ついにこの日が来ました。
日銀が長期金利の上限を0.25%上げ、事実上の利上げを行ったのです。
形式的というかレトリックとしては目標金利自体は据え置きで、許容する変動幅を従来の0.25%から0.5%に変更した、という言い方ではあります。が、周知の通り長い間苛烈な金利上昇圧力に晒され、0.25%を超えては介入で戻し、を繰り返していた長期金利の現状からすれば、その上昇の許容は実質的に利上げに他ならない、というわけですね。
つい先日、発行済の日本国債の実に50%超を保有し、先日の0.25%を僅かに超えた金利上昇の時点で1兆円近い評価損が生じていた日銀のバランスシートの崩壊は必至です。試算では0.5%で既に引当金の額を超え、債務超過に陥るとされます。満期保有が前提とはいえ、中央銀行が甚だしい債務超過に陥るという事実の与える影響は小さいものである筈がありません。多岐にわたって甚大な影響、それも悪い方向で、が出るでしょう。
どうするんでしょうね。増資とかするつもりでしょうか。するとしたら財源は国債になるんでしょうけど、少し金利が上がったところで他国債と比べれば著しく低金利な日本国債の買い手が日銀以外にほぼいない現状、日銀の自己資本の増資のための債権を日銀自身が買うとかいうわけのわからないことになってしまうわけで、実質的に無意味な話な筈なのですが。いやはや滅茶苦茶ですね。もっとも、これまでゼロ金利を続けていた事自体が滅茶苦茶だったのだから、その末路が滅茶苦茶なものになる事もまた当然ではあるのですが。
年の瀬になって、俄に風雲急を告げる日銀、ひいては日本の金融。下手をすれば無事に年を超えられない人が出かねない激流に晒される方面の方々に置かれましては、可能ならば自衛を、出来なければ諦めて諸々手仕舞い等されますよう。
※9月時点での評価損は引当金の額債務は超えていなかったとの事。修正しました。