3/29/2014

[biz law] GMのリコール隠蔽、追加発覚97万台

GMのイグニッションキースイッチ不具合長期隠蔽の件、新たに97万台をリコール対象に追加したとの事で。この期に及んでまだ放置していた事に愕然です。

本件対象の97万台は、ディーラーやパーツショップ経由で交換修理用に販売された約10万個のスイッチユニットに当該不良があり、同規格パーツを適用可能な車種のうち、いずれに使用されたかが不明なため、可能性のある車種全てを対象とした結果の台数との事。もはやGMの説明に信用も何もないわけですけれども、仮にそれが事実として、10万台程度も、ユーザの生死に関わる致命的な不具合を発覚してなお利用者を安全と騙して放置し、危険に晒し続けたという事になります。

さらに、今回の措置に添えられた説明中の、これは利用者の安全を優先した故の特別な措置である、とのGMの言には、愕然のち呆然とさせられてしまいました。何を言っているのかと。本対処は最低限ですらない当然の義務、と言うよりそもそも本件不具合を発生させ、しかも10年以上に渡って放置し、多数のユーザを死に至らしめた凶悪極まる犯罪、その継続を止め、終了させるだけのものに過ぎないのですから。それを特別と言っている時点で、反省以前にその犯した罪の自覚すらないものと考えざるを得ず、その狂気に寒気がします。

既に訴訟は数え切れない程提起され、米政府等による正式な追求も目前に迫っています。本リコールはその対策との意見が真実であろうとなかろうと、この様子では、多分に見るに耐えない自己弁護、責任回避に走る姿を改めて見せつけられそうで、想像するだに今から気分が悪くなります。よくこんなのが業界トップとか続けていたものだと。トップだからこそ、その地位に驕った結果の腐敗という事なのかもしれませんけれども。いずれにせよ最悪と言う他ありません。

G.M. Expands Ignition Switch Recall to Later Models

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3/27/2014

[pol] みんな代表・渡辺喜美、不正資金授受暴露で党もろとも終了確実

みんなの党代表の渡辺喜美衆院議員がDHC社長の吉田嘉明会長から多額の借入れを行っていた事が暴露された件、これは詰んだでしょうか。であれば、既成政党への不満を自らの支持に取り込み、第3極の主たる候補として着実に勢力を伸ばした党も同時に事実上の終焉というわけです。呆気ないものですね。

本件、二回行われたとされる資金の提供時期がいずれも選挙の直前であった事、またその額から、政治資金である事に疑念を入れる余地はあり得ないでしょう。また、資金の授受の事実自体は既に渡辺議員本人も認めているところですが、その際の一連の行為を本人が自ら行った事をも認めた点は、従来から同様の政治資金を巡る不正で常套的に用いられる手口、すなわち秘書の独断とする責任回避が行えず、直接本人にその責が及ぶ事を意味するわけです。

そして、その告発者が他ならぬ資金提供者自身で、その個々の資金移動の記録も保持されているとあっては、もはや渡辺氏本人について政治資金規制法違反の要件が満たされている事に疑問の余地はなく、従って渡辺氏本人の検挙は免れない結果、氏の政治生命は潰えたと見るべきところでしょう。

多数指摘されている通り、本件の構図は、概ね元東京都知事の猪瀬氏の件と同様なわけです。首都とはいえ、一地方自治体の長に過ぎなかった猪瀬氏ですらあれだけの非難に晒され、起訴も免れ得なかった事を鑑みれば、遥に責任の重い国会議員の、しかも有力政党の代表でもある渡辺氏には、それ以上の応報があって当然でしょう。

折しも近年、党名とは真逆に渡辺商店と揶揄もされるその独裁的な党運営によって、党内の抗争から分裂を招き、その後も分裂した江田元幹事長が代表を務める結いの党と見苦しい対立を続けた挙句、第3極としての自負も忘れて与党自民党の一勢力を自称するに至った事で、その評価は地に堕ちていたところ、世論の支持は全く期待出来ず、むしろここぞと非難が寄せられる事でしょう。有権者の期待、信任を裏切った報いとしては軽すぎる位に思えますが。

そして、渡辺氏はこれまで通り見苦しい自己弁護を強弁し、ほぼ全方位的に受けるだろう非難に油を注いで事態を悪化させ続けて退かず、最終的に司法の強制によって退場させられるまでその追求は続くのでしょう。それらは社会にとって全く以って無駄な手間という他ないわけで、想像するだにうんざりさせられる次第なのです。

しかし、これで維新に続いてみんなの党も事実上の失勢というわけで、自民党への不信任に始まった、第3極としての地位確立を目指した一連の新興政党設立改革の試みもこれであえなく終了ですか。民主党の躍進のち急速な没落・退場を経て、本来ならまさに今こそ革新の担い手となる事が期待される時期だった筈なのですけれども、いずれも代表者のお粗末としか言い様の無い振る舞いによって自滅してしまいました。もはや残念とも思いません。所詮はその程度の人間しか居なかったというだけの事なのでしょうから。元よりこのまま、緩やかな衰退を続けるより他の選択肢など日本には無かったと言うことなのでしょう。

ああ、あと舛添東京都知事も早くもキナ臭い感じですね。ほんと何処もかしこも、で馬鹿馬鹿しいったらありません。

ところで、本件の8億円は全て借入れ扱いとの事ですが、選挙資金って基本使い切りなところ、その返済はどうするつもりだったんでしょうか。3億程は返済した、と言うのも、一体どこから支弁したんでしょうか。熊手購入に使ったとかいう寝言が真実か否かに関係なく、借金である以上は必ず返済されなくてはなりません。が、これだけ騒がれ、貸主が返済を求めているにも関わらず、なお5億は未返済という事実から、少なくとも現時点で返済不能である事は間違いないわけです。

しかるに事業者でもない公職の身に、そんな多額の臨時収入が正規のルートで発生する筈もありません。宝くじの一等でもまだ足りません。というわけで、要するに最初から借金を借金で返す自転車操業前提、もしくは返す気が無かった事が強く示唆されるのですね。この点、実状はどうあれ一応返還して、ある程度借入れの体裁を繕いはした猪瀬元知事よりも酷いものと言えるわけで。いやはやつくづく終わっています。

「個人として借りた」=DHC会長からの8億円-渡辺氏

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[biz law] 日産がエアバッグ非動作でリコール99万台

日産が米国にてエアバッグ動作不良のリコール。2013~2014に販売された、リーフやアルティマを含む複数車種計989701台が対象という事です。

本不具合は、具体的にはエアバッグの動作の電子制御部で、シートに人が着座しているか否かを検知し、着座時にのみエアバッグを動作させる仕様になっているところ、人が座っているにも関わらず空席と誤判定する不具合があり、従って事故時にエアバッグが動作しない、とのこと。

要するにユーザの生死に直接関わる致命的な不具合です。本不具合による犠牲者の有無等は公表されておらず不明ですが、対象期間は短いものの、台数の多さから既に被害が多数発生している事態も強く懸念されるところです。

折しも、まさに同様のエアバッグの欠陥に関して、最大手たるGMが史上類を見ない程の、全米挙げての苛烈な追求に晒されている最中であるこのタイミングでの本リコールには、やはりGMだけではなかったかと、逆に腑に落ちるものを感じさせられます。しかるに本リコールは、そのGMの惨状を受け、同様の不具合を抱え、しかし多分にその損失を嫌って抜本的対策を怠っていた日産が、隠蔽放置を続ければGMと同様の窮地に追い込まれるだろう事を知り、急遽方針を転換して行ったものだろう事も容易に想像されるところです。おそらくGMの件が無ければリコールは行われず隠蔽され、その期間の分だけ多数の犠牲者が発生していた事でしょう。

それはすなわち、無数の利用者の命を預かる大手自動車メーカー、それも複数が、かようにその経済的利益を優先し、生命を犠牲にして恥じない、極めて強い反倫理性を帯びている、その暗鬱たる現実が晒け出されたものに他なりません。それによって生じた、また生じる可能性のあった膨大で取り返しのつかない深刻な被害、それらを十分に認識しながら防止するどころか蔓延させる悪質さを鑑みれば、自発的な改善など望むべくもないのでしょう。ただ、その報いは十分に受けるべきだろうと思う次第なのです。いっそ潰れるまで。

Nissan Recalls Nearly 1 Million Vehicles Over Airbag Issue
Nissan Recalls 990,000 Cars and Trucks for Air Bag Malfunction

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3/26/2014

[note] eBayでの購入品が連続でロストしてげんなり

何か疲れました。いや、この間eBayで、デジカメ用とかモバイルルータ用とかの小さいバッテリー類を同時期に幾つか続けて購入したんです。香港の業者から。そしたら、全部が全部、オーダー完了・発送から30日経っても届かないんですね。どれも送料込み数ドル程度のものなので、当然ながらTrackingなしで今どうなっているのかも分からないわけです。

秋頃にタブレット用のケースを買った時にもやたら時間がかかった事があって、その時はrefundした後、実に発送から50日目になって届いた経験があったので、またそれか勘弁しろよHongKongPost、と思って今度は直ぐにopen caseはせず、しばらく待ってみたんです。でも40日経過してもまだ届かないんですね。遅延が悪化しているのか、本当にロストしたのかは分かりませんけど、実際がどうであれそれを知りようもない以上、届かないものはとりあえずロストしたものとして扱う他なく、結局全件case行きと相成ったわけです。待った時間は無駄でした。悲しいです。どうにかならないんでしょうかこれ。

そしたら業者がどれもrefundは提示せず、reshippingのみを提示して来たんです。これだけ待たせて、また何週間も待たせる気か、とますますげんなり。大体、30日以上の場合はrefund or reshippingって書いてあるのですけれども、何しれっとrefundだけ無かった事にしてるのと。その再送処理にしても、曰く補償として、というのですけれども、全然補償になってませんし。そもそも再送されたとして、それがまたロストの二の舞にならない保証もないし、と色々と苛立たせてくれます。けれど、そもそも色々業者と交渉やら手間をかける程の金額でもないし、と感情を抑えて再送に同意の旨返信したわけですけれども、さて本当に届くのやら。

しかしこう、延着やらトラブルに連続して遭遇すると、エアメールによるFreeShippingは以前の機能性が失われ、破綻しつつあるのかなと、システムそのものに疑いを抱かざるを得ないわけで、そうであれば折角の安くて便利なサービスが失われた事になって、それには残念の一言なのです。まだそうと確信するには早計にも思われるし、もうしばらく使ってはみますけど。偶々運悪く連続した、ってだけであるよう願いたいものです。正直期待は出来ませんけれども。

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3/19/2014

[pol] 断絶と衝突。全てを無に帰す愚かな侵略者、ロシア

Ukraine政府は無論、およそ全ての諸外国の緩慢な説得は当然のように無視され、Russiaは帝国主義に立ち戻り、Crimea併合を強行しました。やはりRussiaのそれは、死ななければ治らない類のものだったようです。もはや惨事は避けられないのでしょうか。

まず、Russia本土とは海峡を隔てて地理的接続がなく、水道や電気等のライフラインをはじめ、社会システムの大半、また経済的にもUkraine本土にその大部分を依存するCrimeaがその接続を分断されれば、自立出来ないその小さな社会は崩壊する他ありません。約束された通りのRussiaからの配給等援助があれば個々人が困窮により死ぬ事は避け得るでしょうけれども、社会の仕組み自体が一旦消滅する事は避けられないでしょう。

次に、既に領土の侵略が建前の上でも明らかな所となり、それは諸外国にとって国際法の観点から到底許容され得ないだろう以上、西側諸国を中心に、経済的損失を恐れるが故に躊躇われていた実効ある制裁すなわち、ガス供給取引の途絶、Russia政財界要人の出入国制限及び財産凍結、それに続く資本循環の途絶も、もはや回避困難な状況に至ったように思われます。

さらに、これまで国内体制の不安定性から自制されていたUkraineの軍事的活動も、事ここに至って予備役召集等の体制整備に動いていると報じられる一方、Crimea内では死者を伴う衝突が発生したとの報までもが流れています。それらが事実であれば、もはや経済的な損得を軸とした外交的交渉による解決に期待すべき段階は過ぎ去り、その軸は軍事を含む実力行使を前提とする段階に移ってしまったものと考えるべきなのでしょう。

他国自国問わず、人命を奪う事に何らの躊躇いもないRussianの事です。これまで建前上は一応の取り繕いを見せていた武力行使も、自国領の防衛、自国民の保護と称して公然に行うだろうし、追い詰められたUkraine軍との衝突、あるいは一方的な虐殺すら容易に起こりうるでしょう。そして、諸外国をも巻き込み、双方に死者を出そうとも退かず、おそらくは軍事的境界線が引かれ、新しい冷戦の時代が始まる。そういう、暗鬱たる、絶望的な結果以外の先行きを想像する事は困難です。

別にいいのです。Crimeaが侵略され、そこで何が起ころうとも。アフリカや中東で起こっている数多くの紛争と同じ事です。このまま仮にUkraineとRussiaが近隣を巻き込む軍事衝突に至ったとして、遠く離れた、それも元より敵国の筆頭であり、今以て大戦時の領土簒奪の禍根も残る、元Soviet連邦内部での紛争なのですから。その中で、Crimeaの住人が生活に困窮しようと、命を落とそうと、RussiaとEU諸国はじめ諸外国との間に築かれた互恵関係がただ無為に帰して双方が甚大な経済的損失を被ろうとも、日本にとっては殆ど関係がなく、実質大した影響もありようがないのですから。EU諸国とRussiaが経済的に毀損する結果として、間接的に当地で事業展開している企業がいくらか損害を受けるだけの話でしょう。むしろ、丁度このところ中国や朝鮮等、国家間の関係見直しが進んでいるところですし、Russiaも改善に努めるだけ無駄だろう点では同様なところ、ならばいっそ、それらの国と一緒に、経済的にも政治的にも、まとめて距離を置いてリスクを抑える良い機会だろう、と冷めた気分で思う次第なのです。

Tourism Dollars Dry Up, Alongside Crimea’s Bank Funds

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3/18/2014

[biz] マレーシア航空機失踪を巡る憶測の洪水

Malaysia Airlines機失踪の件、誰も彼もが根拠もない思い込みを好き勝手に主張し、デマも同然の推測が飛び交う混乱の極みにあるようで、見るに耐えません。

そもそも、本件に限らず、トラブルに対処する際の一般論として、何よりもまず実行すべきは状況の把握であって、基礎となる事実を冷静に確認し、確実と考えられる事実のみを認識する事が求められるわけです。そして、その把握された事実を基礎に考えうる仮説を列挙し、その上で、現実性を主軸として仮説に優先順位を付け、実行可能性を考慮しつつ原則として優先順位に従い一つずつ検証を進める、もしくは実行不可能と判断して諦める、といった行動計画に基づく対処により確実な対処がなされるべきところなわけです。というか、そうでなければほぼ確実かつ即座に混乱に陥って収拾が付かなくなるのであって、そうしなければ何事も立ち行かないし、とりわけその問題が深刻で規模の大きい場合には絶対に必要なプロセスである、その事は、それなりのトラブルに対処した経験のある向きならば当然に弁えている話でしょう。

しかるに、事実と推測とデマが混然として区別されないまま飛び交い、また各国の各機関がてんでばらばら好き勝手場当たり的に振る舞い、対立すら当たり前、な現在の状況は完全に真逆、論外もいいところです。元はと言えば、そのとりまとめをすべきマレーシア政府自体がそもそも事実と推測の区別や整理以前に現状の把握から全く出来ておらず、自らデマを発生させ混乱を助長し続けているものとも言えるわけで、それは非難されて当然なところでしょう。

そういう、拡大悪化の一途を辿り、既に混濁もして収拾不能に見える今の構図は、何か企業における障害対応等のトラブル発生時における最悪の対応パターン、その拡大版のように思えて、であれば本件もその種の混乱と同様の結果すなわち破綻へまっしぐらな先行きも確信せざるを得ないわけで、心底うんざりさせられるのです。実際のところ、もうダメでしょうとも思います。巻き込まれた自衛隊はじめ関係者各位におかれましては、誠にご愁傷様としか言いようがありません。南無。

憶測で溢れかえり混乱する現状において事実と言えるのは、南シナ海上空で消息を断った、という所までのようです。周辺を捜索したものの見つかっていない、と言っても、その範囲は殆ど海面上のみで、海の底まで確認したわけでもない以上、単に海に沈んだものと考えるのが最も自然だし、可能性が一番高いように思われるところです。そして、仮にそうだとして、実際問題としてそれを確認する術は無く、またそうでないとしても、仮説も満足に立てられず、従って場所の絞り込みもままならない以上は、捜索自体が不可能なわけで、であればもう諦める他ない、そう結論付けるべきもののように思われるのです。

中国あたりは当事者として引くに引けないでしょうから、どう責任を他所に転嫁してトーンダウンするか、あるいは固執するか、悩ましいところなんでしょうけれども、日本あたりは元々捜索に参加する義務も義理もなかったのですから、かような状況であれば、もう一抜けた、して撤退してもいいように思われるわけですね。

無論、本件に巻き込まれ失踪した乗客とその関係者は同情に値するし、生存の可能性が残る以上、それを見捨てる事は人道に悖る故にまだ継続すべき、とそういう心情、理屈がある事は十分に理解出来るところですが、それに従って継続するとしても、最低限の前提というか見通しは必要だし、進め方と言うものがあると思うのです。それが全く無理なのであれば、如何な心情があろうとも、その行動、手段は支持しようが無い、とそういう事です。そして、その行動における判断と対処はともに状況に応じて速やかに行われるべきだと思うのです。

ともかく、続けるにせよ、諦めるにせよ、この見苦しいメディアの、報道とは到底言えないデマの山の拡大生産垂れ流しだけは、一刻も早く止めさせて欲しい、とそう心から願う次第です。

3/17/2014

[biz] 中国でのニコンD600の黒点問題蒸し返しに

盛んに報道されている通り、NikonのD600が中国で欠陥商品と認定され、これを受けて上海当局が販売禁止命令を出したそうですが、何で今更、と首を傾げざるを得ない謎な話です。

ニコンのフルサイズ普及機である件のD600に、撮影画像中に黒点が写り込む不良が多数報告されていた事は、当時Nikonの主力機種として注目を集めていたのもあって、ユーザは無論の事、一般にもよく知られていたところでありました。完全に解決したという話も聞きませんし、今回の動きにも根拠の無いわけでは全くない事は明らかです。しかし、それはもう一年以上も前の話で、既に後継機のD610もリリースされて時間も経ち、D600も終息に向かいつつある今となっては、ユーザ以外には概ね忘れられていたようなものだった筈なわけで。かく言う私もこのニュースを聞いてそういえばあったねそういうの、と思い出した位なのです。

しかも、思い返すにこの問題自体、撮像素子等に不良があったのではなく、多分に後から機体内に入り込んだ細かい埃等が写り込んだだけのものが大半だろうと見做されていました。そうであれば、それは明らかな欠陥と言うよりはレンズ交換式カメラの避け難い性質で、各自の日々のメンテで対応可能な、またそうすべき範囲の軽微な事象と言えるように思われる程度のものなわけで。一部個体には、そのゴミが内部で発生しやすい場合がある事を指して欠陥だろうと指摘する向きもあって、事実なら尤もな指摘とは思いますが、それも推測に過ぎなかった筈ですし。

無論、だからと言って、サポートを疎かにしたり、対処が困難なユーザを突き放したりして良いわけは全くないでしょうけれども、Nikonも修理や交換等には普通に応じていたそうですし、概ね常識的な対応はしていたように思われるのですね。もとよりD600の購入者なんてコアな上客、そんな粗末に扱うわけは無いでしょうし、その辺の不手際を疑う理由は認め難く思われるところです。

かように、その影響の範囲程度共に大きいとは言い難いように思われる、それも過去の問題に対し、今回突然起きた中国での一連の動き、特にその規模には、俄には釈然とし難いものを感じるところであります。どういう事なのでしょう。競合他社のネガティブキャンペーンとか?と言ってもこのカテゴリでNikonに対抗し得るメーカーなんてCANON位しか無いし、そもそもこの種のゴミの写り込み等の問題はメーカー問わず多かれ少なかれ起きるものなのだから、多分に自爆にもなってしまうでしょうし、少々非合理に過ぎるように思われるところです。それとも、中国ではいい加減な対応をしていて、誰か中国の偉い人の恨みでも買ったですかね?はたまた単に製品の販売サイクルや関係する諸々の伝播にそれだけの時差があるってだけかもしれませんし。うーん。考えようにも情報が無いので何ともわかりません。

ともあれ。実際の事情がどうであれ、また如何に釈然とせずとも、現に中国国内でそのように見做されてしまい、実際に行政措置まで採られてしまっている以上は、Nikonとしては否応なく速やかかつ十分な対応をせざるを得ないわけで。元来から話の通じない中国社会相手に、さらに日本のメーカーとして排斥的な扱いも重ねて受けるだろうNikonが今後如何なる対応をするか、そしてその成否がどうなるか、とりわけその説明の仕方には、企業経営における危機管理の注目すべきモデルケースとして、興味を惹かれるところです。

D600は普及モデルとは言ってもその中では最も高価な製品ですし、そのユーザ数はそんなに多くないでしょうから、本件自体はユーザ毎に丁寧に対応すれば問題ないでしょうけれども。それよりは副次的に懸念されるところのNikonのブランド自体に対する悪影響を、如何に緩和し、回復を図るか、その辺が腕の見せ所でしょうね。さて。

中国、ニコンの一眼レフ販売停止命令 欠陥報道受け

3/15/2014

[sci] STAP細胞捏造を巡る対応で晒された理研の組織的反倫理性

理研によるSTAP細胞捏造の件、中間報告の内容を見て、そのあまりの姑息さに愕然、というか呆然としてしまいました。今以て信じ難く思う程です。

本報告、科学研究に携わる機関らしく、論理的妥当性や客観性を備えた事実確認とその分析の結果が報告されるだろうと思って聞けばさらにあらず。本件の発表内容の疑義がついた点を「過誤」とし、その原因を小保方氏ら研究者担当者の「未熟」さに帰責させ、論文自体は「ずさん」と表する等、およそ報告の全体に渡り、悉く故意を認めず、あたかも過失であるかのように装っているのですね。さらには内容の真偽は「第3者の検証によるほかない」の一言で説明以前に自発的な事実確認自体をも忌避する始末です。

見るに耐えません。何故そのような醜態を晒すのか、詭弁を弄するのか、その理由は明らかです。要するに組織的保身のために、間接的に故意ではなく従って非も罪も責任も無い、と主張する、意図的な自己弁護なわけです。それ以外の解釈が有り得るとは到底考えられません。

本件の捏造自体も遺憾極まるものですが、あの理研が、この期に及んで自らの過ちを正すどころか、組織ぐるみでそのような真逆の姑息な真似に及ぼうとは。支離滅裂の極みとも言うべき小保方氏の釈明と照らし合わせるまでもなく、本気で自身の言っている事が他者に欠片でも通じると思っているのか、内心そうは思っていない上での苦肉の取り繕いのつもりなのか、いずれにせよ科学者としての倫理性を欠片も窺わせず、最悪としか評しようのない今回の報告、その他の振る舞いも含め、その理研の在り様には、心の底からの失望に沈まされてしまいました。吐き気がします。ここに至ってはもはや如何なる釈明も無意味、全員2度と研究者を、研究機関を名乗るなというのです。

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3/13/2014

[biz law] 東芝からメモリ技術情報窃取、Hynix転職の元Sandisk社員逮捕

東芝のフラッシュメモリ機密漏洩の件、珍しく犯人の逮捕に至ったと聞いて、そんな事があるのかと少し驚きました。容疑者は杉田吉隆、元サンディスク社員であり、東芝の四日市工場に勤務した際に技術情報を取得し、それを転職先のHynixに流した不正競争防止法違反容疑で逮捕、と。

これ、確かに漏洩ではあるんですけれども、あくまで社内ではなく外部の人間によるもの、ということで、通常懸念される社員引き抜きに伴う技術流失移転とは性質が異なりますね。その意味で、高報酬による引き抜き等を関連付けて論じるのは筋違いのように思われます、とそれはともかく。

如何なる経緯、状況で容疑者が当該情報を取得したかは未公表につき不明ですけれども、容疑者が東芝へ派遣される側だった事、またSandiskと東芝の関係からすれば、おそらくはOEM生産に関する業務の際に付与された権限を不正利用した形でしょうか。であれば、これはNDA違反の事例で、その後始末と見るべきもののように思われます。

だとしたら、NDAが破られた事によって後始末的に実際に効力を発揮した珍しい事例であると同時に、その限界というか、その目的であり期待される機能であるところの漏洩抑止が、個人レベルの悪意に対しては機能しない事実を示したものと理解する事も出来そうです。

だからNDAは無意味だとか、いや有意義だとか、そういう話ではなく、この辺はNDAをそこそこ頻繁に利用する向きならおそらく誰もが想定しているだろう話なのですね。すなわち、ある種の機密情報を外部に出すにあたって、自らの管理が及ばない所に委ねる以上は、実際問題として最悪競合への漏洩も避けられない、その事は容易に想像出来るし、覚悟せざるを得ないわけです。そして、本当に漏れてはいけない決定的な部分は、例えNDAでも外部には出さないようにして、どうしても外部への開示が避けられない部分は、パテントにしておく、だとか、そういう実質的な面での管理がなされるのが常なわけで。知財の扱いに長けた東芝が、その辺の措置を全くしていなかったとは想像し難いところで、だからこそ容疑者を特定出来たし、今回の逮捕に至るまで証拠を伴う形で追跡し得たのかな、と推測したりするわけです。

本当の所は分かりませんが、もしそういう想像の通りなのであれば、今回逮捕された容疑者が一番の馬鹿だった、という帰結になるわけで、それはそれで一つの教訓として有意義とも言えるのかな、と。適当に管理してたら本当にヤバい所を漏らされた東芝がブチ切れた、ってだけかもしれませんが。

しかしそれにしても本件容疑者、何でそう馬鹿な真似をしたんでしょうか。只でさえ裏切り者が信用される訳がないところに、その拠って立つところが自力ですらないなんて、技術者としても何の価値もない、というか技術者とは言えないし、そんな体たらくでは、現代の産業界にあって一時すらもポジションが得られよう筈もないし、早晩詰んで、行き先も無くなる事は明らかだったでしょうに。それでも構わなくなる位の報酬があったなら、といって、当時には既に凋落の度を強めていたHynixにそんな余裕があったとは到底思えませんしね。どうにも理解しづらいところです。

東芝の技術漏洩容疑、提携先元社員を逮捕

続報によると、容疑者は内部のサーバにもアクセス出来る権限が与えられてたんだそうで、単に東芝が管理してなかったってだけだったようです。東芝って実はザルなのかと。とは言っても生産技術に関するものという事なので、厳密には最先端の研究情報というのとは少し違うようですけれども。

そして東芝からHynixへの提訴、さらにSandiskの提訴も続きます。当然ですね。Hynixもいよいよご臨終でしょうか。南無。

[biz law] 賃金上昇が中小に波及・継続するとかいう寝言

春闘がほぼ終わり、大手企業で数年ぶりのベースアップ実施回答が相次いで流れました。所得の増加は経済成長に最も寄与する要素ですし、それ自体は結構な事でしょう。が、続いて流れた、中小下請け企業への波及を語る声には耳を疑いました。何を寝言を言っているのかと。

周知の通り、ここ数年、トヨタをはじめとする各大手メーカーは、コスト削減と称して、毎年数十%にも上るあまりにも苛烈な価格低下を調達先に課して来ました。この5年だけでも半額以下になったケースも珍しくないと言われるところ、それによって品質の低下や、下請け側の自衛策としての談合が相次いだ事も記憶に新しいところです。 そして、輸入に多くを依存する原材料費は、円安と途上国のインフレにより今以て高騰を続けています。

そして、来月からは消費税増税による消費減に伴い、生産量の急激な減少も予想されているところです。下請けの利益が増える見込みは何処にもありません。こんな状況で、何処に人件費の増加に回す余裕がある、等と考えられるのでしょうか。

余裕が生まれたのは、最上層の大手企業、それも自動車等の輸出に重きを置く極一部の企業に限られたものな事は元より明白でした。それもおそらくは継続しない類の。内需が大きく毀損する来月以降は、その傾向はさらに強まる事でしょう。そして、その勝ち組と言うべき大手企業をしても、売上自体は数年前と比較して増えるどころか減っているものが大半です。要するに、下請けを搾取してコストを削減し、それによって利益率が高まっただけの事であって、当然搾取されたその他企業群には増益があろう筈もありません。分かり切った事です。

目の前の、ごく一部の都合のいい話にかまけるのも大概にしろと思うのです。個々の企業や個人であれば、各々の求める所に従う自由があるのですから、それも許されるでしょう。けれども、全ての国民に対して義務を負う政府はじめ公の機関までもが、そのような対象も範囲も期間も、全てにおいて極めて偏った都合の良い部分のみを見て、他の大多数は存在しないかのように扱うなど、愚かしいにも程があると思うのです。公機関は本来より弱い立場にあるものが、それゆえに不当に窮する事のないよう衡平を図るために存在する筈です。真逆たる現状を前にして、絶望を禁じ得ません。

もっとも、その近視眼的かつ独善的な愚かしさは最初から分かっていた事ではあります。そもそも各機関が、公平かつ有意味、時宜を捉えた政策を行える類のものであったというのであれば、全てを無に帰すも同然というべき消費税の増税を行う筈もなかったでしょうから。今更どうにもなる筈もないのでしょう。全く以って遺憾です。

[biz law] GMのリコール隠蔽、巻き戻される破綻の悪夢

GMのリコール隠蔽の件、その後米議会等を巻き込んで順調に追求が進んでいるようですけれども、多数準備が進められている民事訴訟に関して、GMが2009年に破綻・再生している事が法的にちょっと問題になっているようです。

というのも、再生処理を経た事により現在のGMは破綻前のGMとは法的に異なる新会社なのであって、また従前の債務は一旦清算されている事になっているため、本件に関する責任、賠償債務等を問うにあたり、その前提として新旧GMの連続性が必要となり、その是非から確認が必要になる、というわけです。で、その処理のため、再び破綻処理そのものを法廷で蒸し返す必要がある、と。もっともではありますが、面倒な話です。

とは言っても、破綻の前後におけるGMの相違点といえば、不良債権の有無程度であって、経営体制等、事業体としてはほぼ完全に引き継いでいるのだし、その同一性には疑いの入れる余地はないところです。また、本件破綻処理の際にGMがこの不具合と死亡事故を把握し、そして隠蔽し続けていた事もまず疑いようのないところです。従って、本件そのものに関しては、その実質的な論点において殆ど争われるべきものではなく、単に面倒というだけの事なんでしょうけれども。

本件自体というよりは、本件によって部分的にせよ破綻処理における清算の合意が覆される結果、2009年移行の処理そのものの妥当性、正当性が失われる側面もある、その部分の方が問題かもしれません。もし本件隠蔽がその破綻処理における判断に影響を与える重大なものだったと評価されれば、処理そのものが覆される可能性すらあるし、そうでなくてもその他諸々相当な範囲に波及する可能性は高い、というわけです。額も性質も史上最大なGMの破綻処理についての事ですから勿論尋常ではないわけで、考えるだけで恐ろしいものです。全て終わった筈の話、それもとびきりの悪夢と言うべき話とあっては尚更。

さらに、GMはその不具合を従来より数年早く、開発段階の2001年から把握していた、とかいう話も流れて、巻き戻す時間の拡大に伴い、その規模、悪質さ、深刻度をますます深めつつある本件、歴代の当局、米政府諸共に致命傷になって後には誰も残らなかった、とかいう結末も十分にありそうで、目先の利益に目が眩んで多数の人命を軽んじた報いとしてはそれでも不足に思えるところ、冷めた目を以って眺めざるを得ないのです。

Lawyers Prepare for G.M. Suits With Novel Strategies
G.M. Reveals It Was Told of Ignition Defect in ’01

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3/10/2014

[sci] 幻と消えゆくSTAP細胞、生じた被害と問われるべき責任と

多数の虚偽記載が発覚し、また第3者による追試が全く成功せず、捏造との疑いが極限まで強まっているSTAP細胞ですが、目下進行中の、先日発表された概ね詳細な手順書に基づく追試の結果報告を間近に控えて、共同研究者の若山教授が"信じていた実験結果の研究データに誤りが見つかったため"、論文の真実性に疑念が生じた、として論文の取り下げを提案したそうです。

STAP細胞 確信なくなった

これまで、指摘された事項は全てささいなミスであって、論文の主たる部分は真実であると頑なに主張してきた同氏が、あと数日もすれば決定的な結果が出るこのタイミングで撤回に転じた、というのは、要するに観念した、と見るより他ないもののように思われるわけです。それは先入観の過ぎた解釈だとしても、少なくとも、肯定的な結果が出る事は同氏をしても考えられない、 そういう絶望的な状況である事は間違いないところと言えるでしょう。

あらゆる意味で遺憾極まる帰結ではありますが、もっとも、これほどまでに客観的な支持的事実が皆無な状況にあっては、自ら検証が可能な専門家は勿論の事、科学的検証のプロセスに多少なりと心得のある人のうちに、この期に及んで本件の真実性を信じていた人も殆どいないでしょうから、ああそうですか、やっぱりね、とため息を吐くだけの事です。また、騙される以前に理解が及ばない大多数には関係しない話です。とはいえ、それでもやはり残念を禁じ得ない人は相当にいるわけだし、残念では済まされない、実害を被った人も存在するのであって。

一応、最終的な評価をするには、検証実験の結果を待つ必要があるでしょう。が、このまま予想通りに失敗に終わったなら、それに費やされた労力、費用は最初から全て無駄だった、という事になるわけです。その虚しい結果を、その作業に従事するだけの知識を持つが故に強く予想しながら、検証に取り組んでいる研究者の事を思うと、憤りを禁じ得ません。さらに、現時点で既に発生した甚大な被害影響すなわち、科学的研究そのものに対する信用を大きく失墜させた責任は言うまでもなく重大極まりないものなのであって。主犯たる理研の面々、担当者も上層部も、どう責任を取り、また償ってくれるつもりなんでしょう。全員が死んで詫びても足りないと思うのですが。

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後日理研からなされた中間報告を拝見しましたが、この期に及んで過失との建前を取って故意すなわち捏造を認めず、かつ論文を撤回すれば済むとして白を切る、正気を疑うべきスタンスは醜態と言う他ない往生際の悪さで、遺憾極まりない最低の報告でした。挙句、論文の真実性の真否は第三者の検証に委ねる他ないだとか、保身の為だけに外部研究機関のリソースを浪費させて恥じない発言を、当事者でありながら平気で吐くに至っては言語道断、ふざけるなと。見下げ果てました。もう理研自体存続させるべきではないとすら思います。

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3/08/2014

[biz] Boeing 787不具合再び、今度は主翼に亀裂

いやもうどんだけ。ローンチからずっと、バッテリーはじめ深刻な不具合を連発し、既に死んだも同然の米Boeing787型機ですが、今度は主翼に亀裂が発見されたとか。

当該亀裂の発覚は製造中の事で、担当の三菱重工によれば該当する全40機は未出荷につき、本件による事故は起こっていないとのこと。それが本当なら不幸中の幸いではありますが、しかしその原因が製造方法の変更との説明が本当だとしても、よりによって主翼に、というのは飛行機として最悪の完全に致命的な欠陥で、そんな事が多少の工程変更で起こり得た、という時点で戦慄を禁じ得ません。材料や構造、要するに設計自体に問題はないのかと疑念も沸いてこようというものです。それでなくてもアレなのに、私なら不安で乗れませんよもう。

度重なるバッテリーその他の恐怖すべき不具合の山から、そのニックネームの"Dream Liner"をもじって"Nightmare Liner"と揶揄される同型機ですけれども、本件のような話まで出てくると、即墜落の危険が相当にある分、悪夢というのも過小に思えます。"Hell Liner"位が適当な感じで。ともあれ、この先信用が得られるとは到底思えませんし、諦めて終息させた方がいいんじゃないでしょうか。Boeingも顧客も超の付く赤字、続けても誰にもメリットは無いでしょうしね。

B787「主翼にひびの恐れ」 引き渡し前の機体 三菱重工が通知

なお、折しも南シナ海で突然消息を断ち、おそらくは墜落したMalaysia Airlines機は777型につき本件とは関係なし。なんですが、本件不具合の主翼の亀裂は、もし飛行中の機体で顕在化すれば即墜落で同様の惨事に至るものなわけで、連想的によりリアルに感じられて、その分より厳しい非難に晒される事も避けられないでしょう。しかし間が悪いにも程があるというか、今回の墜落事故は、伝えられる状況からして、おそらく航空機事故史上でも最悪の部類だろう惨事なわけで。救助以前に残骸の発見も覚束ない状況で原因の究明には相当時間がかかりそうですし、Boeing社に責任があるのかも不明ですが、少なくとも不明なうちは社の過失も疑われる事は必至、Boeing社への風当たりを強める類の事件には違いなく、同社にとって厳しい時期が続きそうです。

ところで、件の墜落したMalaysia Airlines機、その乗客名簿中に2人も盗難パスポートでの成りすましがあったんだそうで。片方は去年盗まれたイタリア人のもの、もう片方は一昨年盗まれたオーストリア人のもの、共に盗難地はタイなんだそうです。テロと疑う向きもあるようですが、何らそぶりも示威的行為もなしに只単に消えた点からしてまず考えにくいところですし、墜落と直接関係ないものでしょう。と言う事は、成りすましが常態化してるという事なんでしょうか。いくら身元確認の適当な途上国間の路線とはいえひどい話です。

2 Passengers Listed On Malaysia Plane Not On Board, Reportedly Had Passports Stolen

さらにその翌日に再び787、今度はエンジン。いやもうどこもかしこもボロボロじゃないかと。あきらめたら?と思うんです。落ちる前に。

日航B787型機、ホノルルに緊急着陸 ボストンで出火の機体

3/07/2014

[IT?] Bitcoin発明者"Satoshi Nakamoto"特定の誤報に脱力

何か突然、BitCoin発明者が特定された、とかいう報道が日米のあちこちで溢れて、嘘だろ、と思って見てみたら、何かまたメディアがやらかしたっぽい感じで呆れた次第なのです。

事の発端は、この程Newsweekが3月6日付で発行したLeah McGrath Goodman記者による"The man behind Bitcoin."なるスクープ記事で、Bitcoinの発明者としてよく知られ、しかし特定はされていなかった"Satoshi Nakamoto"なる人物を見つけた、とするもの。身売りを繰り返し、紙媒体も廃止され、往時のプレゼンスは失っていたとは言えその発信力は十分で、丁度取引所の消滅等で崩壊その他諸々の瀬戸際に立っている仮想通貨の話題性も相俟って、曰く"4億ドルの(価値がある)男"として瞬く間に転報されて注目が集まり、人物の下にも取材等が殺到したんだそうで。

で、その記事でBitCoin発明者であるとされたところの人物は、South California在住の64才、その名もズバリ"Dorian Satoshi Nakamoto"氏。名前の通り、日系のアメリカ人だそうです。

ここまで知った時点で、嫌な予感がしました。えー本当に?と。違和感ありありだったのです。というのも、Bitcoin発明者とされる方の"Satoshi Nakamoto"は、従来からまず実名とは思われておらず、コードネーム的なものだろうと考えられていたし、何より氏の年齢や外見が、権威に束縛されない仮想通貨のシステム、そのエンジニア兼仕掛け人として、そのような野心的、革新的な活動、また違法性の強い諸々との関係も深くなるネット自由主義的なフリーの仮想通貨の発明・普及を主導したギーク的な人物のイメージと、真逆だったからですね。

その見方は完全に偏見なのですけれども。しかしそれを裏付けるように、当のDorian氏がその後の追加インタビューでBitcoinとの関係を完全に否定しているのでありまして。 その辺を詳細に報じたWiredその他の記事からすると、Goodman記者の勘違いっぽいんですね。概ね次のような次第のようだとか。

Goodman記者のDorian氏へのインタビューは、玄関先で行われたそうです。で、その際、Dorian氏は、"I am no longer involved in that and I cannot discuss it."(私は既に関わっていないし、それについては何も言えない")と発言したそうです。これをGoodman記者は、"以前はBitcoinに関与していて、しかし今は違うので、コメントを控える"、とかいう感じに解釈したと。しかし、Dorian氏は、以前は"engineer"だったが、今はもう"engineeringには"関わっていないので、"一般の技術者として"言える事はない、という意味で言ったらしいんだとか。そんな感じでNewsweek記事の内容に対して、そういう意味で言ったんじゃない、と否定した、との事です。それをさらに否定するべき他の確たる証拠もなし、とくれば、もう疑問の持ちようもありません。

Goodman記者は、きっと、Bitcoin自体に関心を持ったのもそんなに前からというわけじゃないんでしょう。何か旬の、謎の多いよさげなネタだと思って、とりわけ謎めいた、殆ど名前しか知られていない創始者に興味を持ち、同一名でそれっぽい条件の人を虱潰しにする安直な調査をしてみたところ、都合よく解釈出来るDorian氏のコメントを得て、大発見だ、と思い込みを固めてしまったんでしょう。願望を事実に擦り変えてしまう、なんて、本当に何処にでもよくある陳腐でお粗末な話です。

そこまで知って、ああ、Newsweekやっちまったなと。それに釣られたメディア連中は、知ってはいたけれども、改めて本当に阿呆で間抜けだなと。そして超絶迷惑を被ったDorian氏にはお疲れ様です、と。深いため息と共にしみじみと思ったわけです。

一方、スクープが一転、特大の誤報をやらかした側という事になり、当然ながらの非難に晒されているGoodman記者は、記事は真実であるとして自己弁護に終始し、聞く耳を持たないでいるそうで。馬鹿馬鹿しい上にも馬鹿馬鹿しい話です。当人が否定している以上無意味だと思うんですが、何が彼女をそうさせるんでしょうね。やっぱりNewsweekの不安定な事業状況からして、組織的にもこれが誤報だと報道機関としての信用面で致命傷になりかねないし、個々の記者も即失業だからって諦められずに悪あがき、とかそういう事なんでしょうか。だとしたら哀れな話です。そんな体たらくでは逆に報道の仕事に向いてないから、さっさと畳んで転職すべきだと思います。余計なお世話でしょうけれども。

しかしね、盛大に釣られた他の報道機関も、毎度の事とは言え、安易な誤報にはいい加減辟易とします。報道機関によるそれは、実際に社会的、経済的な影響は元より甚大、今回のケースであれば個人に多大な被害が及ぶ暴行なのであって、その損害を鑑みれば、本来刑事罰が課されても何らおかしくない行為なのです。メディア連中はいい加減反省の上、最低限の責任を自覚して、脊髄反射と言うか、事実の裏も取らない軽率な報道は厳に慎み、過失であれ何であれ、やらかした場合には相応の報いを受ける仕組みを作るべきだろうと思うのですね。そうでなければ、報道の自由そのものが失われる未来すらあり得るだろうと、憂鬱に思わざるを得ないのです。まず無理なんでしょうけど。

Here's Video Of Satoshi Nakamoto Denying Any Link To Bitcoin
Man 'Newsweek' Said Invented Bitcoin Denies Inventing Bitcoin

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3/05/2014

[pol] ウクライナ侵攻の建前が晒す時代錯誤なロシア

Ukraineの紛争を巡るあれこれが各界を席巻するこの頃。何というか、ロシアは古くさい国だと思ってはいたんですけど、ここまでベタベタだとは、と呆れる次第なのです。

だって、帝国主義やら侵略主義の軍事大国が、紛争下で敵対陣営に流れつつある周辺国に、市民の保護を名目として軍事介入する、だなんて、今時フィクションでも馬鹿馬鹿し過ぎて使えない建前だと思うんです。それを国連で面と向かって主張するとか、まさかそんな恥ずかしい真似をする国が現代において現れようとは、流石に想像出来ませんでした。しかもロシアのような、普段から冗談の通じない風を装っている国が。いやだからこそのというか、当人達はいたって真面目なんでしょうけど、滑稽過ぎて見てられません。

脱力して真面目に指摘するのも億劫になりますが、ウクライナはロシアにとってあくまで他国、仮に市民の保護との言が真実なら、むしろ侵略との疑念を抱かれる事を避け、また保護対象の偏りを避けるため、保護に中立性と確実性を保証するために、 国連を経由させていなければ筋が通らないわけで。せめてロシアの主張するところの民族主義者による攻撃が現実に発生してからならまだしも、遥か西のKiev以外ではそもそも殆どデモすら起こっていないところに、遠く離れた東部、それもロシア系が圧倒的多数を占めるクリミア周辺でロシア人の危険を主張するとは、もう何の冗談かと。逆にロシア系以外の市民にこそ保護が必要な地域でしょう。

一応、少し前のGeorgiaの時にも似たような形で進駐をしていたわけですが、あの時はグルジア側が親EU路線を進めていたとは言っても、西側諸国は積極的に絡んではいませんでしたし、何よりグルジアがまさにロシアの属国と広く認識されていた事もあって違和感も感じられませんでしたが、ウクライナはそうではないわけで。元より19世紀からの歴史を振り返るまでもなく、大国間の利害対立の極点とも言えるかの地にあって、そんな間抜けな話が許されていいんでしょうか。別の意味で戦慄を禁じ得ないのです。もう19世紀に帰れと。クリミア戦争で討ち死にしてこいと。

ウクライナの立ち位置を鑑みれば、元よりロシアの完全な属国となるには大国に過ぎ、しかし対立するには小国に過ぎ、さらに地政学的にそもそも白黒というか東側西側いずれかに統一しもう片方を排除出来る国では全くない、下手に外から関与してもどうしたって泥沼にしかなり得ない面倒な国なわけで。かと言って分裂するには諸外国を巻き込んだ大規模な戦争を経る事が避けられないところ、その代償に見合う対価は皆無に近く大赤字になる事も明らかなのだから、さっさとヤヌコビッチを処分して現状維持で一段落させるべき話でしょうに、と思われるのですけれども、何をもたもたしてるんでしょう。合理的な判断をする知性自体がないのかと不安になります。

元々ロシアと関係の薄い米国はともかく、EUにしても、ロシアにしても、経済的に強く相互依存する現状にあって、実際に経済制裁に踏み切る事にでもなれば、お互いに洒落にならない損害が発生する事は確実だし、誰も本気ではない、筈です。ですよね?もはやロシアは西側と断絶した社会主義国ではないのですから。少なくともロシアは、このまま諸外国と共存していくつもりが多少なりとあるのであれば、それなりの、というか最低限の合理的な思考と振る舞いというものを知る必要があるのではないかと思うのです。死ななきゃ治らない類の話で、言われるだけ無駄なのかもしれませんけど。

3/03/2014

[biz law] 米GMのリコール、隠蔽10年間に死者13人の因果応報

先月発表されたGMによる米国内140万台、世界160万台の大規模リコールの件、よくある製造不良の類かと思って特段気にも留めていなかったんですが、突っ込んで取り上げる記事が幾つか散見されて、何かと読んでみたらこれがまた異様な事件だったようなのですね。

というのも、本件が原因とされる死亡者者が13人にも及び、かつその最初の死亡事故は2005年、実に9年も前から始まっているというのです。それもその最初の事故当時から本件の不具合の可能性は強く指摘され、GM側は間違いなく認識もしていたようで。

本件不具合は、具体的にはイグニッションキーの設計不良によるもので、エンジン、電気系統、またエアバッグまでもをオフにしてしまうという酷いものです。死亡との因果関係があるとされているのは最後のエアバッグの部分ですね。衝突事故を起こしてもエアバッグが作動せず、即死に至ったケースがそれだけあった、という事です。確かにこれは発生したならば一目瞭然、最初の死者が出た時点でGMも認識出来ない筈はなかったでしょう。

当局もその疑いを持ち、最初の2件が起こった当時からGMへの聴聞も行っており、また最初の事件の直後、被害者の遺族は独自調査の結果、当該不具合を原因と推測し、GMを相手取っての訴訟の末に和解を勝ち取っています。その際に詳細な調査も分析も行われたでしょう。そして、その後も同様の死亡事故は続き、偶然ではないとも認識されたでしょう。にも関わらず、GMはリコールをせず、NHTSAも公式捜査には踏み切りませんでした。その後、2009年にGMが破綻、先頃その再生処理が完了した矢先の本件発覚まで、本件を認識したならば即座にその是正を図るべき誰もが、明確に認識しておきながら放置され続けて来た事になります。

これは見るからに不可解で、あり得べからざる事態です。どういう事でしょうか。その不具合の程度の深刻さ、明確さ、何より結果の重大さからして、過失とは考えられません。人為的な意図があっての結果でしょう。ここで人為を働かせただろう当事者は、当時の同社を巡る環境から見て、経営陣を中心としたGM社と、規制当局をも含む米国政府の二者に尽きるでしょう。そしてその期間は長期に渡り、時期毎に様々に状況は変化したでしょうけれども、おそらくは概ね時期で分けて二段階、其々の期間毎に異なる事情があり、それぞれその当事者の思惑によって隠蔽放置されたと見る事が出来そうです。

まず第一に、最初の事故が起きた2005年もしくは同車種の販売が開始された2004年から、2009年の破綻前まで。この期間は、GMは不振の真っ只中、破綻へ向かう途上にありました。エコカーを中心に据える他社に押される中で、最初の事故を起こしたChevy Cobalt、また同不具合を抱えるSaturn Ionはそのセグメントでの対抗を期して投入された戦略車として、失敗は許されない状況にあった模様で、その営業的事情が原因と推測されるところです。要するに深刻な悪評を生まないために、例え死者が出ていようとも本件のような不具合は隠蔽したかった、という最悪の利己的理由ですね。GMを潰したくない当局は抱き込まれ、見てみぬふりをしたと見るべきでしょうか。GM自身の事情が主であった時期と言えるでしょう。

次に、2009年の破綻から、2013年末の政府によるGM株売却完了まで。この期間は、国内産業再生の象徴としてGMの存続が米国を挙げての至上命題となり、しかも政府が公的資金の拠出に伴いGM株を大量に保有していました。また政権にとって、GMの再生処理はその存在意義を賭けた看板政策として失敗の許されない状況にありました。このため、再生が完了し、かつ政府がその株式を手放すまでは、その評価を毀損し、多額の損失を発生させ、その破綻再生処理の評価を失敗に導き、政権自体をも揺るがしかねない本件のようなリコールは、何としても回避したかっただろうと容易に推測されます。その意味で、こちらは政府の事情が主であった時期と言えるでしょう。

要するに、GMと米国政府、双方がそれぞれ主体となってかような長期に渡り隠蔽を図り、多数の死者を出した、稀に見る最悪の不具合と見るべきものと思われるのです。

当然、米国民も同様の見方を強めており、メディアによる厳しい追求が始まっています。これに対し、GMの歴代の責任者は揃って説明もコメントも全て拒否し、ただ公式のプレスリリースの文面で謝罪を表すだけの異様な対応に終始しているとか。これは、全ての疑いを肯定しているに等しい振る舞いと言えるでしょう。結果の重大さから、放置や隠蔽を認めれば重い刑事罰は免れない、しかし客観的に見て知らなかったは通らない、と追い込まれての黙秘というわけです。当然これで収まるとは到底考えられず、自動車産業史上でも稀に見る凶悪な大量殺人事件とも言える本件、民事・刑事の両方で相応の大規模な訴訟に発展するものと強く推測されます。その場合、当局の側の責任も相応に追求される事も避けられないでしょう。その経緯、すなわちユーザーの命を犠牲にして目先の経済的利益を追った挙句のこの帰結である事を思えば、全て自業自得、全く以て愚かと言う他ない本件、残念と言うのも躊躇われるところです。

In General Motors Recalls, Inaction and Trail of Fatal Crashes
G.M. Announces Repairs in Recall of 1.4 Million Cars

さらに続報によれば、当該リコール対象の販売時期が古すぎるため、交換用の部品が終息してしまっていて調達出来ておらず、その目処すらも立っていないとの事。夏までは無理だろうとの予測もされているようですが、それでもこんな危険を抱えている以上は乗車禁止、としようとしても、そもそも大半のオーナーが連絡すら付かない状態で実質放置状態であるとも。無茶苦茶であります。

Now Comes Hard Part for G.M.: The Repairs

順調に追求拡大が進む本件、色々と消えた筈の亡霊が蘇りつつあるようで。

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