4/01/2014

[biz law] 米でリアビューカメラ搭載義務付け、2018年からほぼ全車種

米国で、新車の自動車のリアビューカメラ搭載義務付けが決まったそうで。対象は4.5トン以下の全新車で、乗用車はほぼ全てが含まれます。これは結構思い切ったなあと、少し驚きました。

一応、本件の経緯としては、ここ数年、バック時の不注意に起因する事故、特に小柄で死角に入りやすい子供が犠牲になる事例が多発し、その防止のためバックカメラの搭載を義務付けるべき、との主張が多数提起されていて、それが実を結び、本決定に至ったものなわけです。バックカメラの導入が安全性の向上に寄与する事に疑いの余地はなく、施策自体は十分に合理的なものと言えるでしょう。

ただ、殆ど例外がなく、原則全ての車に義務付けられた点と、それだけの大変更なのに施行開始が2018年、あと四年しか猶予が無い、というのは正直意外でした。四年というのは、消費者からすれば長く感じますが、自動車の事業計画のスパンからすればむしろ異例の短さと言うべきです。何しろ、従来リアビューオプションの無かった車は勿論、その表示に必要となるカーナビ等のモニタを搭載していなかったモデルまで、商用等でそれなりの規模があるカテゴリ自体を一気に廃止するという事なのですから。当該カテゴリは概ねコスト重視の最廉価帯にあたる事もあって、一定範囲のユーザにはその購買行動の強制的な、それも負担を増やす方向の転換を迫るものだし、メーカーの事業計画に及ぼす影響も相当なものがありそうです。

勿論、メーカーに取っても面倒な規制というだけではなく、車載カメラやカーナビ等、関係する車載機器メーカーには拡大の機会になるでしょう。また、本件のカメラ標準化は、将来的には自動運転等の導入へ向けたマイルストーンと位置づけて活気づく向きもそれなりに出そうです。けれども、今回のバックカメラだけを先行させる措置というのは、その辺りの将来的な展望を込みで見ると、どうも中途半端な印象を拭えません。というのは、あくまで後方を目視出来るモニタカメラが備われば良い、というのが標準という事になると、コスト面の最適化の結果、それだけに特化した各社規格もバラバラな機器が無秩序に普及してしまい、自動運転や各種認識には転用出来ず、結局それ以上先には進めなくなる可能性が高いでしょうから。

理想的には、そういう将来の発展的な利用法も考慮して標準化した上で、その先行的、部分的利用という位置づけで規格化された機器を普及させるのが良いんでしょうけれども、それはやはりあまりに困難という事なのでしょう。標準規格化したくても、ゴールの2018年から逆算すれば、その規格は現時点で確立されていなければならないでしょうから、それも無理からぬように思われるところです。交通システムを情報処理面で飛躍的に進歩させられる折角の機会なのに、と少し残念ですが、仕方ありません。その代わり、各社バラバラに色々混ぜてくるでしょうから、そのバリエーションを楽しむのが吉でしょうか。その頃には、Appleの残念なナビも少しはマシになっているといいのですが。あまり期待しないで待つとしましょう。

GMあたりはそんな余計な事考えてる場合じゃないですしね。。。

あと気になるのは、日本への波及はいつ頃になるか、位でしょうか。おそらくはそう時間を置かずに追随するだろうとは思われますけれども、私見ながら日本における事故では、誤操作や単なる不注意等、バックカメラの有無と関係ない事例の比率が相当に高いように思われますし、拙速に陥らず、実情をよく踏まえた上で、最適な施策が採られる事を願いたいものです。

Rearview Cameras by 2018 for Cars and Light Trucks