NECの4%に続いてSharpも。文字通り存亡の危機的な損失垂れ流しの状況下にあって、売上増が全く見込めない以上はコストを削る他はない、それはその通りなんでしょう。2009年にはもっと広範囲で同様の施策がなされた事もありますし、別段の驚きがあるわけではありません。
しかしね、2%やそこらの減給で節約出来る額というのは、削減効果が及ぶ性質の、社員一人当たりの母数的な人件費がざっくり1000万そこそこ位だとして20万余り、これが連結で6万人ですから総額120億程度に過ぎないわけで。
120億が小さい額だとは申しませんけれども、固定費の削減に必然的に伴う副作用との均衡は考慮されて然るべきところ、当然ながら給与を削減すれば従業員は自身と会社の将来に対する悲観的な見方を強めるだろうし、そのモチベーションに深刻な悪影響を及ぼすのも避けがたい所でしょう。その結果、今後の採算すなわち事業の改善に必須であるところの種々の活動、殊に新規技術の創出を初めとした、従業員が限界まで高いモチベーションを保つ事を最低限の必要条件とする革新的な活動に致命的な悪影響が出るし、あまつさえ、それらの活動を担う筈の、とりわけコンピテンシーの高い、替えの効かない技術者がその能力の高さ故に環境の改善を求めて流出する可能性も極めて高いわけで。絶え間ない高レベルのイノベーションを繰り返す事が生命線たる先端技術系メーカーの施策としては、その大幅な毀損が100億程度のコスト削減と釣り合うとはとても思えないんですよね。
従業員の立場から見れば、ここ何年も経費削減と称して各種の締め付けを散々行っておいてさらにこの施策というのは、要するにお前の仕事は不要だし金の無駄だから働くな、と言われているも同然だろう筈なんですけれども、経営陣がその意味を理解しているとは思えないあたりがなんとも。元々イノベーションのネタも人材も枯渇してるし事実として整理フェーズに入るしかないって事なのかもしれませんが、無残なものです。
シャープ、一律2%の賃金カットを提案 5月から8カ月間