ようやくというか、おそらく誰もが予想していた通りだろう展開なわけなんですけれども。Nikkei225が1日にして1000円超の下落、寄り付き時は上昇していましたからそこからだとさらにで計10%にも迫ろうかという落ち幅で、さすがにこれは崩壊と言って差し支えないでしょう。ここ数週間のCrazyとしか言い様の無い連続上昇と、そのチキンレース的に上がりきった極限で仕掛けられたおそらくは外資の売り、まさに絵に描いたようなバブルの演出と崩壊に失笑を禁じ得ません。各機関投資家はようやくというか債権安の流れに押されて止むなく株式にシフトし始めた所に直撃を喰らった恰好で、融通の効かない組織の性質上致し方の無い所ではあったんでしょうけれども、それにしても間抜けにも程があろうというものです。
そういう呆れを誘う目先の細部はさて措き、外から引いて見る分には色々と興味深い面はありますけれども。先日のBitCoinといいガンホー株といい、ほぼ同じパターンに嵌っているのを見ると、単なる突発的な現象には止まらない一種の流行り的なものなのか、とすれば割とシンプルな類のメカニズムが裏に成立しているのかもね、とか。元より殆ど観測が不可能に等しい市場構造については、具体的な所は当然ながら見定め難く、従ってどこまで行っても仮説の域を出ません。が、それでもその種の思考をこねくり回すだけで十分に面白く、暇つぶしにはもってこいなのです。ともあれ、やはり鉄火場は外から眺めるのが一番。しばらくは不安定な状態が続くでしょうから、阿鼻叫喚の声をBGMに色々考えるとしますかね。
日経平均急落、終値1143円安 00年4月以来の下げ幅
------後日追記
しかし本件日本株を筆頭にして債権も為替も各種商品も、どれもこれもが不安定この上ないこの現状、端から見てる分には面白いものの、経済的には甚だあるまじきところなんですよね。もっとも、そもそも経済に現実以外のあるべき姿など存在しないといえばその通りでもあるので、一定の秩序を求める多数がそう認識しているだろうというだけの話ではありますけれども。
とりわけ債権価格のボラの大きさは目を覆うばかりです。当局の制御が全く効いていない、というか単なる市場の1プレーヤーとして率先して引っ掻き回しているようにすら見えます。そう見れば、政府、また完全に中立性を失って政府の一機関と化した日銀は当然に債務の緩和のため利率抑制を指向しつつ、しかしその政策の基本方針には利率上昇とほぼ同義の筈なインフレ誘導を掲げる、その一連の政策に内在する根本的な自己矛盾がその不安定性の原因である、そういう仮説もそこそこ成り立つように見えなくもありません。もしその仮説がある程度正しいのだとすれば、この状況は単に制御困難なだけではなく、本来最低限の秩序をもたらすべき唯一の機関たる中央銀行自体が不安定性の源泉であり、従ってより不安定になる事はあってもその逆はないだろう結論になってしまうわけで。控えめに言っても非常にまずい事態には違いないでしょう。
その債権総量の大きさ、加えてさらに加速し続ける債務の増加率から導かれる当然の帰結として未曾有のカタストロフを予想し続けて来た向きからは、本件をそのついに訪れた"終わりの始まり"と位置づける見方も散見されます。その可能性は否定出来ないようにも感じつつも、それが現実となった場合に被害を被るだろう一市民としては心から勘弁して頂きたく思う次第で、とりあえず日銀には最低限矛盾のない政策を取って頂きたくお願い申し上げたいところです。
まあでも、一連の経済政策の本命というか本体である筈なところの実体的安定成長の達成については、その手段は未定、それ以前にゴールも具体化されておらず想像すら困難に思われる状況なのだし、実際問題どうしようもないんだろうなとも思うんですけど。それでも当局には建前にしてもある程度具体的な計画はあるでしょうから、そろそろ具体的なロードマップを示す形でまとまった話を伺いたいところですね。ていうかそうしないと収拾出来ないでしょこの状況。
[過去記事 [biz] 長期金利が約0.3%まで急低下 ]
[過去記事 [biz] BitCoinのバブル劇に ]
[過去記事 [biz note] バブルの再来にげんなり ]
------さらに追記
バブル崩壊に歯止めを掛け、あわよくば再発生を目論んで発せられた通称第3の矢こと一連の政策の本体であるところの成長戦略ですが、実質的に既発表の、規制緩和を中心として実体を欠いた抽象的方針を繰り返しただけのものに止まり、要するに政府は実体部分の成長に関してはノーアイデアである事を大々的に喧伝する結果に終わってしまったようで。膨らんだ期待を実体化するに足りるだけの具体的なロードマップが求められていたところに所得150万増加とかプロセスをすっ飛ばした結果の空手形や願望ばかりとあっては失望されて当然というものです。もっとも大多数がそんなことだろうと予想していた通りになっただけの事なんでしょうけれど。