですし恐らく対象外でしょうから。

さて今後は、というと、大規模なITサービス事業者が内製を進めるトレンドのせいか、肝心のITサービスその他の継続事業のパフォーマンスが今ひとつで、縮小気味なのが気がかりではあります。それでもとりあえず利益はそこそこ以上あるのだし、早晩どうこうなる筈もないでしょうけれども、本当の危機を迎える前にイノベーションの元祖たる真価を発揮して新しいコア事業を立ち上げる事が出来るのか、それともこのまま時代の潮流に流されて縮小し、その他大勢と大差ない、単なるSIerとして埋もれていくのか。これから数年が転換点になるのか、あるいは既に過ぎているのかもしれませんけれども、頭の片隅に置く程度には注目したいところなのです。

しかし今回のIBMの四半期決算、本件を別にしても酷いです。本件支払い分の1600億以外にも評価損が3000億以上あるらしいし営業も減益だしで、マジでいいところなし。顧客の需要が減った、業界の構造が変わった、だとか白旗宣言じみた泣き言も言ってるようで、ITサービス事業自体も割とヤバいのかもしれません。大体同様な感じのHPとかともあわせて見れば業界全体が本格的な縮小フェーズに入ったようにも思えるし、であれば一連の転換とは別にITサービス事業のリストラも不可避になりそうです。仕方のないこととはいえ、難儀ですねえ。

IBM to Pay $1.5 Billion to Shed Its Chip Division

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