10/06/2016

[IT biz] Note7交換品も発火、拙速と杜撰の果てに消滅の危機に瀕するGalaxy

発火炎上を繰り返して総交換中のSamsung製爆弾スマホ、GalaxyNote7がまたしても火と煙を吹いたんだそうで。それも交換済のものが、飛行機の中で。Samsungは無論、ユーザも飛行機の関係者も含め、誰にとっても最悪な話と言えるでしょう。巻き込まれた方々はご愁傷さまです。

貧乏くじを引いてしまい、当然に緊急着陸する羽目になったのはSouthwest Airlines機。乗り合わせた乗客も含めて大損害&大迷惑再び、というわけですが、残念ながらこれも予想通りの結果、というのがまた。というのも、前回の記事中でも述べた通り、今回の交換対応は問題の発覚から交換の半分完了までおよそ2週間と、調査や対策の検討に費やされただろう期間があまりに短すぎました。そのことから、おそらくは本来必須の筈の十分な原因調査、またそれに基いた設計変更、それらの検証等まで、およそこの種の不具合の対応に欠かす事の出来ない、技術面での対応が満足に行われていないのでは、と推測され、従って問題は解決されておらず、再発の可能性も高いものと懸念される状況にあったからです。

今回の再発は、まさにその懸念を裏付けるものと言えるでしょう。すなわち必然の結果であり、いわんこっちゃない、と呆れている向きも多いのではないでしょうか。その発生場所が、およそ最も被害が甚大になるだろう飛行機の中で起こった事については、不運だったとも言えるでしょうけれども、発生自体はむしろ予想通りと言うべきところなわけです。

これでSamsungはいよいよ追い込まれました。回復も極めて困難だろう深刻な信用の喪失は言うに及ばず、再交換するにしろ、販売継続を諦めて返金するにしろ、数千億単位の費用が追加で必要になるわけですし、何より同社の中核たるスマホ販売事業の中でも最主力と位置づける機種が、その看板ブランドごと消滅してしまったとも評価し得る惨事に至ってしまったのですから。

仮に諦めず再交換を目指すにしても、これから本来の対策を採るには相当な時間がかかります。その間大半のユーザが待っていてくれるわけもなく、膨大なユーザの流出、また仮に繋ぎ止めるにしても、そのためには相当な補償の負担も避けられないでしょう。その上、これまでの経緯からして、おそらくはSamsung自身、まだ根本的な原因の特定は出来ておらず、またその解決の目処も立っていないものと推測されます。これらの状況を総合すれば、いくら巨人Samsungと言えど、本件に関しては流石に詰んでいるものと考えざるを得ません。

ただ、本件含め、一連の発火爆発の頻発を通じて、今の所は死人が出ていない事だけは、かろうじて不幸中の幸いと言えなくもないでしょうか。死者や重傷者が出ておらず、金銭的な補償で取り返しが付くだろう今のうちに、Samsungには、自分たちが如何な無謀を働いたのか、ユーザや社会を危険に晒したのか、よくよく認識の上、深く反省して頂きたいと思う次第です。無理なものはやはり無理、その事を理解していれば、このような事態には至らなかった筈なのですから。

とりあえず、崩壊してしまったGalaxyブランドの回復は客観的に見て殆ど不可能にも思われるところ、もうすっぱり廃止して、別のブランドを立ち上げた方がいいんじゃないかと。といっても、揃ってクビがかかってるだろうSamsung内の責任者達はそう潔く諦めるのも難しいだろうし、悪あがきを続けた挙句の果てにより重大な事故が連発、というような最悪の展開になる可能性の方がむしろ高いだろうとも予想出来てしまうんですけれどもね。困ったものです。

(追記)

そして一週間と経たず2件目。

Samsung Galaxy Note 7: Second 'safe' replacement catches fire

今度は米Kentucky州の民家で、夜間に充電のためGalaxyNote7を電源に繋いでいたところ、所有者が目覚めると部屋に煙が充満していたんだそうです。「死ぬかと思った」とのコメント。そりゃそうでしょう。恐ろしや。

 (追記その2)

2件目の発生でようやく観念したのか、Samsungが生産を停止したそうです。再開の目処はまずもって立っていないでしょうし、丁度、強力な競合となるだろうgoogleのPixelが発表された直後でもあるし、一気にユーザが流れるだろう事も考えると、このまま終息しちゃうかもしれませんね。安全面のリスクを軽視した自業自得だし、まだ復活の可能性も完全に皆無になったというわけではないでしょうけれども、それにしてもこれだけの規模を誇った事業がわずか1ヶ月程度で本当に終わりかねないところまで行ってしまうとは。まさに一寸先は闇、コンシューマ事業の恐ろしさを改めて示す教訓となった、と言えるかもしれません。

Samsung halts production of the Galaxy Note 7

ところで、これでSamsungの経営面への相当の規模・期間に及ぶ悪影響が避けられない事も確定したものと言ってよいだろうところですけれども、同社に極度に依存している事で知られる韓国の経済は大丈夫なんでしょうか。折悪しく海運大手も破綻したところですし、芳しいとは言えないだろう同国の自動車産業の業績等も併せて見ると、問題ないわけはないのでしょうけれども。

(追記その3)

結局、全回収で返金・他社製品へ交換だそうです。というわけで終了。キャリアに販売許否されたのが決定打になったようです。しかし回収するのも大変な感じですね。

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