やっぱりというか、先日JR駅監視映像の無断流用が発覚したオムロンですが、他にも類似事案で盛大にやらかしていた事が発覚したそうで。 多分に氷山の一角だろうし一々取り上げてもキリがないんでしょうけれども、一応。
報道によれば、文科省委託の人物追跡・検索技術の研究で、京都烏丸御池駅近くの商業施設「新風館」にて2010年から2014年4月まで、およそ4年近くに渡り無告知で一般客の画像を撮影、追跡実験を実施し続けていた、とのこと。法的にはともかく、社会通念的には完全にアウトです。
ちなみに、委託研究の正式名称は下記ですね。責任機関はオムロンで、東大・京大・名大・中国清華大・中国科学院・ミズーリ大・シンガポール大が参画機関となっていますから、やはり主導として一義的な責任はオムロンにある点には間違いなさそうです。
<文科省所轄の科学技術振興機構公式HP>
環境適応型で実用的な人物照合システム
責任者はオムロンの労世紅氏。清華大や中国科学院・シンガポール大が絡んでいる点からして中国人でしょうか?もしそうであれば文科省の公金を使った研究としてはいささか疑義が付きそうな気もしますし、セキュリティ関連技術の研究開発に中国が関与している時点で不安を覚える人も相当にいるでしょうから、社会的にも問題があるように思われそうますけれども、それはともかく。
本件は一応京都大、東京大、名古屋大との共同研究との事なので、JRの件に比べればオムロンの関与の度合いは相対的に若干低いのかもしれませんが、撮影データ
を入手して最も大きい利益を得るだろうのは関連技術の事業者たるオムロンなわけで、実作業とデータ管理の相当部分を担っていただろう事は疑いのないところでしょう。設置調整作業に追われて表示を失念した、との言い訳にしても、オムロンがその重要性や表示した場合に起こりうる利用者の反発等のリスクを理解していなかった筈はなく、失念との説明はあまりに不合理で、逆に故意によるものとの確信を抱かざるを得ません。自分から認めるとは思えませんけれども。
その上、ずうずうしくも泥縄式に表示をしただけで現在も撮影は継続しているんだそうで。これは明らかな愚行と判断せざるを得ません。かように報道に乗ってしまった以上、これから施設に利用者のクレームが殺到するんでしょうし、撮影を継続する限りは利用客の中には敬遠が一定割合発生するだろう事も確実なわけですから。しかしそのあたりについてどう責任を取るつもりなんでしょう。外野としては逆にその種の危機のテストケースとして興味深い面もありますからとりあえず注目はしますけれども、当事者には洒落にならないでしょうし、それ以前に社会倫理的に到底許容し難い行為なのですから、一市民としてやはり暗鬱たる心持ちにさせられてしまうわけです。
しかしオムロン、懲りませんね。もう先日の件だけでも事業継続は不能かとも思われたところ、流石に終わりでしょうか。いや終わってください。というより、行動追跡とか、元々プライバシー侵害の意味で不法行為同然の悪い評価がつきまとっている監視関連技術自体の評価が、この立て続けの無断監視の発覚によって、許容され得ないものとの評価で固定されてしまったかのようにも思えるわけです。大阪駅の件にしても、終わったと思った矢先にまたしぶとくも再開の計画が立てられたとの事でもありますが、あっちはあっちでむしろ余計に監視対象を拡張するつもりだとか、社会感情を逆撫でするかのような傍若無人ぶりを見せていますし、近いうちにそのあたりの評価が覆るとは到底思えないのですね。
監視社会、という言葉の使われ方、社会的一般の受け止め方からしても、この種の行為に反発する人はいても、賛同する人なんていないも同然な事は明らか、常識と言っていい筈の話なのに、彼らは何故そんな事も理解出来ないのでしょう。もっとも、監視技術を開発しようなんて企業や研究者やらに、プライバシー等の人権を尊重する観念や倫理なんて初めから無い、というかそういう感覚が無いからこそそんな技術に携わってるんでしょうけど。多分にこのまま、社会との対立を強め、ついには強制的な差し止めを食らうまで継続しようとするのでしょう。愚かしくも困ったものです。
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