いわゆる京速計算機、とりあえずLINPACK世界一とか。どれくらいの間トップで居続けられるのかはIBMと中国あたりの動向次第ですが、関係者はさぞ喜んでいる事でしょう。例の大臣へのバッシングも再燃したりして賑やかな事です。行き詰まり感の蔓延する科学技術業界はスポンサー確保に必死、金の無い国としてはリストラしたくて仕方がない、そのせめぎ合いの象徴として、政治的に色々注目されるのも当然の事ではあるんでしょう。
がしかし、費用対効果が恐ろしい程悪いのは事実なわけでね。ここまで悪いと、それでも実施する理由が必要になるわけで。すなわち本来その目的としては、本機特有の機能、計算能力が無ければ出来ない、それによってのみ可能な計算結果、その成果の創出が設定されなければならなかった筈なのです。
しかし、目的、それに値する成果は、実質的に設定されませんでした。ぶっちゃけそんな都合の良い話はなかったからです。計算論的に特異な成果を挙げるためには、量子計算機とかじゃないと無理、けれどそれは作れない。そして、計算機自体の技術云々はあくまで副次的な産物なのに、計算機の構築そのものが自己目的化して、とりあえず作ればなんとかなるだろ、で無理やり作ってしまった。逆に言うと、筋通りの目的があるならこんな無理やり感はなかった筈なのですよね。
その帰結として、従来比10倍とかになった計算能力によって特異な成果が上がるかというと当然そんなわけもなく、結局完成時がゴールになってそのままフェードアウト、というのが当然に予想されるという。しかもそのランニングコストだけでも一時間あたり使用料が数10万とか100万とかアホみたいな事になって、結局あまり使われもしない、と、まんま地球シミュレータの二の舞になりそうで、それはやはり馬鹿の所業だろうと思うのです。
そもそもの本プロジェクトの主目的は、学術的なものではなく、富士通、当初はNECと日立も入れた国内計算機業界救済のための公共事業だから、ってのはわかるんですけど、それは資金の浪費に他ならないし、もうそんな事してられる状況じゃないでしょ、とやっぱりそう思う訳です。アーキテクチャ自体の進歩はもう殆どないのだから、次はもうない、その方が自然でしょう。政治的に次を作っちゃうかもしれませんけど。その辺には、ITゼネコンとかいう言葉も定着しいこの業界、往年の建設業界と似たような斜陽感も感じられます。それは当然ながら良いイメージでは決してないのですけれど。
---------------追記
インテルはエクサコンピューティングに挑戦、ですか。まあGPGPUと同じような並列アーキであれば可能なんでしょうけど、また使いにくそうな。メモリ回りの使い方がね。
Intel plans exascale computing by 2018, wants to make petaflops passé