10/13/2022

[gov] 誰からも望まれないマイナンバーカード

マイナンバーカード取得・使用の強制化が打ち出されたわけですが。

率直に言って、うまく行くとは思えません。理由は色々と思い浮かびますが、何よりも根本的かつ致命的な点は、利用者たる国民のおよそ全てが望んでおらず、そもそも制度へのニーズが皆無な事です。平たく言えば、これはいいね、使いたいね、と言う人がいないのです。肯定的なのはほぼ評論家の類だけですね。お仕事ご苦労様。

当たり前の話ですが、制度の普及の是非を決めるのは政府ではなく利用者です。どんな優れた(と提供する側が思っている)製品であろうと、サービスであろうと、その受け手が自然と利用するに足るだけのニーズやメリットがなければ利用されません。例外がないわけではありませんが、それはそのサービス等に代替手段がなく、かつ必要不可欠な場合だけなわけで、マイナンバーカードにはそのどちらにも当てはまらないのです。

そんな状態でカードを強制的に取得させて、さあ使え、と言ったところで無意味です。それに、従来の保険証は使えません、これからはマイナンバーカードだけです、と言うのは簡単ですが、実際にそのような運用を実現するための条件は明らかに非現実的なのであって。全員がカードを取得するところからして無理ですからね。紛失時の再発行に数ヶ月かかるというのも論外ですし。その間は車に乗れない、病院にも行けない。身分証明も出来ない。生活が立ち行かなくなる人も出るでしょう。

にも関わらず、カード非所持者の問題はじめ、往診時や僻地での医療時、また必ず想定して然るべきシステムダウンや通信障害の際等、マイナンバーカードの利用が不可能な状況については代替手段すら用意していない、というのでは話になりません。まさか全部保険なしにしろと?車にも乗るなと?今の制度なら対応出来ているのに?出直してこいと言う他ありませんね。

医療機関等の側にとっても、カードの取り扱い自体に高度な注意が必要となる上に、個人情報云々や患者からのクレーム等、諸々のリスクが激増し、かつ対応のためシステムの導入・運用・更新に多額のコストがかかる本制度など百害あって一利なしです。得をするのはITベンダーだけですね。

それでも、マイナンバーカードを使う事に多くの人が利点を見出し、歓迎しているというのならまだ見込みもあろう話ではあるのですが、肝心のそれが無い、というかむしろ個人情報保護の面を中心に否定的というのだから、これで制度として成立すると考える方がどうかしているというものです。ほんと日本政府は馬鹿ですね。