東京五輪でのスポンサー選定に関する贈収賄の件、順調に摘発が進んでいますね。普段は立件が難しいだとか色々意味不明な言い訳をして摘発をしないのが常だった検察にしては珍しい話で驚きました。贈賄は3年、受託収賄は5年の公訴時効が迫る中、急がなければ起訴出来なくなる、という事情はあるにしても、ここまでの積極的な姿勢は長らく見なかったレベルである事は間違いありません。
その姿勢の変化の理由は、やはり検察・警察を含めた司法組織の弱体化を強力に進めた安倍元首相の暗殺、それにより後ろ盾を失った向きからの圧力が緩んだか、あるいは検察の側でもう横槍が入らないだろうという見込みが得られたからなのではないかと推測されるわけですが、果たして。そのあたりの事の真偽はそのうち明らかになるのでしょう。
現時点で、収賄側は五輪組織委元理事かつ元電通の高橋治之容疑者、贈賄側はAOKI会長の青木拡憲容疑者に同副会長青木寶久容疑者、同執行役上田雄久容疑者、KADOKAWA会長の角川歴彦容疑者、同元専務の芳原世幸容疑者、同担当室長の馬庭教二容疑者が逮捕されている他、広告代理店の大広と駐車場大手のパーク24の2社には家宅捜索、さらに参考人として当時の五輪組織委員長だった森喜朗元首相を含めた多数の関係者に聴取を行っているそうです。その他にも、同様の容疑がかかっている60社以上のスポンサー企業についても捜査が進められているとの事。その中心にいる筈の電通本体の名前が聞こえてこないのは腑に落ちない気もしますが、それはともかく。
本件は既に大変な規模になっています。が、五輪の規模、性質から見て、現時点での検挙対象が氷山の一角であり、同様の犯罪に手を染めていた者が他にも多数いるだろう事は疑いようのない所でもあるわけで。まだ始まったばかりと言っても良さそうで、時効が成立するまではまだまだ摘発が続くだろう事も必至。規模・範囲の大きさ広さに加えて厳しい時間制限もあるという事で、摘発する検察も大変でしょうけれども、長らく役立たず同然であった鬱憤を晴らす意味も込めて、是非とも頑張ってもらいたいところですね。
ところで、そもそもの話、贈収賄は著しく公益を損なう重罪なのです。少なくとも、やってはいけない事である事は誰もが知っている事で、通常の倫理があれば忌避して当然の行いです。にも関わらず、これだけの、それなり以上に社会的な地位もある面々が大勢、軽々しく(としか思えない)手を染めている様は一種異様な感がありますね。五輪が商業化しているにしても、だからと言って贈収賄だ、とは普通ならないわけで。
名前の上がっているメンツを見ても、高々数億円の協賛金を値切らなければ払えない、という事もないだろうし、罪を犯す必要性というか必然性もそんなに高くないと思うのですが。無論、数億円は安くはありませんが、犯罪に手を染めてまでして得られる利益としては釣り合わないと思うのですよ。でもこぞって軽々にやっている。そこがどうにも気持ち悪いのです。皆が皆、その辺りの倫理観やらもとっくに失くしてしまっていたというだけの事なんでしょうけれども・・・。正直ドン引きです。これも現在の日本の偽らざる有様という事なんでしょうかね。なんとも無残な話です。