2/15/2017

[biz] 時間切れ濃厚な東芝の惨状に改めて戦慄

見るに耐えない惨状を呈している東芝の件ですけれども。色々無茶なスケジュールで事を進めようとしていた上、ここに来ての2016Q3決算の延期は致命傷だと思うのです。しかもリスク要因も増えて下方修正の可能性ありとか。。。これはもう間に合わないんじゃないでしょうか。

今現在の東芝の目標というか再優先事項は、今年度決算すなわち2017年3月末における債務超過回避にある事は明らかなところ、既にQ3において少なくとも2000億程度の債務超過が確定している以上、あと40日強でそれを解消するだけの大規模な資本調達が必要になるわけです。

その手段は、(事実上)半導体事業への外部資本導入しか残されていません。そしてその実現のためには、同事業の分社化すなわち新設分割の手続を踏む必要があります。同社における同事業の規模比率からして、簡易の手続による事は出来ませんし、株主総会の特別決議等を得る必要があります。また、設立会社へ承継させるだろう工場を含む資産等の内容から、債権者の保護に関する手続も必要になるだろうところ、その手続には公告等のため計画策定から最低でも1ヶ月以上の期間が必要になります。

で、その策定すべき分割計画には、資本金や承継する資産・人員等の設立会社自身の構成は無論の事、株式の割当すなわち外部の出資の内容も含まれます。出資を受ける相手を選定し、割り当てる株式の内容、出資比率、一株あたりの出資額、役員を受け入れるならその構成等の条件をも固めなければなりません。従って、3月末までに手続を完了させるには、それらの膨大な内容の決定を2月中に、すなわち残りわずか2週間の間に完了させなければならない、という事になります。承継させる全ての債務を東芝本体が連帯保証するというなら債権者保護は省略可能ですが、それでも株主総会決議の2週間前まで、すなわち3月半ばがデッドラインとなります。なのに、延期された決算の発表日時は3月14日という。

そもそもこんな質的にも規模的にも重大な案件、しかも将来の譲渡も見据えた新しい協業の相手や条件等までもを短期間で選定・決定する事自体が困難極まりない話です。無謀とさえ言えるでしょう。そこに加えて、その検討及び判断の前提となる直近の決算すら確定出来ていないというのでは、出資を検討している相手方候補各社も不確定性が大きすぎて決めようがないだろうし、率直に言って話にならないと言わざるを得ないと思うのです。

そのリスクをカバーするとでも言うつもりでしょうか、将来の過半数の譲渡にも言及されていますが、諸々の規制絡みで今年度末までに出資可能な範囲は20%未満である事に変わりはない以上、相手方にしてみればあまり意味はないでしょう。むしろ、この段階でそんな事を言ったらより一層足下を見られて、あるいは一気に丸ごと乗っ取られかねない話だろうわけで。

それで足下を見られまくった条件で半導体事業を売り飛ばし、債務超過を回避したとして、何の意味があるというのでしょうか。残るのは、未だ底の見えない泥沼と化した原子力事業と、成長余地に乏しいインフラ事業と、他社に明らかに劣る脆弱なITサービス事業位です。もはやその損失を補填する事もままならず、原子力事業を手放すまで債務超過の危機を繰り返す様が目に見えるようですが、東芝経営陣は、それでいいと本気で思っているのでしょうか。貧すれば鈍す、と言うにも程があるでしょう。恐ろしい話です。関わりあいのない第3者の立場で良かったと、心から思わずにはいられません。

およそ全てにおいて場当たり的な対応に終始して来た事がこの破綻した帰結に導いたというか、そもそも破綻を云々出来るだけの計画性自体が無く、通常なら当然にあるべき準備も保険も選択肢も何もないままに目先の取り繕いに汲々とするばかりで一年先の事すら考慮しない、という信じ難い振る舞いを続けた必然の結果と言うべきなのでしょう。ここまで酷いと、教訓にするのも難しい感じで、ただひたすら距離を取って巻き込まれないようにする位しか仕様がないんじゃないでしょうか。最早その影響を逃れる事も困難な位に関わってしまった利害関係者も多数いるだろうわけですが、東芝のその有様を見て、それでも関係を持ち続けた自身の愚かさの報いを受けるだけの事、同情は無用だし、するべきでもないのでしょうね。実際どうしようもないし。くわばらくわばら。

[前記事 [biz] メモリ事業を売って原子力を残す、何処までも場当たり的な東芝]

2/14/2017

[biz] ニコンDLシリーズ発売中止、瀕死の同社コンデジ事業

Nikonがコンデジの新シリーズDLの発売を中止しちゃったんだそうで、大騒ぎです。

それも当然でしょう。同シリーズは同社のコンデジ製品における新たなフラッグシップとして、CoolpixのPやA等、ハイエンドカテゴリを丸ごと承継する、少なくとも今後数年間における同社コンデジ事業の利益の大半を稼ぐべき主力と位置づけられていたものであり、それを中止するというのは殆どコンデジ事業自体からの撤退を宣言したに等しい決定とも理解出来てしまうのですから。

それに、元々の発売予定日は半年以上前で、それが延期されている状態でした。ということは、当然ながら開発・生産・広告等諸々の投資は実行された後であり、そこに遅延による追加の費用までもが積み上がっているわけです。そこまで突っ込んだのにも関わらず、回収を諦めて撤退してしまうというのは、如何なる企業であれそう簡単に出来る筈もない話です。普通に致命傷になりますからね。

にもかかわらず、このような決断をせざるを得なくなった理由は何か。発表されたところでは、プロセッサの不具合とのことですが、センサーの生産上の問題ではなくプロセッサというのは極めて珍しい話です。デジカメのプロセッサなんて殆どの機能は枯れているものだし、技術的な問題が生じたとしても普通なら修正自体はそれほど困難とは考えづらいところですが。。。何が起きたというのでしょう。謎は深まります。

といって、そこは推測するしかないのですが、考えられる理由は幾つもあります。

既に発表済の製品情報によれば問題のプロセッサはExpeedの新型である6Aですが、基本的にその開発・生産は昔から富士通に委託して来た筈なところ、富士通のLSI事業は少し前にリストラされましたから、現在はおそらくそこがパナソニックのLSI事業と合併して出来たソシオネクストが担っている筈です。デジカメ関連ではニコンと競合するパナソニックの資本が入った事が本件プロセッサの開発・生産に影響した可能性はあり得るでしょうし、そうでなくとも独立した事で案件毎の採算に厳しくなり、そこに開発上のトラブルや市場の動向を踏まえた生産数見込みの下方修正等が入れば、不採算案件として手を引く決断がされたとしても不思議ではない、とは言えるでしょう。

他にも、ニコン自身がリストラの真っ最中で、キーマンが抜けたり部門の編成変更等で開発・生産体制に不備が生じた可能性も相当にあるでしょうし、そもそも売り出し価格で10万円前後の高級機につき、余程の"売り"が必要な事は間違いないところ、それに乏しく、単に競合製品や自社の1シリーズ等と比べて商品力に欠ける事から事業として成立しないものと判断されただけなのかもしれません。 勿論それらの事情が重なった可能性もあるでしょう。

何にせよ、ニコンのデジカメ事業が存亡の危機にある事は間違いなさそうです。あわせて発表された2016Q3の決算資料によれば、DSLRとレンズは前年同期比で販売台数で約2割減、コンデジに至っては半減近い壊滅的な状態にあって、しかもその減少率は市場全体の縮小率より大きく、シェアも同時に低下しているというのですから。本来ならこういう時こそ新製品を投入すべきだろうところ、逆に白旗を挙げてしまった本件、このまま同社のコンデジ事業は消滅してしまうのでしょうか。個人的には結構な間Pシリーズを愛用しているので、なんとか回避して頂きたく願う次第なのですが、無理ですかね。

2017年3月期 第3四半期決算 説明資料(PDF)

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2/13/2017

[note] Ebayで在庫なしキャンセルを食らって

どうにもトラブル続きなこの頃。ebayで久しぶりに酷い目に逢ってしまいました。

何かというと、先日、ebayでとあるPCの修理用の部品を発注したんです。古いPCの部品で、国内では入手しづらいものだってので。そしたら、支払も済ませて数日後、突然sellerから一方的にキャンセル&返金されてしまったんです。

sellerの言い分は、出荷準備中に検品したら不良が見つかり、代替品も調達出来ないため、とのことでした。普通に債務不履行です。相手の言い分の真偽もこちらからでは分かりませんし、結局のところ、こちらとしては、数日を無駄にして修理が遅延し、数日分とはいえ代金を提供し、かつ当方の住所や連絡先等の個人情報を無駄に知られただけの結果となったのでした。ポジティブな要素が何一つありません。

というわけで、これは流石にnegative評価をせざるを得ない、と思ったんですが、これが一筋縄ではいかないのです。というのも、ebayのシステム上の仕様で、negative評価は取引成立から1週間経過しなければ付けられないようになっているのですね。これ自体は悪意によるnegative評価の乱発を避けるための措置という事で理解出来なくはありません。ただ、キャンセルされた取引はキャンセル後数日でmy ebayの履歴に表示されなくなり、Feedbackするためのボタンも一緒に消えてしまうため、1週間経過する前に通常の手順でFeedbackする事が出来なくなってしまうのです。

キャンセルされた取引をたかが数日で履歴から消す合理的な理由はありません。むしろ本来はその後始末のため、少なくともしばらくの間は残されるべきものでしょう。従って、この仕様はキャンセル時にnegativeなFeedbackを残す事を妨げる意図で設定されているものと理解せざるを得ないわけです。明らかに不誠実なsellerを保護しようとする、姑息と言う他ないebayの姿勢に憤りと呆れを覚えました。

ただし、この場合にもFeedbackを残す方法はあります。取引が成立した場合、当該商品のページ上部にその取引内容へのリンクが貼られるのですが、これはmy ebayの履歴から消えた後も残ります。これを辿る事で、Feedbackボタンを含む当該取引内容にアクセスする事が出来るのです。

もっとも、キャンセルされるような場合、通常は同時に出品も取り下げられ、検索等の表側からは見えなくなるものでしょうから、このやり方を使うには、あらかじめ商品のページのアドレスを控えておく必要があります。私は元々購入検討時に候補をブックマークしておく習慣があって、そのブックマークを使って辿る事が出来たのですが、まず一般的ではないでしょうし、大半のケースではFeedback出来ずに泣き寝入りさせられているものと考えられます。まあ、キャンセルされるとFeedback自体が完全に不能になるamazonよりはマシ、とは言えるでしょうか?

ともあれ。1週間経過後、上記のやり方でFeedbackにアクセスし、支払い後在庫不良のためsellerにキャンセルされた旨コメントを添えて、無事negative評価を残す事が出来たのでした。

これで終わったものと考えていたのですが。。。数日経って、sellerからメッセージが届いたのです。内容は、要するにnegative評価を取り消せ、という要求でした。取消しの対価として、商品の代金の1割程を追加返金する旨も添えられていて、どう見ても買収の提案です。

評価の売買は当然ながら不正行為につき、応じられるわけがありません。無視しても良かったのですが、勝手に入金等されては面倒とも思い、そんな不適切な提案や要求をしてはいけません、とシンプルに拒否の旨を伝え、以降コンタクトしないよう伝えたわけです。と言ってもこのような要求をしてくるような業者がそれで諦めるとは思えなかったところ、やはりというか、また数日してから何かメッセージが届いていたようでした。元々こちらに付き合う義務はない、というか純然たる被害者なのだし、とメッセージは読まずに廃棄し、本業者絡みのメッセージはメールで転送されないように設定して、以降は無視することとし、一応(こちらとしては)この案件は終了、としたわけです。

後から調べてみると、こういうnegative評価の撤回を求めるsellerって多いそうですね。色んなケースがあるようで、脅迫も普通にあるようです。それらと比べると、今回はseller側の一方的な不履行で、評価の妥当性自体は争う余地が無かったためにこの程度で済んだ、と言えそうな感じです。ebayではどのsellerもnegative評価が3%未満で、全世界の不特定多数を相手にオープンな取引をしている割には異様に高いと疑問を感じていたところだったのですが、システムの仕様上の妨害と、sellerの買収や脅迫等の賜物だったとは。。。いやはや、ホント信用なりませんね。

ちなみに、逆にbuyer側からnegativeなFeedbackを盾に金銭等を要求するケースもあるそうで。そういう行為を防ぐためには、ある程度の防止措置は必要だという事も分からないではないですけれども、しかしそれは同時に正当な評価をも妨げるものには違いないわけです。とりわけ、今回のようにFeedback自体を妨害する措置は、結局のところ、評価システム自体を無意味に帰するものと言わざるを得ません。ebayも苦労してるんでしょうし、解決の方法自体存在しない類の話なのかもしれませんが、それならそうと表示すべきです。現状のようにその評価を偏らせる仕組みを隠し、さもオープンで正当な評価のように表示するというのでは、詐欺を幇助しているものに他ならないわけですから。

ともあれ。ebayを使う時は、より一層気をつけましょう。といって気を付けてもどうしようもない面もあるし、そういう事もあると鷹揚に構えるべきでしょうか。いずれにせよなんとも面倒な事で、困ったものです。

なお、目的の品は、何とか互換品の調達に成功し、遅れたものの無事修理を遂行する事が出来ました。やれやれです。

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[note] Al Jarreau passed.

また一人、Jazzの名手が逝ってしまったそうです。既に76歳にもなっていたのですね。あの軽やかで心地良い歌声が失われてしまった事には残念と言う他ありませんが、時の流れには逆らえません。彼は、病床にあっても折りに触れてその歌声を響かせ、看護師らに大いなる安らぎをもたらしていたそうです。優しき彼の魂もまた安らかなる事を祈って。R.I.P.

Al Jarreau: Seven-time Grammy-winning jazz singer dies at 76

ふと、某ピアニストの方が、ラジオ番組で彼の曲を紹介する時、よく、"なんじゃろう、アルジャロウ"などと駄洒落を飛ばしていた事を思い出しました。程よく脱力した後で流れる心地よい音楽。とても良い時間でした。それらの良き思い出をくれた彼に、今一度感謝を捧げたいと思います。

2/12/2017

[note] 車のバッテリー交換で下手を打ってひどい目に

先日、自動車のバッテリーを交換したんですが、少し横着をしたら面倒な事になってしまい、その修正に結構な手間がかかってしまった、という事がありまして。反省の念を込めて、メモを残しておこうと思うのです。

対象は、2013年型デミオ。Skyactiv対応車です。バッテリーの型格はQ-85のD23L。当然ながらアイドリングストップ対応、という事で、結構大きいタイプです。幾つかある候補の中から、最も性能ランクが高く、それでいて価格は大手メーカー製の中では安い部類のBOSCH製のもの(HTP-Q-85/115D23L)を選択しました。後にして思えば、大手メーカー製なら大丈夫だろう、というこの安直な選択がトラブルの原因の一つになったわけですが、それはともかく。特に問題もなく入手出来たわけです。


合わせて定番の工具類を準備します。アイドリングストップ関連とか諸々の設定がリセットされてしまうと再設定等が面倒なので、メモリ保持用の電源を準備。定番のエーモン製No.1686のメモリバックアップを使います。1.5Vx6で9V。バッテリーの定格である12Vに足りないのは少し不安に感じますが、メモリ云々が問題になる部分はまず9V以下だからこれで十分、という事なのでしょう。


先日修理した充電器で補充電もして、作業開始。


短絡防止のカバーで覆われているプラス端子と、剥き出しのマイナス端子とにそれぞれバックアップ電源のクリップをつなぎます。プラス側はスペースに余裕がありませんが、なんとか手前のボルトの部分に噛ませる事が出来ました。しかしポロッと外れそうで不安です。


しかるのちに、セオリー通り、マイナス側から外します。うっかりプラス端子側にレンチをぶつけて短絡させないように注意しつつ。


プラス側も外して、ケーブル類を脇にどけます。ここでも短絡させないようにプラス側の端子は注意。といって、プラス側にはシャーシの金属部分は殆どないので、どちらかというとクリップが外れないようにする方が気を使う感じでしょうか。バッテリーを出し入れする時にぶつけると簡単に外れちゃいそうですから。


端子と上部のステーを外した後、ケーブル類にぶつけないよう気を使いつつ、バッテリーを引っ張り出します。しかし流石に18kgは重い!


で、交換用バッテリーを入れて、逆に作業すればOK、の筈だったんですが。。。何かバッテリーの下部がハウジングにひっかかって、ちゃんと収まってくれません。それでも何とか強引に押し込み、ステーを少し曲げて固定する事は出来たものの、ハウジングは歪んでますし、ステーのボルトも下まで締まり切っていません。これ以上閉め込むと、樹脂部分が割れかねない感じだったので、ある程度抵抗を感じるようになったところで止めたのですが、とても不格好ですし、ぐらついたりはしないとは言っても重量物なだけに不安も残ります。


なので、一旦外して調整する事にしました。が、ここで追加のトラブル。持ち上がりません。入りにくいところを無理に押し込んだために、今度は引っ張り出す際に強い引っ掛かりが発生するようになってしまっていたのです。

よくよく見ると、片側のステー(上図画面右側)のハウジングの内側部分には縦長のゴムの緩衝材が貼られていて、これがバッテリー本体下部の出っ張りに噛み込んでしまっており、それが強い摩擦抵抗を生じさせていたのでした。これを緩めないとどうにもならない、という事で、バッテリーとハウジングの間に金棒を差し込み、ステーとバッテリーの間に隙間を作ってその噛み込みを緩めつつ引っ張り出す事にしたのですが、元々のバッテリーの重量が大きいのに加え、バッテリーが車体の奥側にある事もあって、これは相当な重労働でした。多少緩めてもまだ摩擦は大きく、一気に持ち上げる事は殆ど不可能な状態ですから、噛み込みが発生しない高さに到達するまで、数mmから数cmずつ位、少し持ち上げては指で保持して休憩、を繰り返す必要があったのです。

ひいひい言いながらも慎重かつ根気よく進め、最終的には何とか苦労して取り出す事に成功したわけですが、、、正直言って、個人的にはもう二度とやりたくありません。そこそこ以上の体格(上背)と、腕力、握力、背筋力等の筋力が必須で、それでも下手をすれば腰や腕を痛めかねませんし、持ち上げている途中で落下させたりすると車体にダメージが発生するリスクもあります。なので、そもそもこのような事態にはならないよう、あらかじめ後述のような措置を取っておくべきところでしょう。途中で気づいた時も、迂闊に押しこんだりすべきではなかったのです。

で、そもそもこの噛み込みの発生原因なんですけれども、これはバッテリーの外側の形状、具体的には下部の出っ張りによるものでした。下図だとわかりにくいかもしれませんが、山状の出っ張りがあるんですね。実はこれ、基本的に海外メーカー製品にのみ存在するもので、国内メーカー製だとないらしいのです。何でも国内だと上からステーで囲んで固定するのに対し、海外だとこの出っ張りをステー等に引っ掛けて固定する方法が主流だからなんだとか。国内車にはやはり国内メーカー品の方が相性がいい、という事で、言われてみれば自然に思えるわけですが、この種の部品類は標準化されているものが大半な昨今、型番に現れない仕様の違いがあるとは思いませんでした。油断なりませんね。

 

そういう事情はともかく、修正の方法は2つです。バッテリーの出っ張りを削るか、ステー側の緩衝材を削るか。少し考えて、ステー側を削ると、今後国内メーカー製品に交換する事になった場合によくないだろう、というわけで、バッテリー側を削る事にしました。干渉する側(端子と反対側)の出っ張りを、側面と同じ位の高さになるまで、適当にカッターで削り落とします(下図)。反対側にはステーに緩衝材が取り付けられておらず、特に問題なさそうではありましたけれども、念の為同様に削り落としました。


しかるのちに再設置します。今度は引っ掛かる事もなく、すんなり底まで収まりました。ステーを固定する際にハウジングが歪む事も、ボルトが浮く事もありません。先程までの苦労が嘘のようです。やはり事前の寸法確認(と調整)は必須と再認識しつつ、固定した後、端子を接続(プラスが先)して、腐食防止のためにグリスアップして取り付け完了。一通り動作確認等をしたところ、メモリーバックアップは正常に動作していたらしく、諸々の設定は全て保持されていました。というわけで、修正完了です。


しかし疲れました。まさかバッテリーの形状面でこんなひどい相性があるとは。。。互換性については、大手メーカー製だからと高を括らず、個別によくよく注意して調べておかないといけないという事ですね。迷ったら国内メーカー製、というのがやはり無難でもあるんでしょう。ただ、マツダ車は欧米でもよく販売されていて、mazda2ことデミオもそれは同様の筈なのに、何故にこんな国内特化的な仕様になっているのでしょう。緊急でバッテリーを交換しなければならなくなった時に海外品しかなかったら困った事になりそう、と言っても、全く取り付けられないわけではないから、そこまで致命的な話でもないという事なんでしょうか。謎です。というわけで、ひっかかるものを感じながらも色々と反省しつつ、今回はこれでおしまい。

(追記)

バッテリー交換後はi-stopのリセット等をした方がいい、という話を聞きまして。公開されているシークエンスに従って作業をしてみたんですが、何故か上手く行きません。アイドリングストップは普通に動作している様子なので、さしあたり問題があるわけではないのですけれども、アイドリングストップの動作回数等に応じて警告が出る仕様になっているというし、少し落ち着かない気分です。どうしたものか、と思案中。素直にディーラーに行けばいいって話なのかもしれませんが、ここまでやったのだから自分で何とかしたい気持ちも。うーん。

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2/11/2017

[note] 2台"同時"操作可能な変態キーボードTK-DUX51BK

久々にキーボードを購入しました。店頭で触ってみて、タッチが気に入ったので。

型番はTK-DUX51BK、ELECOMが販売しているDUXという安価ながらプログラマブルなゲーム用入力機器シリーズのうち、USB接続とは別に無線接続機能も備えていて2台同時に操作出来るという、ちょっと聞いたことのない変わった仕様を持つキーボードです。

箱はこんな感じ。素っ気ない段ボール箱です。


 本体。赤い編み込みで被覆されたケーブルが高級感を感じさせます。と言っても見た目だけな感じではありますけれども。


 無線接続用のドングルは、裏面にひっそりと嵌め込まれていました。


本機は、厳密に言えば店頭販売されているのとは型番の数字の一桁目が異なる(店頭販売だと"0")別機種なのですが、キーの形状や構造は同じ、ということで。何でも、一桁目が"0"のは同時押しの対応範囲がエリア限定なのに対し、本機種等"1"のものは全キー同時押し対応なんだとか。その差は、ゲームに使うなら強い意味を持つんでしょうけれども、ゲームをやらない私には関係のない話なのです。

なので、私としてはどちらでも良かったんですが、何故か上位版の筈の"51"の方が実売価格が安いのですね。同時押しの仕様以外の差異は化粧箱入りか否か位なのですが、その箱代という事なんでしょうか。店頭販売されているのは専ら"0"系な辺り、パッケージングはそれなりに大事という事なんでしょう。無地の段ボール箱だと、アウトレット的な感じが漂いますし。

なお、型番の数字の2桁目が"3"のモデルもあるんですが、こちらは無線接続がないモデルで、当然ながら一台だけしか操作出来ません。別にこれでも良かったんですが、これがまた不思議なことに"51"と実売価格が殆ど変わらないのです。なら、2台同時操作機能がある方がいいかな、と。

で、一通り使ってみた感想ですけれども。いいですねこれ。まず何よりも重要なタッチについては、ストロークは深めで加重はかなり軽い部類です。押し始めに軽い抵抗があり、その後スコッと抜ける感触というか。ラバードームのクリック感はあるけれども、抵抗が小さいため、パコパコというよりはシャカシャカに近い感じのタッチです。キーを押す際、ひっかかりや軋みは感じられません。押す角度がズレても大丈夫。その加重の軽さと相俟ってストレスは非常に小さく、疲労しにくい、従って文章作成やプログラミング等、長時間の入力作業に適したタッチのキーボードと言えるでしょう。とても良いです。

ただ、メンブレンスイッチである以上、キーを押し込み切る必要があるところ、ストロークが深い点は速度面で多少なりとマイナスに働く事は間違いないし、キートップは若干狭めのデザインなので、その辺が合わないという人もいるかもしれません。あと本体に鉄板等は入っておらずとても軽いので、ストロークの深さも関係してかガタガタと揺れ易い点も、剛性や安定感を求める向きは不満を感じる事もあるでしょう。

キーボードとしてはそんな感じです。疲れにくさを重視するというか、とにかく軽くてストレスの少ない、昔の富士通製に似たようなキーボードを求める向きには、一つの選択肢となり得るかもしれません。

次に、2台同時操作機能についてですけれども。こちらも悪くないですね。ただ、2台同時操作と聞いて、KVMのようにボタンで操作先を切り替えるような使い方を想定していたところ、デフォルトではそのような使い方が出来るようにはなっておらず、設定にちょっと手間取りました。

というのも、"2台同時操作" というのは文字通りの機能だったのです。接続先の2台のPCをそれぞれPC1、PC2とすると、各キーを押した時に、PC1とPC2とに同時に入力がされるのです。で、設定ツールから、各キー押下時にPC1に入力される文字(もしくは実行されるマクロ)と、PC2に入力される文字(マクロ)をそれぞれ自由に変更出来るようになっている、というものでした。その設定は、本体右上部の5つのボタン(P1からP5)に対応して5セット(プリセット)設定出来るようになっていて、プリセット間の切替をそのP1からP5のボタンを押す事で行う、という仕様なのです。

デフォルトでは、PC1について各キーに通常のキーボードレイアウト通りの入力が割り当てられ、PC2については何も割り当てられていない(したがって、キーを押してもPC2には入力されない)状態になっています。私が当初考えたように、操作先を切替えて使う、という場合には、あるプリセットではPC1側にのみ入力されるように各キーを設定し、別のプリセットではPC2にのみ入力されるように各キーを設定する、というように、手作業で各キーの挙動を設定してやる必要があったのです。これは結構面倒でした。何せ、全キーについて、PC1側には無効を、PC2側にはレイアウト通りのキーを、といったように一つずつ割り当てて行く必要があるのですから。

そして、公式の提供しているマニュアルはとても不親切です。KVMのような使い方をするには、上記のようにプリセットを設定するのだ、という事を理解するまで、結構な試行錯誤を必要としました。もっとも、各キーを押すと2台同時に入力が飛び、かつその入力内容を対象別に任意に入れ替え可能、などという仕様自体が例のない、おそらくは誰も想定していないだろうものなので、たとえ親切かつ丁寧な記述がなされていたとしても、理解出来るまではそれなりの時間を必要としただろうとは思うのですけれども。本当、どうしてこんな仕様に、というか、どういう意図で作ろうと思ったのか謎です。

ともあれ。設定出来てしまえば、これは中々に便利です。普通に一台のキーボードで2台を操作する事が出来るのだから当然ですけれども。設定は面倒ですが、その手間をかける価値は十分にあると言えるでしょう。ただ、あまりに変態的な仕様である事も間違いありません。世の中で、このようなキーボードを求める需要がそれほどあるとは考えづらく、果たして何時まで販売を継続出来るのか、と懸念を抱かざるを得ないのです。タッチは秀逸と言えるレベルにあるだけに、出来れば末永く販売され続けて欲しいとは思うのですけれども。さて。

[note] バッテリー充電器の故障したスイッチを修理

ちょっとした修理をしたのでメモ。

何かというと、車のバッテリーを交換をする事になりまして、その交換用のバッテリーを調達したんですが、電圧を測ってみたところ、12.5Vと問題ないレベルではあるものの、ちょっと低めというかギリギリな感じでして。目的の車がアイドリングストップ車という事もあって、念のため補充電をしておこうと思ったんです。

で、以前から持っていたBAL(大橋産業)社製のNo.1734というバッテリーの充電器を久々に引っ張り出して、充電しようとしてみたんですが、これがうんともすんとも言わないんですね。電源が入ると[待機]になって、本来ならボタンを押すとモードが切り替わると同時に充電も開始する筈なんですが、[待機]のまま。で、ちょっと調べてみると、この充電器はボタンが壊れやすいんだとか。というわけで、ひとつ直すかとなったわけです。

まずは分解します。ここで背面のネジを外すんですが、6つあるネジの半数が三角ネジです。もう半分は普通のプラスネジ。何故そんな中途半端な。。。と疑問を感じるものの、問題は三角ネジ用のドライバーが手元に無かった事でした。このためだけにドライバーを買いに行くのはいささか面倒だし無駄でもあるだろう、と思い調べてみると、そこかしこでラジオペンチで代用出来ると言っています。ものは試し、とやってみると、見事にナメてしまい回りません。あてにならないなあ、とがっかりしつつ、やはり面倒になったので、三角ネジは潰しても半分は残るしいいか、とドリル+エキストラクターで強引に外してしまったのでした。

で、開けてみると、当然ながらボタンは表側なので、まだアクセス出来ません。さらに悪い事に、左右の電源ケーブル(片側はAC、もう片側はバッテリー端子)がケースに固定されていて、基盤自体もケースと一体化しているという、修理屋泣かせな構造になっていたのです。


どうしたものか、としばし悩み、一旦ケーブルを切る事も考えましたが、左右のケーブルのケースと基盤の間に若干遊びがある事から、基盤をひっくり返すだけなら切断せずとも出来そうだと気付き、ケースと基盤が破損しないか冷や冷やしながら強引に引きずり出してひっくり返したのでした。


ようやく問題のスイッチにアクセス。タクトスイッチですが、ボタンが高いタイプです。手持ちの部品はボタンが低いものしかなかったので、交換は諦め、このまま分解してスイッチ自体を修理する事に。


スイッチ上面の四隅のリベットの頭を削り、金具を外します。


スイッチの金具にアクセス。


ひっくり返してみると、金具の裏側が腐食し、青サビが浮いていました。おそらくはこれにより接触不良を起こしていたのでしょう。


というわけで、錆を削ります。


後、本体側の接点も磨いてから、元に戻します。


スイッチと金具を戻し、接着剤で固定。接着剤には、瞬間ではないもの(クリヤーボンド)を使用しましたが、特に問題なし。


基盤とケースを元に戻して、出来上がりです。スイッチが復活し、充電出来るようになりました。


めでたしめでたし。しかし、電子機器が故障した時に、実はスイッチが原因なケースって非常に多いですよね。修理が容易なのはいいんですが、その前に故障しないようにする事は出来ないのでしょうか。可動部はどうしても経年劣化の影響を受けやすい事はある程度仕方ない面はあるのでしょうけれども、主要部分の機能は問題ないのに、ただスイッチが効かないというだけで全く使えなくなり、多くが廃棄されてしまう、というのは、やはり馬鹿馬鹿しい話だと思うのです。ともあれ、今回はこれでおしまい。

[過去記事 [note] 壊れたマウスのスイッチを交換修理]
[過去記事 [note] IH調理器の壊れたスイッチを修理]

2/07/2017

[PC] Ubuntu上でaptをリセットする方法について

今回は、Linux(ubuntu)上でのちょっとしたworkaroundです。

先日、16.04LTS(64bit)上にAndroid Studioをインストールする機会がありまして。そのインストール自体には問題なかったんですけれども、その後使い始めた後に問題が発生してしまったんです。何かというと、OSが64bit版の場合は、エミュレータ作成・管理の際、AVDのsdカード領域作成モジュール(mksdcard)を実行する際に32bit版のライブラリが必要になるんですが、当該PCは、何故かこのライブラリのインストールに失敗するようになってしまっていまして。その対処をしたのでメモ。

具体的には、下記のようにライブラリをインストールしようとすると、

$ sudo apt-get install lib64stdc++6:i386 zlib1g:i386 libncurses5:i386

こんな感じのメッセージがズラズラと出るのです。(一部抜粋)

 libstdc++6:i386 : 依存: gcc-5-base:i386 (= 5.3.1-14ubuntu2) しかし、インストールされようとしていません
 zlib1g : 依存: libc6 (>= 2.14) しかし、インストールされようとしていません

普通ならこの辺の依存関係はaptの側で自動的に解釈して、必要なものはまとめてインストールするなりアップデートするなりしてくれるんですが、何故かそれをしてくれません。"しかし、インストールされようとしていません"って、何他人事みたいな言い方してるの?どうしろっていうの?と途方に暮れざるを得ない状況になってしまったわけです。

なお、apt-get(もしくはapt)ではなくaptitudeだともう少し親切で、一時的にバージョンを固定すれば大丈夫云々、等と解決策らしきものを呈示してくれるんですが、それを実行(yesを選択)しても何も起こらず解決しません。馬鹿にしてんのかと。

他にも色々と試行錯誤して理解したところは、結局、aptのキャッシュやらが壊れてしまっていて、aptの側では対処不能になってしまっている、という事でした。このままだと、必要なライブラリをインストールする事が出来ませんから、エミュレータを作成・起動する事が出来ず、従ってセットアップを完了する事が出来ません。困りました。しかし諦めるわけにもいきません。

というわけで、色々と対処方法を探す羽目になったのです。で、結論から言えば、キャッシュをリセットする事で、一旦依存関係等を初期化すれば良いのです。その手順は以下の通りです。

[aptのリセット手順]

・ソースリストの削除(バックアップ作成)

 $ sudo mv /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list_backup

・再設定

 $ sudo -i software-properties-gtk

 で起動されるaptのソース設定画面から、取得対象範囲等を再設定します。
 
 [Ubuntuのソフトウェア]
  main,universe,restricted,multiverseから選択
  ダウンロード元を[日本のサーバー]等に設定

 [アップデート]
  重要なセキュリティアップデート、推奨アップデート等を選択

・アップデート等実行

 $ sudo apt-get update
 $ sudo apt-get upgrade
 $ sudo apt-get dist-upgrade
 $ sudo apt-get autoremove

これで完了。しかるのちに、上記のi386関連ライブラリのインストールコマンドを実行すると、今度は問題なくインストールすることが出来たのでした。その後は特に問題なし。やれやれです。

しかしこの手の管理情報が壊れた場合の対処法って、往々にしてシステムの再インストールとかそういう乱暴というか無茶な話になりがちなのは、どうにかならないものでしょうか。本件で対処法を探している時にも、とあるフォーラムに寄せられていた同様の事例を見かけたんですが、色々と試行錯誤をした挙句、結局相談者からOSを再インストールしたら直った、との報告があり、それで終わっていました。そんな手段を取り得るのは、殆どシステムを使っていないような特殊なケースに限られるし、大半の場合は解決方法になり得ず、要するに対処を諦めるに等しいものだと思うんですが、普通に多いんですよね。困ったものです。ともあれ、そんな事にならずに済んで一安心です。やれやれ。というわけで、今回はこれでおしまい。