Q3決算の延期、また同時に発表された無謀という他ない半導体事業の部分的売却決定から早1ヶ月。このわずかな間にもさらに積み上がる損失を前にして、あれよという間に規定路線となった半導体事業全部の売却に加え、原発事業の破産処理及び連結外し。明らかになったLNGの先物取引に伴う巨額の損失リスク。当然のように再延期され未だ確定しないQ3決算など瑣末な事に思えるような、どれ一つ取っても単独で致命傷になりかねない巨大な損失が積み重なり、それに流されるままにグループの解体が進んでいく惨状には最早言葉もありません。
今現在の報道を見る限り、世間一般の現在の焦点は上場廃止になるかならないか、その当否にあるように見えますが、中核事業を手放したとしても補填出来るか不明な程に積み上がる損失を見る限り、現実として既に上場云々を問題にしている場合ではなく、東芝という事業体そのものが破綻するかしないかの瀬戸際に立っていると言わざるを得ないわけです。
仮に事業売却による損失の穴埋めが失敗すれば終わりですし、もしそれに成功したとしても危機の回避には程遠く、会計的にも事業ポートフォリオの面でもその後の事業の継続に疑義が付く事も避けられないでしょう。そして何より、このような組織が崩壊していく惨状を前にして、人材の流出が起こらない筈はありません。今のところその辺は特に表立ってまとまった規模の流出は伝えられていませんが、これまでの会計的な計算上の危機のみならず、組織面でも崩壊の危機に直面する、あるいは既にしているだろう事はおよそ疑いようのないところです。それでなくとも同社は近年リストラを連発し、賞与のカット等して待遇も悪化させていたところなのですし、能力・実績のある人材は、余程忠誠心が高いだとか特別な理由を有しているのでない限り、自身の将来を再検討せずにはいられないでしょう。引き抜きの類の動きも活発になっているものと考えられます。
しかし、伝え聞く限り、そのような状況にあってなお経営陣は、およそ事業を売って現在の損失を穴埋めする以外、何もしていません。もっとも、あれだけの規模の事業売却ですから、それをこなすだけでも大変な労力を要するだろうし、それ以外の事まで手が回らなくなっても仕方ないと言えばそうなのかもしれませんが。それでも、不正を含め無茶な指示にもただ粛々と従う事だけを強いられてきた社員に今更自主的な改革を期待できよう筈もないし、社員の側からそのようなアクションを起こした場合に生じうるリスクを侵す義理を感じる事もないだろう以上は、経営陣が裁かないと回らないだろうところなわけですが。というか、元より不正の後始末として組織とそのガバナンスの改革もしなければならないわけで、それは当然経営陣がやらなければどうにもならない話なのであって。でもそれどころではない、という。やっぱりもう駄目なのかもしれませんね。いやはや。
しかしこれ、対処するなら何処からどう手を付けるのがベストなんでしょう。外側から見る限り、組織の基盤自体がぐちゃぐちゃな上に、解体も急速に進められているわけで、事業や組織の統廃合等をしようにも動かしようがないですよね。こういう状況だと誰も彼もが保身に走るだろうし、普通に考えてもうどうしようもないような。。。内側から見ればまた違うんでしょうか。おそらくそんなわけはないだろうと思いつつ。
あと、原子力を連結から外すべくWH株を売却する旨発表されていますが、どうやって売るつもりなんでしょう。現状だと、少なくとも数千億程度を支払って引き取ってもらう形になるだろうし、それでも業界の現状からして引き取り手の候補が居るかも怪しい位な筈なのですが。ほんとわけがわかりません。破綻させてから譲渡する、と言うのは簡単ですが、それにかかる時間と発生する損失を考えると、処理が終わるまでグループが持たないんじゃないでしょうか。
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