みんなの党代表の渡辺喜美衆院議員がDHC社長の吉田嘉明会長から多額の借入れを行っていた事が暴露された件、これは詰んだでしょうか。であれば、既成政党への不満を自らの支持に取り込み、第3極の主たる候補として着実に勢力を伸ばした党も同時に事実上の終焉というわけです。呆気ないものですね。
本件、二回行われたとされる資金の提供時期がいずれも選挙の直前であった事、またその額から、政治資金である事に疑念を入れる余地はあり得ないでしょう。また、資金の授受の事実自体は既に渡辺議員本人も認めているところですが、その際の一連の行為を本人が自ら行った事をも認めた点は、従来から同様の政治資金を巡る不正で常套的に用いられる手口、すなわち秘書の独断とする責任回避が行えず、直接本人にその責が及ぶ事を意味するわけです。
そして、その告発者が他ならぬ資金提供者自身で、その個々の資金移動の記録も保持されているとあっては、もはや渡辺氏本人について政治資金規制法違反の要件が満たされている事に疑問の余地はなく、従って渡辺氏本人の検挙は免れない結果、氏の政治生命は潰えたと見るべきところでしょう。
多数指摘されている通り、本件の構図は、概ね元東京都知事の猪瀬氏の件と同様なわけです。首都とはいえ、一地方自治体の長に過ぎなかった猪瀬氏ですらあれだけの非難に晒され、起訴も免れ得なかった事を鑑みれば、遥に責任の重い国会議員の、しかも有力政党の代表でもある渡辺氏には、それ以上の応報があって当然でしょう。
折しも近年、党名とは真逆に渡辺商店と揶揄もされるその独裁的な党運営によって、党内の抗争から分裂を招き、その後も分裂した江田元幹事長が代表を務める結いの党と見苦しい対立を続けた挙句、第3極としての自負も忘れて与党自民党の一勢力を自称するに至った事で、その評価は地に堕ちていたところ、世論の支持は全く期待出来ず、むしろここぞと非難が寄せられる事でしょう。有権者の期待、信任を裏切った報いとしては軽すぎる位に思えますが。
そして、渡辺氏はこれまで通り見苦しい自己弁護を強弁し、ほぼ全方位的に受けるだろう非難に油を注いで事態を悪化させ続けて退かず、最終的に司法の強制によって退場させられるまでその追求は続くのでしょう。それらは社会にとって全く以って無駄な手間という他ないわけで、想像するだにうんざりさせられる次第なのです。
しかし、これで維新に続いてみんなの党も事実上の失勢というわけで、自民党への不信任に始まった、第3極としての地位確立を目指した一連の新興政党設立改革の試みもこれであえなく終了ですか。民主党の躍進のち急速な没落・退場を経て、本来ならまさに今こそ革新の担い手となる事が期待される時期だった筈なのですけれども、いずれも代表者のお粗末としか言い様の無い振る舞いによって自滅してしまいました。もはや残念とも思いません。所詮はその程度の人間しか居なかったというだけの事なのでしょうから。元よりこのまま、緩やかな衰退を続けるより他の選択肢など日本には無かったと言うことなのでしょう。
ああ、あと舛添東京都知事も早くもキナ臭い感じですね。ほんと何処もかしこも、で馬鹿馬鹿しいったらありません。
ところで、本件の8億円は全て借入れ扱いとの事ですが、選挙資金って基本使い切りなところ、その返済はどうするつもりだったんでしょうか。3億程は返済した、と言うのも、一体どこから支弁したんでしょうか。熊手購入に使ったとかいう寝言が真実か否かに関係なく、借金である以上は必ず返済されなくてはなりません。が、これだけ騒がれ、貸主が返済を求めているにも関わらず、なお5億は未返済という事実から、少なくとも現時点で返済不能である事は間違いないわけです。
しかるに事業者でもない公職の身に、そんな多額の臨時収入が正規のルートで発生する筈もありません。宝くじの一等でもまだ足りません。というわけで、要するに最初から借金を借金で返す自転車操業前提、もしくは返す気が無かった事が強く示唆されるのですね。この点、実状はどうあれ一応返還して、ある程度借入れの体裁を繕いはした猪瀬元知事よりも酷いものと言えるわけで。いやはやつくづく終わっています。
「個人として借りた」=DHC会長からの8億円-渡辺氏
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