隣国ウクライナへの侵略の失敗が確実になりつつあるロシアですが、現実を受け入れて戦争の終わらせ方を模索する、などという理性的な行動に移る事は当然なく、それどころか無謀な戦力追加を試みているそうで。
直近では30万人とも120万人とも言われる予備役の徴兵を決定し、逃亡や降伏への罰則を大幅に加重して脅しをかけた上で対象者を強制的に連行しようとしているとの事。
大本営発表が通用した時代は遥か遠くに過ぎ去りました。個々人がそれぞれに戦況をつぶさに知りうる現代にあって、当然ながらその悲惨な状況を知っている徴兵対象者は、死地へ送られる事を回避すべく、ある者は逃亡を試み、ある者はわざと負傷する事で対象から外れようとし、逮捕される事がわかっていても抗議のデモを決行する者さえ少なくないとか。徴兵事務所が襲撃される事件すら起こっているそうです。そこまで行くとほとんどパルチザンですね。
無論、それらの行為に対する取り締まりは苛烈に行われているようですが、取り締まり及び逮捕者の管理に多数の官憲を動員しているのを見ると、本末転倒にしか見えません。まずその官憲を戦場に送るべきでは、と。
それはともかく、徴兵です。今の時代に。あの状況で。なんというか・・・わけがわかりません。その是非は論ずるまでもありませんが、それ以前に、戦闘に消極的どころか拒絶の意思が明確な者を戦地に無理やり連れて行ってどうしようというのでしょうか。まさか戦力になると本気で思っているのでしょうか。死にたくない、と怯えて逃げ惑う、無駄飯食らいの足手まといの類になるならまだましな方で、逃げるためにその支給された武器を上官等に向けかねないでしょうに。
ましてウクライナはもうすぐ冬。元より補給線は寸断され、物資も足りない。砲火に晒されずともそこに留まるだけで兵は死ぬ、文字通りの地獄になる事は明らかです。そこに無理やり放り込まれる哀れな素人たち。戦闘など出来る筈もなく、しかし食料や武装等の消費はその分増える。戦況の改善どころか、部隊をまともに維持する事も出来ないでしょう。
このまま行けば、第二次世界大戦でかつてソ連へと侵攻したナチスが見た地獄、かのスターリングラードをロシア自身が今度は逆の立場で繰り返す事になる、そういう未来が見えるのは私だけではないでしょう。ロシア軍の中にもその最悪の、しかし間近に迫った結末を恐れる者がいない筈はありません。生きて帰る事が出来るのかも不明で、運良く生還出来たとしても得られるものは何もない。地獄へ向かっている事は明らかなのに、止まる事が出来ないどころかむしろ加速しようとする。まさしく阿呆の所業です。もうどうにもなりませんね。