12/26/2011

[biz] 野村危機の噂が交錯

言わずと知れた国内金融業界のトッププレイヤー野村HDが危険な状況にある、との噂がTwitterを中心に急速に広まって、慌てた野村側がその元になっただろうツイートの発信者を相手取った訴訟の準備中だとか。問題のツイートを見てみると、すぐにもつぶれる、と断定している点は確かに常軌を逸したものと思わざるを得ないわけで、実際に火の手が広まってしまっている以上、野村の反応も無理からぬ話のようには見える感じです。

しかし、少し考えてみれば微妙な話のように見えます。まず、野村が問題視しているであろう風説の流布云々については、程度の差こそあれ証券営業の現場では日常茶飯事、当然ながら野村自身も例外ではないし、公式にもリポート等を通じてポジトーク的な情報は多々流してきているわけで。特に投信やらデリバティブやら、ここ数年で超絶毀損した商品の数々、それらを売る時に、このような状況になる可能性の高さを顧客に現実的に認識させる営業を行ったわけは無いし、そういう被害を被った範囲の広さ、顧客の多さから見ても、広範な向きから、どの口が、と思われて当然だろう筈なんですよね。

そこに、前四半期の決算での赤字転落、殊に大規模法人向け部門での売り上げ半減に近い壊滅と先行きの暗さ、それに対し表面上は強気を保ちながら、実体的にはNRIはじめ主要グループ企業の売却・リストラ計画を進めている矛盾、それらの事実から推測、予測される今後の破綻を含めたリスクの強まりがあるわけで。確かに、資本金の額等からすれば、すぐにも破綻、というのはやはり行き過ぎだろうとは思われるものの、一方で現金の減少ぶりとリスク資産の増え方は尋常ではないし、リスクが急拡大しているのは事実、相当にネガティブな見方をされる点についてはむしろ当然ではあるでしょう。あとなんかむちゃくちゃ怪しい社債も発行しようとしてたりするし。破綻時の無利息・期限前償還特約付の劣後債って、事実上破綻したら紙くずじゃないすか。何でそんなヤバイものを発行するのかと言えば、通常の資金調達に難があるからでしょう。

そういう状況から本件を見れば、要するに、都合のいい事ばかり言ってリスクを顧客に押し付けて利益を上げてきた、そのツケというか、その帰結としての大きく失われた信用、その毀損加減、場合によっては上述の被害を被った人達の潰れちまえ、という怨嗟の念が、実体面における毀損から来る悲観論に合流して拡大加速した結果であって、大枠では必然的な話ではあるのかもしれない、とも思われるのです。本件のツイートは単に一つのきっかけでしかなかったたのだろうな、と。

そもそもね、破綻リスクが本当に無いなら、一般には殆ど知られていない評論家が一人、風説拡声器であるところのTwitterに破綻予測を流したところで、実体には殆ど影響しないか少なくとも短期間で終わる話でしょうよ、と思うんですが。しかるに野村はいかにも必死な対応ぶりで、逆に真実味が増して感じられるし、ますます炎上しそうにも見えて、しばらくは目が離せません。本当に破綻するかどうか、その可能性の程度も含めて。