ソニー不動産、ですか。。。率直に言って違和感が尋常ではないですね。一般に不動産と関係の深い金融事業に進出済みである以上、その次の領域としてはむしろ自然なんですけれども、旧来のソニーブランドのイメージからは対極にあるのも事実、もうブランドも何もあったものではありません。
元々、ソニーはデザインや機能一般に先進性を持ち、尖った製品を売り出す点でイノベーターとしての高い評価を受ける一方、品質や耐久性、ユーザーへのサポートと言った信頼性の面では他と比較しても低い評価が定着した会社であるわけで。 衰えたとはいえ誰もが知るその名前は、新規参入に際してのパブリシティの面では極めて強力なんでしょうけれども、調査や交渉等、個々の売買が複雑かつ長期に渡り、売った後も数十年単位で関係が続く、従って信頼性が何よりも重要とされる不動産事業では、マイナスに働く面は非常に大きいものと思われるところです。
要するに手離れという言葉から最も遠いのが不動産です。売れば終わり、などという事はありえません。が、従来の製品に関するソニーのやりようから敷衍するに、後先を考えない、売れれば何でも良いとばかりの虚偽表示や詐欺同然の強引な営業とか、杜撰な管理、顧客対応でもアフター放置や打ち切り、軽率な対応やらが多発して大炎上する未来がありありと見えます、というかそういうのしか想像出来ません。恐ろしや。
おおよその経緯、経営的な意図はわかるのです。大多数の見方と同じく、テレビを初めとした従来のモノ作り、さらにゲーム等のコンテンツ販売といったコンシューマ系の、規模を追った製品販売中心の事業が立ち行かなくなり、その中で比較的マシとあってここ数年建前上の次代の柱と位置づけて来たスマホ関係も先行き不安、R&Dもリストラし尽して最早新規事業創出の芽もないとあって、サービス系にその代替を求める事情はよく理解出来るところです。
そして、そのサービス系の新規事業候補の中で、ソニーの規模の企業体の主力として成立し得る規模、また安定性を見込める事業というのは無論の事そう都合良くあるものではないわけで。既存の事業分野のうちでその要件を満たすものから、前述の通り金融との親和性も高い不動産を選ぶ、というのは、発想としては理解出来ます。強いて他に候補と思えるだろう事業分野は農業位、でもそれは他の電気系は参入済みで、その前例を見る限りは無理っぽいし、不動産でもやるか、とかいう感じですかね。
しかし、いくら考えてもやはり違和感は半端無いし、安直に過ぎる気もします。無理やり感というか、無理っぽさもひしひしと感じられます。けれど、新規事業というのは、やってみなければわからない部分もまた多分にあるわけで。案外上手くやって、ITに関しては個々の事業者毎にサイトが乱立する不動産業界をそのネームバリューを使って整理統合し、標準の地位に収まる未来も有り得るのかもしれません。
でもあのソニー、というのが。肝心の信頼性の面で引っかかるのがなんとも。実際、既存の他業者がとりわけ信頼がおけるわけでもなし、ほんとはそう大差もないんでしょうけれどもね。それでも過去が過去ですから、懐疑的な目を向けられるのも仕方ない事でしょう。そういう世間一般、顧客のイメージをどう乗り越えるのか、あるいは乗り越えられずに討ち死にするのか、期待せずに拝見するとしましょうか。
ソニー、不動産事業に参入=新規事業創出部を設置