Ukraine政府は無論、およそ全ての諸外国の緩慢な説得は当然のように無視され、Russiaは帝国主義に立ち戻り、Crimea併合を強行しました。やはりRussiaのそれは、死ななければ治らない類のものだったようです。もはや惨事は避けられないのでしょうか。
まず、Russia本土とは海峡を隔てて地理的接続がなく、水道や電気等のライフラインをはじめ、社会システムの大半、また経済的にもUkraine本土にその大部分を依存するCrimeaがその接続を分断されれば、自立出来ないその小さな社会は崩壊する他ありません。約束された通りのRussiaからの配給等援助があれば個々人が困窮により死ぬ事は避け得るでしょうけれども、社会の仕組み自体が一旦消滅する事は避けられないでしょう。
次に、既に領土の侵略が建前の上でも明らかな所となり、それは諸外国にとって国際法の観点から到底許容され得ないだろう以上、西側諸国を中心に、経済的損失を恐れるが故に躊躇われていた実効ある制裁すなわち、ガス供給取引の途絶、Russia政財界要人の出入国制限及び財産凍結、それに続く資本循環の途絶も、もはや回避困難な状況に至ったように思われます。
さらに、これまで国内体制の不安定性から自制されていたUkraineの軍事的活動も、事ここに至って予備役召集等の体制整備に動いていると報じられる一方、Crimea内では死者を伴う衝突が発生したとの報までもが流れています。それらが事実であれば、もはや経済的な損得を軸とした外交的交渉による解決に期待すべき段階は過ぎ去り、その軸は軍事を含む実力行使を前提とする段階に移ってしまったものと考えるべきなのでしょう。
他国自国問わず、人命を奪う事に何らの躊躇いもないRussianの事です。これまで建前上は一応の取り繕いを見せていた武力行使も、自国領の防衛、自国民の保護と称して公然に行うだろうし、追い詰められたUkraine軍との衝突、あるいは一方的な虐殺すら容易に起こりうるでしょう。そして、諸外国をも巻き込み、双方に死者を出そうとも退かず、おそらくは軍事的境界線が引かれ、新しい冷戦の時代が始まる。そういう、暗鬱たる、絶望的な結果以外の先行きを想像する事は困難です。
別にいいのです。Crimeaが侵略され、そこで何が起ころうとも。アフリカや中東で起こっている数多くの紛争と同じ事です。このまま仮にUkraineとRussiaが近隣を巻き込む軍事衝突に至ったとして、遠く離れた、それも元より敵国の筆頭であり、今以て大戦時の領土簒奪の禍根も残る、元Soviet連邦内部での紛争なのですから。その中で、Crimeaの住人が生活に困窮しようと、命を落とそうと、RussiaとEU諸国はじめ諸外国との間に築かれた互恵関係がただ無為に帰して双方が甚大な経済的損失を被ろうとも、日本にとっては殆ど関係がなく、実質大した影響もありようがないのですから。EU諸国とRussiaが経済的に毀損する結果として、間接的に当地で事業展開している企業がいくらか損害を受けるだけの話でしょう。むしろ、丁度このところ中国や朝鮮等、国家間の関係見直しが進んでいるところですし、Russiaも改善に努めるだけ無駄だろう点では同様なところ、ならばいっそ、それらの国と一緒に、経済的にも政治的にも、まとめて距離を置いてリスクを抑える良い機会だろう、と冷めた気分で思う次第なのです。
Tourism Dollars Dry Up, Alongside Crimea’s Bank Funds
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