7/19/2012

[law] 大会社の社外取締役設置義務化見送り

うーん。少しばかり期待してたんですけど、駄目でしたか。

オリンパスの不祥事等を契機に、社会的に看過し難い企業の深刻なガバナンス不足の是正を目指して検討されていた大会社への社外取締役設置義務化ですけれども、法務省の法制審議会で策定中の次期会社法改正案から除外されてしまったとのこと。具体的な理由ははっきりしませんが、経済界からの反発が背景にある事は明らかで、社外取締役を置いていない企業の役員としては外部の口出しは忌避したいだろうし、取締役ポジションまたその報酬等の取り分も減らしたくないからって話なんでしょう。

もっとも、委員会設置会社等の社外取締役を既に設置している会社の中にも、ガバナンスが十分働いているとは到底言えない会社も多数見られますし、今回義務化が検討されていた公開の大会社にも社外監査役が既にいるのだから、さらに社外取締役を設置したとしてもどれほどの意味があるかはあまりはっきりしないわけで、この一事を以って失望すべき程の話でもないんでしょうれども。しかるに、やはり政策は実質の効果を指向すべきだし、形式的な社外取締役の義務付けよりも、実質的に監査機能を強化すべき話だろうとも思われるところです。今回導入が決定された親会社株主の子会社役員訴追権もその一環と位置づけて理解することも出来そうで、であればそれなりに合理的な判断のようにも見えます。

ただ、元々の動機であった所のオリンパスの件類似の不祥事防止については、監査の強化程度でどうにかなるとは思えず、実質的に白紙に戻ってしまいましたから、改めて早急かつ効果的な政策的対処が求められるところですけれども。そこはやはり形式的な組織面の修正で対処するのは困難でしょうし、従前多々指摘されているように、懲罰的な罰則の強化がおそらくは最も実効が高いでしょうから、是非ともその方向の対処を早急に進めて頂きたく願う次第なのです。

法務省、社外取締役の義務化断念 経済界反発強く