4/30/2014

[biz] NBA・LA Clippersのオーナーが人種差別発言で永久追放処分

スポーツというか、興業的なビジネス一般、特にその内部での処分や決定の類は、往々にして当事者の自由にすればいい話に思えて普段あまり関心を持てない私ですが、これは流石に驚きました。どういう事なんだろうと。

米バスケットボールリーグNBA・西カンファレンスに所属するプロバスケチーム、LA ClippersのオーナーであるDonald Sterlingが、知人に対し、"黒人を連れてくるな"という旨の人種差別発言をした際のテープが流出し、非難が集中していた件ですけれども。そのNBAコミッショナーAdam Silverが決定、発表した処分内容が、罰金+無期限の出禁だろうとした大方の予想を裏切り、永久追放となったとの事。オーナーの追放という事で、チームの売却も強制する旨併せて発表されています。

通常の業界や組織におけるパワーバランスの観点から、常識では到底考えられない、そのあまりに大胆な処分内容に驚愕させられます。驚きつつ、少なくともこれは余程の事情があるんだろうと思って調べてみれば、Sterling氏が人種差別、殊に黒人を差別する発言を行ったのはこれが初めてではない、どころか、殆ど公然の事実だったそうなのですね。自身をして植民地主義者等と公言してもいたそうで。その疑問を容れる余地の無い、徹底的な差別発言の数々には戦慄を禁じ得ません。

確かにその過去から続けられて来た氏の振る舞い、その記録を見るだに、むしろこの時代にこのような人物が、パブリックな地位に存在している事の方が不思議に思える位で、今回の追放処分にも当然の結果と納得出来てしまった次第なのです。

ただ、それでも有力クラブのオーナーとコミッショナーの力関係は圧倒的にオーナーの方が強いに決まっているわけで。それを覆した今回の決定の異常性は尋常ではなく、如何に氏が極端な人種差別者であろうとも、それだけでは十分な説明足り得ないようにも思われるところです。実際、人種差別なんてどこにでもある話ですし、事実Sterling氏もこれまでは不問であったのですから。

当然、今回の決定に至るには、何かしらの組織内外を巡る構造的な要因が主たる要因として存在している筈です。それは何なのでしょうか。現状では全くの外部から俄に窺い知る事は困難ですが、多分にNBA内部でのパワーバランス、殊にオーナー陣の中での変化があった事は間違いないように思われる所です。組織の最高権力者の一員たるオーナーを追放まで出来るのは、同等の地位にある者、すなわちその他のオーナー以外に無いのですから。少なくとも、コミッショナーら運営側が主導出来るような話ではあり得ません。

その辺りの中身は、急がずともこれから明らかになってくるのでしょう。何せ、チームの売却強制が入っているのですから。チームの売却を強制出来る明確な法的根拠は存在しないとの見方も相当にあるそうですし、いずれにせよSterling氏には莫大な損失を与えるところ、ほぼ確実に訴訟に至るだろうし、その過程で今回の決定を主導した面々は否が応にも顔を出さざるを得ないでしょう。

果たしてそこに現れるのは如何なる顔ぶれ、また思惑か。単に人種差別主義者を排除しようとする黒人はじめ被差別人種の代表者達なのか。それとも、これを機にClippersを巡って一儲けを企む山師達か。はたまた、組織内でのパワーそのものの奪取を目論む権力主義者達なのか。個人的な怨恨も容れる余地があるでしょう。そして、その争いが如何なる結末に至るのか。不謹慎ですが、非常に興味深く、否が応にも注目せざるを得ないのです。さてさて。

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