EVバブルの崩壊を実感させる出来事がまた一つ。
米NIKOLAがChapter11の申請をして破産したそうです。
かつてTESLAの後追いで沢山生まれたEVメーカーの中でも、名前からしてとりわけパクリ感の強かった同社ですが、既に殆ど忘れられた存在になっていました。私自身、そういえばそんな会社もあったね、と今回の報を聞いて思い出した位です。
破綻自体は、まあ、そりゃそうだろう、としか。同社が開発・製造していたのは大型トラックですが、EVはその巨大なバッテリーの重量が致命的に大型車とは相性が悪く、重すぎて例えば日本国内では法令上の重量制限に引っかかって殆どの道を走れないという、わけのわからない代物になってしまっていました。
さらに、数年前にはモックアップを走っているように見せかけたプロモーション映像で資金を集めて詐欺で訴えられたり、全車リコールをやらかしたりと、色々と不祥事が絶えなかったそうです。なお、投資詐欺等で訴えられた創業者で当時のCEOのTrevor Miltonは既に有罪が確定しています。(4年の実刑+1m$の罰金)
それでも年に数十台程度は売れていたようですが、採算が合うわけもなく、当然のように毎年数億$レベルの赤字を垂れ流し続け、この程ついに資金が底をついた、というわけですね。株価は既に殆ど下がりきっていたようですから、関係者も市場もみな織り込み済みの結果なのでしょう。
むしろ最初からその構造上事業として成り立たないだろう事が明らかだったのに、よくそんな体たらくでここまで保った、と評するべきなのかもしれません。
その意味で、十分な実体を備えない殆ど詐欺同然のスタートアップも、投資をする側が実体に頓着せず、最低限の精査すらしようともしない(あるいはその能力がない)ために、最低限の外面的な体裁と流行のネタに絡んだ話題性があれば巨額の資金を集める事が出来てしまう、バブル生成機構としての株式市場を含めたスタートアップ環境の病的な現状を象徴する一例であったとも言えるのかもしれない、とそう思うのです。
太陽光バブルは既に遠く過ぎ去り、さほど時を置かずEVバブルも破綻しました。しかし同様の、実体がないのにあたかも実体があるかのように見せて無知・無頓着な人から資金を集め、資金が集まっている、という事実のみによって得た仮初の価値によってさらに資金を集め、ガワに使ったネタの神通力が切れたらゴミになる、という詐欺同然の仕組みの投資対象は、見た目だけを変えて日々生成と消滅を繰り返し、途絶える気配はありません。
現時点でその代表的な立ち位置にあると言えるだろう暗号資産も、バブルの生成と崩壊を無限に繰り返しながら今の所は存続していますが、さてあちらはいつまで続くのでしょうね。 NFTは終わった感がありますし、有象無象のmeme系の暗号資産についても同様に終わりが見えているように見えます。
BTCやETHについては正直先が読めません。その仕組み上維持に必要となる計算リソースのコストはあまりに重く、それ以上のバブルの膨張を続けられなければ維持出来ないだろう事は明らかであり、膨張が止まれば終わらざるを得ない、それは間違いないでしょう。
しかし、虚像のバブルがそうと知られながらここまで長期間に渡って膨れ上がった例も今までになく、当然にその終わりに直面した経験もないために、先行き及び着地点の予想が困難なのですよね。それ自体に実体的な価値など無い事は他と同じなのだし、危ういにも程があるのは事実なのですが。
Nikola goes bankrupt, to sell assets in latest EV market turmoil