結局、GalaxyNote7は生産中止になってしまいました。既に販売した分は全部回収し、返金や他社製品との交換等がなされるという事だそうです。あまりにも致命的な失敗を繰り返し、もはや挽回の目処すら立たないように見えた事の経緯からすれば、その事自体に驚きはなく、むしろ当然の結果というべきものであるわけですが、世界有数の事業規模を有する製品が全回収のち消滅する事態というのは前代未聞につき、後始末の方法、影響の範囲、また今後これに伴って何が起きるのか、そしてそれに対し如何なる対応が採られるのか、諸々に興味を惹かれざるを得ないのです。
さしあたって問題なのは回収の手続きですけれども、これがまた何とも言い難いというか。当然ながら回収のためにはモノを郵送する必要があるところ、発火の可能性がある危険物につき、Samsungが専用のキットを用意したそうです。段ボール箱を入れ子的に何重にも梱包する構造となっていて、その中(一番外側?)には耐熱性のものも含まれるという中々に仰々しい代物です。
しかし、何重にもなっていて外箱には耐熱性もある、とは言っても所詮は段ボール箱には違いなく、リチウムイオンバッテリーの発火・発煙に耐え得るのか、疑問を感じないではありません。流石に指示通り適切に梱包すればおよそ問題はないのでしょうけれども、やはり普通の梱包方法、また作業内容ではないし、慣れない作業を一般人が指示書を見ながら実行したとして、誤りや不備は起こりえないのか、ちょっとどころではなく不安も残るように思われるわけです。
その辺の、ちょっとした不備の可能性が気になるのは、本件回収には長時間の輸送が想定されるためです。というのも、物の性質上、輸送方法は航空便は利用出来ず、地上・海上輸送に限定されているのですね。一番外側の箱にはその旨注意書きもされています。車両による地上輸送なら長くとも一週間単位でしょうからまだいいとして、船舶での輸送となれば、月単位の長時間に及ぶ事も普通にあり得るのですから、輸送中の発火等の発生も高確率で予想されるところ、そこに梱包等に不備があれば、大惨事を起こしかねないでしょう。不備が重なれば、の話ではあるし、心配しすぎなのかもしれませんが、非常な多数の内1件でも起これば他の荷物を巻き込んで大惨事になるわけで。といって、個々の荷物を一々開封してチェックするわけにもいかないでしょうし、これはもうどうしようもないのかもしれませんけれども。
ともあれ、ただ回収するにもそんなリスクを負わなければならないというのは、自業自得とはいえ難儀な事です。加えて、ユーザの中には、危険があっても使い続けたい、として返品等を許否する向きもあるそうで、それもまた困ったものです。当人は自己責任でいいのだろうけれども、他人の命に関わるような事態が起きる前に諦めを付けて頂きたいところですね。
Samsung's crazy return kit for the Galaxy Note 7 may scare you
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