裁量労働制に関する調査データに続き、森友学園への国有地売却の際の記録文書までもが改竄されていた事がほぼ確定となったようです。
いやもう、何と言っていいのか。前者はその規模と内容から偶然による過失とは到底考えられず、後者の改竄箇所の決定的な重要性、その事実が明らかになった場合に関係各局ひいては政権にとって致命的な意味を持つだろうその改竄の内容から、故意によるものである事は疑いようもありません。そして、前者はおそらく無印公文書偽造ないし変造、後者は有印公文書変造と、程度の差はあれ、どちらも公文書の真実性を失わせ、もって国家の基盤たる行政・立法の作用を著しく狂わせる重罪です。
なお、それぞれの罪に課される具体的な刑罰は、無印公文書変造罪は刑法156条により3年以下の懲役もしくは50万以下の罰金、有印の方は刑法155条により1年以上10年以下の懲役であり、森友関連の方が法的には遥かに重い罪に当たるという事になります。文書の存否すら回答出来ないという、既に自白したも同然の国会での答弁から、有罪とみなすならば、通常の不祥事等の場合とは異なり、大臣の辞任程度では済まず、当事者たる首相夫人と財務省・財務局等関係各局の関係者はじめ、その指示をしたであろう首相及びその側近らが大量に検挙され、刑事訴追を受けるべきものと言っても過言ではないでしょう。
実際にそうなれば、規模・程度の両面で、かつてのロッキード事件レベルの、現政権による大規模犯罪と言える事になるでしょう。無論、首相と財務相をはじめとした政権周りの関係者はこぞって強弁や詭弁をもって否定ないしは回避を図るだろうし、その範囲の広さに加え、現在の検察の弱体化ぶりからすれば、現実的には本来検挙されるべき者の大半が実際にはさほどの追及もされないで終わるのでしょう。ただ、ここまで明らかな犯罪の容疑がかかってしまった以上は、それにも限度があろうと言うもの。
少なくとも、最終的に誰も検挙されない、では済まないところに至っていると思うのです。おそらくは、現在逃亡を図っている近畿財務局から財務省前理財局長を経て現国税庁長官の佐川宜寿と、首相夫人の安倍昭恵の両名への追及が徹底的になされ、かつ検挙なりの法的な責任を取らされるところ位までは行かなければ収まるものではないのではないでしょうか。加えて、両名に対する実質上の責任者として、安倍首相と麻生財務相も責任を免れないものと言えるでしょう。
しかし、これまで本件を含め、自分たちに都合の悪い事は逆ギレや強弁を以て全て封殺して来た政権の面々の事です。潔く罪を認めて刑に服する事はおろか、謝罪する事すらせず、非難し追及する野党や国民を逆に非難する、これまでと同じ対応で乗り切ろうとするのでしょう。あるいは、全く関係のない北朝鮮や中国等の国外の問題への対応を打ち出し、本件等はうやむやの内に無かったことにしようとするのかもしれません。そういう、事実を事実と認めない、無反省で傲慢かつ姑息な振る舞いを続けた結果、易易と本件のような重大な犯罪に手を染める結果に至った、という事なのでしょうけれども、この期に及んでまだそれを続けるのでしょうか。つくづく救いようのない事です。政権や官庁の面々は無論、彼らを安易に信認した多数の国民も。