一気に行きましたね。動機は、第一に目先の資金調達、第二には言わずと知れた不良債権・堺工場の減損処理回避のためという所でしょうけれども、あれだけ技術流出に気を遣っていたシャープにしてはその転向っぷりが際立ちます。当人達は生き残るためには形振り構わないって感じのつもりなんでしょうけれども、外からは、本体へ10%、主工場堺へもほぼ50%の出資を受け入れた本件によって、むしろ存続自体危うくなってきたように見る向きが多いようです。
それももっともな話で。経営危機の原因がその本業自体の構造的な不整合による以上、本来取るべき策は、訴求力ある新技術・新製品の開発、またコスト削減策や売り方の改善等、実体の改善に寄与するものであるべき筈のところ、そこを放置して単に資金調達だけしても焼け石に水なのは自明なわけで。それにhong-hiだって単にsharpを救済するだけに終わるつもりな筈もなく、当然色々と傘下企業的な形での利用、特にノウハウ的な面での技術、またエンジニアやら、メーカーとしての拠り所的な部分の吸収もするだろう筈なのだし、率直に言って、目先の金に目が眩んだ恰好に見えても致し方の無いところでしょう。
もっともそんな事はsharpの経営陣も百も承知なんだろうとは思います。また本体の議決権とはいえ10%というのは微妙な数字で、単体では口出しが出来るだけで実質的な決定権は何もないわけですから、まださほどとやかく言うべきものではないのでしょうし。ただ、その傑出した技術によってグローバルの中でも独立のポジションを確保し続けてきた日本の先端技術メーカー、その象徴でもあった同社にあって、なす術もなく、このまま実質的に吸収され、消滅していく可能性が高い、というかそれ以外の行く末が想像出来ない現状を見るに、もはや国内の軽電業界自体が縮小消滅する他ないのかと絶望的に見る向きが増えるのは必然なんでしょう。実際にそうなるかは誰にも解らないわけですけれども。
台湾・鴻海、シャープに10%出資 筆頭株主に
第三者割当増資 670億円
んー?なんかシャープ株がストップ高だとか。今回のコレはTOBではなくて第三者割り当てで、むしろ既存株は希釈されるから下がるのが普通な筈なんですけども何故でしょうね。今後のTOBとか争奪戦を見越しての仕込みって事なんでしょうか。それにしても気が早すぎるように思えますけど。うーん。