4/03/2014

[IT biz] Ubuntu One終了

CanonicalのクラウドストレージサービスのUbuntu Oneが終了するんだそうです。

Ubuntuを常用している私ですが、当サービスは不要につき一度も使った事はありませんでした。アカウントの登録すらしていません。大半のUbuntuユーザも同様でしょう。MacとWindowsでも利用は可能ではありましたが、実際の利用者は殆ど無に等しいと聞きます。そのように、只でさえ少ないUbuntuユーザにすらあまり利用されていなかっただろう同サービスが終わったところで、もとより大した影響があろう筈もないし、世間一般にとっては気に留められすらしないニュースなんでしょうけれども。サービスの提供開始は2009年だから、およそ5年。開始当初は、そのOS込みでの明らかな競争力の欠如から、一年後位には消えているだろう、というかむしろ何故こんな需要ゼロのサービスをリリースしたのと思ったものですが、意外と長く持ったように思います。

終了の理由は、Dropbox等大手競合サービスと伍するために必要な大規模なサービス展開の費用を賄えなくなったため、とのこと。要するに採算が取れないから。そんな事最初から分かり切っていた話だろうにと、流石に呆れざるを得ません。

周囲を呆れさせるだけで済めばまだしも、ここ数年CanonicalはスマホOS進出の爆死を筆頭に、事業拡張に悉く失敗しているわけで、そのツケ、というか単に回収出来なくなった資金も相当な額に上りますから、そろそろ資金繰りも厳しくなりかねない感じなのがユーザの不安を煽ってくれます。

さらに言えば、ここ数年UbuntuがそのOS開発においてユーザの不評を無視して固執し続けたUnity等のデスクトップマネージャとこのUbuntu Oneのクラウドサービスはセットになっていましたから、今回のクラウド撤退でその路線も諸共に打ち切られてしまう事になるわけです。それ自体はユーザとしては歓迎すべき事であるように思われますが、ディストリビューションとしてのUbuntuのロードマップが途切れた事も事実なわけで、うっかりディストリも道連れに迷走のち遭難し、ひょっとすると消滅してしまう可能性までもが懸念されます。それは流石に勘弁して頂きたいところですが、さてどうなりますかね。

もっとも、仮にデスクトップ周りのプロジェクトが死んでも、私はそもそもUnity系のマネージャは利用していないので、直接影響があるわけではありません。ただ、まだWindowsやMac等のメジャーOSに比すれば稚拙そのものな現状のまま、あるいは悪化という事になれば、さらにシェアは減ってCanonicalの運営もそれだけ苦しくなるだろう事が予想されますから、その点どうしてもある程度の心配はせざるを得ないのです。心配した所で、どうにもならないんですけれどもね。

Canonical shutters Dropbox competitor Ubuntu One

ちなみに、Canonical Ltd.の2013年決算は、売上$60mに対して損失$21m。その前は売上$54mの損失$10m。存続しているのが不思議な位にボロボロです。そこから改善した筈もありませんから、経営的には相当に追い詰められているのだろう事は間違いないでしょう。ていうか、こんな需要ゼロのサービスに浪費してる場合じゃなかったってわけで、撤退も遅すぎたものと言うべきでしょう。

Canonical Group Limited Annual Accounts 2013