12/11/2024

[biz] GMが自動運転タクシー事業から撤退

米自動車大手GMが、自動運転タクシー事業からの撤退を決定したそうです。

同事業は、子会社のCruiseを通して実施されていたものですが、2023年にSan Franciscoで女性に重篤な怪我を負わせる人身事故を起こして以来その運行は停止され、罰金も課されていました。運行再開の目処も立たないまま、結果としてこれが致命傷になった格好です。

米国のrobotaxi事業自体はまだ黎明期にありますが、既にWaymoをはじめ、Teslaの参入も報じられるなど、技術的成熟も社会からの認容も待たず、早くも過当競争に陥る兆しを見せていました。収益など無いも同然であっただろう事は明白です。

GM社は、その市場環境の先行き見通しの不透明さに加え、技術的な課題の困難さ、開発コストの高さ、前記のような事故のリスク等を勘案した結果、事業としての成功が見込めないと判断したものと思われます。

今後は、ドライバーレス車の開発は全て中止し、通常の運転支援技術に注力するとの事。事故の際の責任が全てメーカーに降り掛かってくるその性質上、やはりドライバーレスの自動運転車はメーカーにとってあまりにもリスクが高すぎるのでしょうね。他社はどうするのでしょうか。

そもそもの話、ドライバーレス車をその高い追加コストを払い、諸々のリスクを許容してまで求める人ってそんなにいるんでしょうか。自分で運転が出来る人には少なくとも必須ではないでしょうし、そうでなくとも周囲の人や、それこそ通常のタクシー・uber等、従来通り人に運転を頼めば十分なケースが大半でしょう。

結局、運転手がおらず通常のタクシーもuberもなく、バスすら走っていないような過疎地域において自分で運転出来ない人がメインターゲット、という事になるわけですが、それは極めてニッチな需要でしかありません。ユーザーの密度や許容される単価を考えると、採算が取れるとは考えられませんね。その上技術的にも未熟で安全性も担保されないとなると、やはり事業としては厳しいと言わざるを得ず、今回のGMの判断にも首肯せざるを得ないのです。

GM is pulling the plug on its robotaxi efforts  

12/10/2024

[law] 石破総理のトンデモ憲法論に困惑

石破総理が、なんか変な事を口走ったそうで。

企業・団体献金の禁止の是非に巡る国会での議論の最中に、憲法21条規定の表現の自由に抵触する、との見解を述べた件についてです。

多くの人が疑問を感じたのではないでしょうか。特に法律論に明るくない一般の人には、企業・団体の政治献金が表現の自由で保障されている、と言われても、何を言ってるんだとしか思われないでしょう。 

法的に見ても結論としては似たような感想を持たざるを得ません。全く根拠がないというわけではないのがややこしいのですが、詳細に論ずると切りがないので要点だけ。

本見解は、おそらくは企業献金の合憲性を認めた八幡製鉄政治献金事件を念頭に置いたものかと思われますが、これは一般論として法人も憲法に規定された各種の権利・義務の主体となりうる事を認めたものであって、個々の権利に対する規制の可否とその審査基準については何ら審査も判示もしていません。従って上記見解の根拠にはなりえません。

また、表現の自由により保護される権利は広範に及びますが、その大部分は個人の尊厳を保護の根拠としており、それを観念する事の出来ない法人等については、自ずから憲法上の保護を受けるべき権利の範囲は個人のそれと比して狭く、かつ保護の必要性も小さいものと一般に解されます。

法人等では、その行為につき構成員間での意見の相違や個人の信条との不整合等、個人の人権との衝突も起こり得ます。その場合は、原則として個人の人権の保護が優先されます。すなわち、法人の行為に対する規制が合憲性を帯びるわけです。なお、その規制立法が他の人権を侵害する場合にはその限りで違憲となる事については言うまでもありません。

必然的に、法人等への規制に対する違憲審査においては、個人に対するそれより緩やかな審査基準が適用される傾向にあります。つまり、法人等の活動への規制は合憲とされやすい。というか、余程の明白な違憲性が認められるのでない限り、裁判所が違憲と判断する可能性は限りなく低いのですね。その意味で、個人と法人とは憲法上の保護の度合いが全く違うのです。

規制を違憲とする最高裁の判断が示されたのなら別ですが、それもない。である以上、表現の自由に抵触する、等と言える筈がないのです。現時点で言える事は、規制のやり方によってはその可能性が生じうる、といった程度でしょう。それにしたところで、その判断に際しては、法人独自の権利が保護されるのではなく、最終的にその大部分が個人の権利の侵害如何に帰着するのではないでしょうか。個人の人権を侵害しない限りにおいて合憲、といった形で。

そもそも、企業・団体による政治献金につき表現の自由として保護が及ぶ事と、他の人権の保護のために制限を加える事の是非とはレベルの異なる話なのですが、石破総理の発言ではこれらを混同しています。

石破総理の思い込みなのか、それとも意図的に混同したのかはわかりませんが、少なくとも一般には通じない言説には違いありませんし、あの文脈でわざわざ述べる必要も意味もなかったように思われます。企業・団体献金の規制をしたくない旨をもっともらしく主張したかっただけなのかもしれませんが、不適切と言わざるを得ませんね。困ったものです。

12/08/2024

[pol] また一人、中東から独裁者が消える

ついに、でしょうか。IraqのHussein,LibyaのGaddafiに続き、また一人、中東から独裁者が消えます。 

親子二代、50年以上に渡って中東Syriaの支配を続けてきたAssad家ですが、国内武装勢力に敗北し、その支配が終わろうとしています。既に首都Damascusは包囲され、事実上陥落したも同然の状況となり、Assad大統領は既に国外に脱出したとの情報も流れています。

Bashar al Assad。2000年に父のHafazの後を継いで以来、常に不安定な中東情勢にあって、その戦場の中心の一つとして、国内の武装勢力、Al QaedaやIslamic states等のイスラム諸勢力、Israel等の敵対国家まで、国内外の様々な勢力との戦争に明け暮れる一方、就任直後の粛清と知識人等の大量逮捕・収監に始まり、Sunni派の弾圧、また数多の虐殺といった明らかな犯罪にも頻繁に及び、多くの人を常に虐げ、殺し続けました。

それはまさに、血塗られた、と形容するにふさわしい独裁者のそれだったと言えるでしょう。情勢的にそれ以外に選択肢はなかった、というだけなのかもしれませんが、本当に戦争以外の話が全く聞こえてこない大統領でした。

永遠に続くかに思われたそのAssad家によるおぞましい支配も、終焉を迎えます。代わってSyriaの統治を担うのは、イスラム系の武装勢力の連合体です。AfghanistanのTalibanほど原理主義的ではありませんが、自由主義的な統治になるわけはなく、程度の差こそあれ前時代的なイスラム国家としての道を歩む事になるのでしょう。

直近の戦闘では、LebanonのHezbollahも参戦していたとの話もありますし、イランの影響が強まる可能性は高いものと推測されます。その場合、Israelとの戦争が本格化する可能性もあります。ただ、地域的にはSunni派が多数派なのと、その他の勢力も多数入り乱れている状況なので、どのような傾向が強く出るのか、また安定的な体制になるのか等、殆どの事が不確定な状況には違いありません。

長年の戦乱によって国内は荒廃しきっており、また今回の政権移行はIraqの時のそれと違い、西側諸国の意向があまり働いていない事もあって、安定や秩序、そして平和がかの地にもたらされる日は遠そうです。

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行方が判然とせず死亡説も流れていたAssad大統領ですが、Moscowに亡命して存命であるとの報が流れています。今のRussiaにそんな余裕があるのかという疑問も浮かびますが、流石に注目が集まっている今見捨てる、あるいは切り捨てるのは躊躇われたという事でしょうか。

なお、Iranの影響については、世間的にはどちらかというと減ると見る向きの方が多いようです。いわゆるShiaの孤の一角が崩れた、として。確かにそういう面はあります。Iranは長年Assad政権を援助し続けて来ましたし、そのラインを通じてLebanonに武器を供給もしてきました。それが消滅する影響はそれなりにあるでしょう。

しかし、今回政権を打倒した反政府勢力はその総意として反Shiaや反Iranを掲げているわけではなく、欧米やロシアを含め、特定の外部勢力の傘下にあるわけでもありません。現状は、単にAssadの支配が崩れ、地域の情勢が不安定化したものと見るべき状況のように思われます。しかるに、近隣のどの勢力が最も介入を強め、また今後強い影響を持ちそうかと言えば、それは長年実体的かつ密接な交流を通じて影響を保ち続けて来たIranであろうと思われるわけです。

政権が消えても、人やモノの流れを通じた実体的な繋がりはそう簡単に消えるものではありませんし、むしろ混乱に乗じて影響を強める可能性も低くはないでしょう。勿論、新政府のあり方如何によりますし、とりわけSunni派の意向が強く反映されるものになれば、Iranが排除される可能性もあります。ただ、実際問題としてあの地域でIranを排除するというのはそんな簡単な話ではないし、それが可能な程に一体性を有する、統制された政権になるのかすらわからない現状では、そこはまだ判然としません。

勿論Israelはありえません。Syriaの武装勢力は全てMuslimですから、むしろ対Israelで一致団結する可能性が高いでしょう。

12/05/2024

[pol] 息子を見捨てられなかったBiden大統領

米国のJoe Biden大統領が、息子のHunter Bidenに恩赦を与える大統領令に署名しました。

身内への恩赦。特段の正当な事由もなく行われたそれは、紛うことなき権力の濫用です。これまで度々その行使の是非を問われ、否定し続けていた前言を翻して踏み切った事もあり、背信行為と看做されてもいます。

当然、米国はほとんど非難一色です。身内である筈の民主党内からも、左派を中心に公然と批判の声が上がっています。

その長い政治家としてのキャリアを通じて受けた批判は数え切れない程あれども、このような明白な権力の濫用は一度たりともする事はなかった彼が、そのキャリアの最後に犯した、たった一度の過ち。

彼は、この過ちによって、間もなく訪れるそのキャリアの終わりに当然に得られた筈の、公正を貫いた政治家としての名誉を損なう事になりました。完全に失ったと見なす人も少なくはないでしょう。

このような結果を大統領が予想出来なかった、等という事はあり得ません。それは承知の上で、全ての応報を覚悟して踏み切ったのだろうと考えられます。

その事情は概ね理解できます。脱税等の容疑で訴追されていたHunterは、司法取引に失敗し、元々有罪となる見込みでしたが、次期大統領のTrumpから明らかに敵視されており、次期政権下でその意を受ける司法当局に恣意的かつ不当な厳罰を課される可能性が極めて高くなっていました。

その主たる原因は、TrumpがJoeを政敵として敵視しているから。それだけです。すなわちBiden大統領の息子であるという、Hunter自身にはどうする事もできない理由によるものです。Joeからすれば、自分のせいで息子が危機に晒されている状況にあったわけです。

そして、Joeには恩赦を出す権限があった。つまり、息子を助ける事は不可能ではなかった。その行使の是非は、Joeにとって、政争に巻き込んでしまった息子と自身の立場、そのどちらを取り、どちらを捨てるのかという、残酷な選択をJoeに強いるものになっていたのです。

Hunterにかけられた容疑は正当なものでした。である以上、それは法に則って裁かれるべきであり、罪が認められれば当然に罰せられなければならない。将来その罰が不当なものになる可能性があったとしても、それを理由に訴追自体の赦免などしてはならない。当然の事です。

また、正当な理由なき恩赦は権力の濫用であり、誰よりも公正であるべき大統領として厳に慎むべきもの。身内に対するそれであればなおさら。これもまた当然の事です。

大統領の立場からは、どうやっても正当化など出来はしません。もし行使すれば、自身のみならず大統領という立場の威信をも損ない、後世まで拭い難い汚点となる。多くの人の信頼を裏切った者として、名誉も信頼も、何もかもを失うだろう、論外の行為。大統領自身、その事は誰よりもよく理解していたでしょう。

しかし、最後の最後で。自分が原因で、その人生を破壊されようとしている息子を前にして。彼は、見捨てる事が出来なかった。これはそういう事なのでしょう。

そうでなければ、どうして彼が、その人生をかけて築き上げた輝かしい名誉を投げ捨て、信頼を裏切り、当然に予想されていた司法当局や国民、仲間達からの非難をも甘んじて受け、あまつさえTrumpに自己への恩赦の口実を与えてしまうような、大統領という立場そのものの威信、ひいては統治体制への信頼をも決定的に損なうだろう暴挙に及んだ事に説明がつくというのでしょう。

その立場や公益、自身の名誉と親子の情を秤にかけ、前者を捨てて後者を取った。大統領と言えど、否、大統領であるからこそ生まれたその葛藤の末、我が子に情をかけるために、全てを犠牲にしなければならなかったJoe。

その行いが批判を受ける事は必然という他はありません。

ただ、彼はまず間違いなく全てを承知の上で、Hunterへの恩赦に署名した筈です。名誉も信頼も全てを捨てて。そんな彼を、殊更に袋叩きにする事に正当性はあるのでしょうか。それ以前に、意味はあるのでしょうか。

民主党議員をはじめ、良識を重んじる点を自身の正当性の根拠にしている人達としては、この先、Trumpが権力の濫用、特に自己への恩赦をしようとした場合を想定して、その時に非難するためにはここでBidenを非難しておかなければならない、という事情もあるのでしょう。あるいは、Hunterが受けるべきだった刑罰の肩代わり、という意味合いもあるのかもしれません。

しかし、であればこそ、それは不当な行為であると言わねばなりません。味方も失って、反論の術さえない、たった一人の老人に過ぎない彼に寄って集って加えられる、法の歯止めもなく無秩序な非難。それらは、ただの私刑でしかないのです。

法治国家にあって、あらゆる行為の正当性は、法によってのみ担保されます。Trumpのそれと対峙する際に正当性を主張しようとするなら、法に基づかないそれらはなおさら厳に慎むべきものである筈です。Bidenの今回の恩赦にしても、あくまで大統領として法によって与えられた権限に基づいて恩赦を与えたのであって、違法な事をしたわけではないのですから。

そもそも、そんな事をしても、何も得られるものはないのです。 彼はそういう選択をした。もはや取り返しはつかず、非難を加えたところでその事実は動きません。大統領としての任期も間もなく終わりを迎え、同時に政治家としても引退する彼に、次はありません。年齢からすれば、この世から去る日も遠くはないでしょう。

そんな彼を痛めつける事に、意味も正当性もないのです。憤慨する人や、無念に思う人も少なくはないでしょうが、ここに至っては、もはやただ静かに見送る他ない、とそう思うのです。

願わくば、去りゆく彼に残された日々の中に、許しと救いの訪れんことを。

ただ、Hunterについては話は別です。そもそもの責任はほぼ彼にあるわけで、彼がまっとうな生き方をしていたならこんな悲しい事にはならずに済んだ筈なのです。それが無罪放免というのは納得しろと言う方が無理というものです。

実際のところ、彼に対する米国民のヘイトは半端なものではありませんから、自分の身を守るためにも、なにがしかの罰は受けておいた方がいいだろうとも思いますね。主要な容疑は脱税であって、たかが、とまでは言えませんが、強盗や殺人等の重犯罪が日常茶飯事な米国にあっては、それらと比較すれば遥かに軽い部類のありふれた経済犯に過ぎないのですし。

[pol] 増税と歳出削減はやはり鬼門。仏首相、不信任可決

仏でMichel Barnier首相の不信任が通ったんだそうです。

就任からわずか3ヶ月。Macron大統領が後任を指名するまではその任に留まりますが、もう何も出来ませんし、退任したも同然ではあります。お疲れ様でした。

原因は、600億Euro(約10兆円)規模の歳出削減及び増税を盛り込んだ2025年の予算案につき、与党が少数派であるために議会の承認を得られる見込みが立たず、専決処分的に議会の承認なしで予算を成立させようとした事によります。

予算を議会の承認なしで成立させる。それは暴挙と言う他ありません。というかそんな事が可能なの?と耳を疑うような話です。

ざっと確認してみたところでは、それが実際法的に可能なのかどうかについては、当のフランスでも微妙だそうです。憲法上明文で否定されているわけではないようですけれど、歳出削減は別にしても、増税等の国民に重大な義務を新たに負わせる措置は、その前提として国民の同意すなわち議会の承認が必須であり、一般に専決処分の対象にはなりえないものと考えられます。どう見ても無理筋ですね。

仏議会は当然の反応を示しました。到底受け入れられない、と反発し、そのまま本来不倶戴天の敵同士の筈の極右派と左派が不信任で一致してしまい、あっさり不信任が成立した、というわけです。Barnier首相は、私をクビにしてもフランスの債務は消えない、等とほとんど捨て台詞的な牽制等をしていましたが、無意味でした。これに伴い予算案も廃案。

要するに、債務の膨張に苦しむフランス政府がそれに対処すべく予算・税制に手を付けようとしたところ、ポピュリズムに傾斜する事で近年国民の支持を高めている極右派・左派に潰された、というだけの話です。

それで、今後はどうなるのか。Barnier首相の案は潰えましたが、後任はその路線を継承出来るのか。これについては、その継承・継続は困難だろうと思われるところです。

というのも、そもそもの話、Barnier首相とMacron大統領の立ち位置は中道右派です。一般に、全体のバランスを取って妥協案をまとめるには最も適している、筈です。とりわけ今回問題になった増税や歳出削減といった根本的に意見・方針が対立するシビアな政策について、極論さえ公然と掲げる各陣営を妥協に導く事は至難の業です。比較的中立性の高い筈の彼らにまとめられないのなら、他の誰もまとめる事は出来ないでしょう。

つまり、今のフランスでは、増税や歳出削減は実現不可能だという事です。よって、その方針の継承は無意味という他ないのです。

ではフランスはこれからどうなるのか。それは誰にもわかりません。ただ、おそらく明るいものにはならないでしょう。

フランスの債務は、年間GDPを越えたそうです。日本では遥か昔に通り過ぎ、最早手遅れとして対処も諦められたそれですが、激しいインフレ下で既に年3%を越え、さらに上昇する可能性も高い金利水準もあって、財政破綻の危険性は到底無視出来ないレベルにあると言えるでしょう。日本の二の轍を踏まないためには、今ここで踏みとどまるしかありません。相応の犠牲を払って。

にも関わらず、その対策は不可能。どころか、真逆の政策を主張する筆頭の極右派が政権奪取にあと一歩のところまで迫っています。おそらく現状のまま事態が膠着すれば、何も出来ない政府・与党への国民の不満・批判はさらに高まり、極右派への支持もまた強まるでしょう。 

そして、極右派が政権を奪取すれば、財政再建どころか、積極財政へと踏み切る見込みは極めて高い、というかほぼ確実です。そのあまりに無根拠で楽観的なスタンスに、これまで政権を担った事もないために稚拙・杜撰になるだろう政策が無秩序に実行に移されるでしょう。

バランスも考慮されず、もはや支出に歯止めをかける事すら出来なくなり、債務の底が抜ける。そして爆発的に進むインフレ。一方で、既に膨大な人数に及んだ移民の排斥が始まり、社会は混乱を極める。 米国でTrumpがもたらしたものとある程度類似するだろうそれらの混沌とした状況が、政権が一体として推し進める事で、さらにスケールを拡大する形でフランスに訪れる、のかもしれません。

しかし、何も出来ない。どうにもならない。今のフランスは、そんな絶望的な状況にあるわけです。

あるいは極右派ではなく、左派が伸びて、社会保障政策の強化が志向される可能性もあるのかもしれませんが、そちらにしたところで、積極財政に傾斜するだろう点では変わりませんし、経済政策面の懸念に関しては極右派のそれと大差があるわけでもありません。

自由の国。人権の国。その行き着いた先が、分裂と対立に溢れ、終わりの見えない争いが続き、ただひたすら破綻へと向かう、しかしそれを避けるために犠牲を払おうとはしない、誰も彼もが我儘に振る舞うだけの社会だった。何とも皮肉な話です。

12/04/2024

[pol] 韓国大統領、発狂して戒厳令を宣言から即撤回、またしても弾劾へ

韓国で突然Martial lawが宣言されて世界中がびっくり。

何事だ、北朝鮮が何か仕掛けたのか、と身構えたのも束の間、数時間後にはあっさり解除されました。もちろん、北朝鮮は本件に関しては何もしていません。

大山鳴動して鼠一匹的な話で終わって一安心ではありますが、しかし、多くの人が一体何だったの?と首を傾げています。

その事情を簡単に言えば、国民の信任を失い、与党は選挙で敗北し、さらにその与党内での支持すら失(いつつあ)ってもはや何も出来なくなっていたYoon大統領が、後先考えず無理やり独裁に走ろうとしたものなのだそうです。なんじゃそら。

要するに追い詰められての発狂、いわゆるキチゲ解放とかいうやつですね。一国の大統領が。いやもう勘弁してほしいです。

その後の流れは言うまでもありません。国民の支持など得られるわけもなく、議会も与党含め総反発であっという間に取り下げに追い込まれ、さらに逆に辞職を迫られ、応じなければ弾劾による強制解任が確実視されています。

また弾劾ですか。。。Park大統領が弾劾により罷免されたのもそんなに昔の話ではないのですけれど、今回の状況はPark大統領の時より明らかに酷く、弾劾が提起されればその成立は確実とされています。

とりあえず今回の話はそれで終わりです。

しかし、なぜ韓国の大統領はこう、不祥事からのクビになるような形でしか終われないのか。韓国の大統領は再選禁止だから一期だけなのに、それを満足に務める事すら殆ど不可能というのは、個々の大統領の資質云々以前に、何か制度上根本的かつ構造的な問題があるというか、ぶっちゃけ政治体制として韓国社会に合っていないのではないかとの疑念を禁じえません。今後改善しそうな見込みも皆無ですし。

よその国の話ですから、もちろん他国の人間が口出し出来る筋合いはないのですが、流石に今回のような騒動はあまりに意味不明に迷惑だし、文句位は言いたくなりますね。もっとも、外野の声には耳を貸さないどころか逆に反発するのが常なお国柄でもあるし、そもそもなにがしか改善を図る事が出来るならとっくにそうしてるでしょうから、きっとこれからもこんな感じなんでしょう。困ったものです。他人事ですけれど。というか、いつまでも他人事であって欲しいものです。

<追記>

揉めに揉める事10日、一度は否決された弾劾決議案が2回目にして成立したそうです。一度目は与党が棄権という形で反対に回りましたが、その後大統領が戒厳令を正当化する旨の演説をした事で与党内からも反発が強まり、今回の結果に至ったとのこと。与党としては折角かばおうとしたのに裏切られた気持ちだったのでしょう。

これを以て大統領は権限を停止され、弾劾裁判に掛けられる事になるわけですが、この四面楚歌そのものの状況では罷免は免れないでしょう。お疲れ様でした。ともあれこれで一段落ですね。もう騒がせないで頂きたいと思います。まあ、韓国の国民の方が私達外野より余程泣きたい状況だろうとは思いますが。。。