懲りない面々再び。通信設備関連事業5社が、東京電力の社内における通信設備の整備工事を受注するに際し談合を繰り返していた、として公取の立ち入り検査を受けたそうです。
被疑対象は富士通、NEC、大井電気、扶桑電通、中松商会の五社。期間は過去数年、規模は年数十億につき計百億程度でしょうか。
東電発注工事での談合は無論今回が初めてというわけではないし、珍しい話ですらありません。むしろ少し前に送電線工事で談合が摘発されたばかりにつき、当該期間中は多少なりと東電の調査・警戒があった筈で、公取から重点的に監視されてもいただろう、その只中での犯行というわけです。何とも大胆というか無謀というか、そんなもんバレて当然としか言いようが無いし、自殺同然の愚行にしか見えないのですが、一体彼らはどういう訳で犯行に踏み込み得たのか、また多分に隠し果せるものと考え得たのか。あまりにも不可解で、非難云々以前に困惑させられてしまう次第なのです。
あれですかね。原発事故からこっち東電の事業運営、殊にこの種の発注も含めた支出の取り扱いについては、事実上公金が注ぎ込まれている都合上、各方面から強く抑制圧力がかかっているのは間違いないところだし、最低価格を下げたり、業者間の競争を奨励する傾向にはあるだろうから、それに対抗すべく業者側が談合に走った、とかそういう事情なんでしょうか。であれば、少し前の車部品業界で起きた談合と実態としては同じような格好と言えるでしょう。しかしそうであっても、何らその所業が正当化されるわけもなし。同様の犯罪は過去幾度と無く繰り返され、その度に罰則や非難が加えられ、各企業は揃って反省を口にしますが、実態は何ら是正されないまま、こうして犯行は繰り返されるのです。救い難い事甚だしく、もう一々非難するのも馬鹿馬鹿しく思いますね。
何より、今の東電は、その大部分が事実上税金で維持されている公共事業なのであって、その事業資金は国民の多大な犠牲によって賄われる公金に他ならず、それを不法に収受して恥じない倫理の欠落ぶりにしろ、そのような犯罪を犯すにあたってもおよそ過去の教訓や周囲の状況を全く顧みない愚かさにしろ、その醜悪さは見るに耐えないものと言わざるを得ません。もう改善を期待する気も失せました。厳重な処罰が加えられるべき事は無論ですが、このような事が二度と起こらないよう、全社を永久に受注禁止にすべきだと思うのです。そうでもしなければまた繰り返されるだろう事は殆ど疑いようが無いのですから。
(追記)
続報によれば、東電では原発事故後に随意契約から指名入札に切り替えがあって、そのタイミングで談合も始まったものと見られるそうです。何という安直な。本件が発覚しなかったのは偶か、担当者の隠蔽が比較的徹底されていたからか、いずれにせよ時間の問題だった事は間違いなさそうです。いやはや。
東電発注工事で談合か=NEC、富士通など-5社に立ち入り・公取委
(再追記)
反省を口にしながら、余罪を隠していたようです。半年以上経ってからあえなく再摘発されてしまいました。
[続き記事 [biz law] 富士通、NEC、大井電気ら、談合の余罪隠蔽に失敗し再摘発]