5/29/2015

[biz law] 日本ハム、特許の効果捏造がバレて取り下げ

日本ハムが虚偽の効果を謳った特許を申請・取得し、数年に渡りライセンス収入も得ていたところ、その嘘がバレたので取り下げた、とかいう信じ難い話が。なんじゃそら。

具体的には、豚用の飼料への添加すれば従来比3倍の免疫機能向上効果が得られるとして申請し2010年に取得した乳酸菌の新種に関する特許について、申請後に内部検証で効果が無い事を認識しておきながらそのまま取得、さらに製薬会社にライセンス提供し、これまで2268万円のライセンス収入を得ていたところ、効果が無い事が露見したんだとか。

当然ながら特許は取り下げ、ライセンス料は返還するとの事ですが。製薬会社は本件の乳酸菌を配合した飼料を販売するに際し、特に免疫向上を謳ってはいない、とか言っているそうですけれども、わざわざライセンス料まで払っておいてそんなわけないだろうし、その営業トークに騙されただろう購入客にも賠償が必要でしょう。また、優良誤認につき日本ハムには刑事罰も併せて課されるべきでしょう。

しかし阿呆にも程があろうかと。恐らくは先日の理研のSTAP細胞捏造と同様、研究所の開発部隊が多分に保身のため、成果を焦ってやった事なんでしょうけど、企業の特許なんて効果が十分なら即製品化されるものだし、製品になれば当然広く利用され、効果のあるなしも真っ先にユーザの実地検証を受けるもの、早晩露見する事は目に見えていたでしょうに、何故そんな稚拙な嘘を付いたのか。免疫機能の向上というのは把握に時間がかかる面はあるにしても、隠し果せると考えた事自体が理解し難いところです。畜産業自体を舐めていたのか、単に無知だったのか、それとも先の事は何も考えていなかったのか。いずれにしても話になりません。

もっとも、毎年多数申請される特許が全て特許の名にふさわしい新規性や効果を備えているはずもなし、おそらくは本件のように単に研究・開発職のノルマ達成のためにでっち上げられた無意味もしくは虚偽の特許も特段珍しいものではないのでしょう。それらの特許群と本件との違いは、その謳った効果の高さ、実用性の点だけなのではないでしょうか。すなわち、他の虚偽特許は、効果が微妙だったりして実用に至らないために、検証もされず、従って露見もしない、それだけの事だと思うのです。

どちらも特許には値せず、無駄なものであって、公益の観点からは害悪でしかないし、その意味でいずれも非難を免れない事に変わりはないでしょう。ただ、本件や理研の捏造は、その後始末も含め直接間接に現実の被害を生む点でより悪質だと言わざるを得ません。本件の犯人たる研究者達が何を考えてその業務に従事してきたのかは知りませんが、その資格も適正もない事は明らかなのだから、即刻職を辞し、然るべき裁きを受けて頂きたいと強く思う次第なのです。 というか、犯罪に手を染めてまでその職にしがみついたところで、一体何になるというのでしょうか。全く以って理解出来ませんし、容認も出来ません。合理的に考えれば、そんな状況に追い込まれる前に潔く辞めて、他の職を探すべきと分かりそうなものに思うのですけれども。。。困ったものです。

日本ハム、豚飼料用乳酸菌で効果偽り特許登録 取り下げへ 

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