本件に関しては、純軍事的な面から社会的な面まで至る所で議論がなされていますから、今更軍事方面の事情に疎い一般人であるところの私に何か言うべき事がある筈もないわけですけれども。どうにも違和感が拭えないのですね。どうしてこんなに社会問題化しているのか。
事自体は、要するに輸送ヘリを新機種にリプレースしようというだけの瑣末な話です。それに対し、当該機種の事故率の高さ、それによる市街地への被害を懸念するという建前で反対意見が配備予定地の近隣を中心に強まっている恰好です。しかし、問題の事故率を確認してみると、旧来の輸送ヘリと比較してもさほど変わらないようなのですね。であれば、輸送ヘリが危険、もしくは軍事基地自体が危険につき廃止すべきであって、その一要素としての新機種導入にも当然反対、というのなら理解できようものですが、現状の設備等は容認しながらというのでは、全く以て筋が通らないものと言わざるを得ません。とりわけ米軍としては理解し難いところでしょう。もとより軍用機に絶対的な安全などあり得ないのですから。
もっとも、民主党政権下における米軍基地を巡るこれまでの経緯、殊に普天間基地を移転廃止する方針を立てながら平然と手のひらを返し、結果現在の地元における基地廃止論への傾倒を招いた事情からすれば、この上さらに基地存続を規定路線として新機種の導入を図る日本政府と米軍双方に対する地元の感情、不信は、敵に対するそれに類する水準にまで至っているだろうわけで、現状維持すらもはや論外という事なのかもしれない、とも思います。ただ、もしそうであるならば、単にオスプレイ導入を云々するのではなく、基地並びに米軍の駐留廃止そのもの直接主張すべきだろうと思いますし、仮に経済的な事情などからそこまで踏み込みたくはない、等というのであれば、それは正当な主張とは到底言えないし、逆に非難されてしかるべきところだろうとも思うのです。