米大統領選が先日の英国でのEU離脱国民投票と似たような展開になってるようで、各種市場関係者を中心に阿鼻叫喚な感じですね。いや、稼ぎ時だ、とか言って逆に喜んでる人も多いのかもしれませんけど。
半数程度が決定した段階では、予想に反してTrumpが健闘、というより優勢です。同時実施中の議会選の方は明らかに共和党の勝利に傾いている、という事もあり、現時点ではTrumpの勝利の可能性が相当に高いものと予想されています。これにより、基本的にClintonの勝利すなわち現行路線の踏襲を予想し織り込んでいた各界は強制的に修正を迫られ、大混乱に陥った、というわけです。
このままTrump政権が成立すれば、広く長く世界中の政財界が未曾有の大混乱に陥るだろう事は明らかであって、同氏が従来から具体的かつ建設的な政策を殆ど呈示して来なかった事からすれば、少なくとも経済的には当面マイナスの影響が見込まれるわけで、当然ながらロシアを除くほぼ全ての諸外国にとっては歓迎出来ない結果であり、その損失回避あるいは軽減を図るべく頭を悩ませる事になるでしょう。なのですが、しかしその選択もまた英国のそれと同じく、米国民の固有の権利を行使した結果である以上、他者が異を挟む権利はなく、米国そのものの決定として受け入れざるを得ないものなのであります。
これはあれですね、現実に起こり得る可能性がある限り、その中で最も無さそうに思われ、かつ多数が望ましくないと考える結果が往々にして現実になってしまう、というやつですね。それを防ぐには、あらかじめ可能性を0にしておかなければならないのだ、という。ビジネスの現場なんかではよくある話、とはいっても普通は繰り返している内にいつかは起こるという統計的確率の話で、今回のような2者択一で可能性が低く見積もられていた側が予想に反して現実になるというのはさほど頻度は高くない筈なのですが、よりによって米国の大統領選でそれが起こってしまうとは。いや、まだ可能性がそこそこ高くなったというだけの段階ですけれども。
それはそれとして、為替はじめ市場のボラの高さは何とかならないものなのでしょうか。数時間で5%以上の幅で上下するとか、価格調整もクソもない単なる賭場と言わざるを得ない惨状なわけで、最初から投機目的の向きはともかく、それ以外にとってはそれで被る損失はあまりに大きく、迷惑というだけでは済まないと思うのですよ。まあ、途中経過に左右されて混乱する事は目に見えていたのだから、この日の取引はあらかじめ避けるのが適切なのでしょうが、そうするわけにもいかない向きもいるわけですから。困ったものです。
ともあれ、どのような結果になるにせよ、自分の周囲や政府がトチ狂ってしまったりする事のないよう願いたいところです。もっとも、Trumpが当選した場合には、彼の基本ポリシーが外国人の排斥であり、日本もその範疇に含まれるだろう以上、問答無用で排斥される可能性は高いだろうし、そうなったとしてこちらから何が出来るというわけでもないのでしょうけれども。
(追記)
Trump大統領誕生だそうです。悪夢が現実のものになってしまいました。あっちもこっちも大変です。アメリカは何処へ行ってしまうのでしょうか。
なお、今回"予想外"の結果になった原因は、各種メディア等の予想の基礎データすなわちオンラインによる統計調査におけるモデルの設定と母集団の選別に不備があり、現実の有権者の分布と乖離していた事が原因のようです。すなわち、この種の調査は通信手段等の有無により母集団の抽出に際して元々都市部への偏りがあったところに、Hillary支持者は都市部で圧倒的で調査に応じる率も高い一方、Trump支持者は地方に多く、またネットを利用しない層が多かったために、オンライン調査等による推測は本来的に困難なケースだった、という事なのでしょう。要するに、統計的調査の方法の誤りが今回の"予想外"を生んだ、というわけです。これは、英国のEU離脱の際にも見られたものですが、メディアはその辺を全く反省していなかったという事なのでしょう。困ったものです。
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