遅かれ早かれだとはわかっていましたが、起こってしまいました。
Floridaのハイウェイ上を自動モードで走行中、側道から入ってきたトレーラーを識別出来ず、そのまま減速せずに突っ込んで大破し、運転手は即死したそうです。
具体的な理由は色々あるんでしょうけど、限定的・理想的な環境条件の元でしか挙動を保証出来ず、開発時に十分に想定していない事象に対して誤認識もしくは認識不能を起こし、それによって人間ではあり得ないような挙動をしてしまう自動認識技術の脆弱性、それがオープンな環境において当然に露呈したものには違いないでしょう。必然の結果と評価する他ありません。
一応、建前として自動運転は補助機能につきその機能を使用した運転手の責任、という事にはなっているのですけれども、自動運転中、それも高速走行中に常に注意を払うというのは現実的に期待し得ないものであるわけで、実質的に見れば当然その責任はメーカーにある事に疑問の余地はないように思われるところです。
おそらく世界中で最も自動運転車の実適用に積極的な同社には、技術面で未熟にもかかわらずあまりに投入を焦りすぎていると危惧の声が上がっていたところですし、いい繕いようもないでしょう。ちょっと前には、自動駐車の逆的なガレージから自動で出てきてくれる"summon"機能が誤動作して、これまたトレーラーに勝手に突っ込んだという事故がありましたけれども、幸い無人だったので物損で済み、それほど深刻には騒がれませんでしたが、今回は死亡事故です。白っぽいから反応出来なかった、とかそんな言い訳が通る筈もありません。そんな製品を作ったエンジニアも、搭載を決定した経営陣も、自分たちが殺人に等しい罪を犯したのだと知るべきです。少なくとも、遺族はそう言って非難するでしょう。
おそらくは社会や当局からは自動運転機能は欠陥機能につき廃止せよとの声も上がるでしょう。そうでなくともユーザーは怖すぎて使えなくなってしまいますから、機能も価値も激減します。損害賠償の訴えにも発展するのではないでしょうか。何かにつけ自社の非は頑として認めない事で有名な同社が、この逃れようのない失態に対しどう対応するのか、流石に観念するのか、要注目なのです。
しかし他のメーカーも冷や汗ものでしょうね。自社じゃなかった事で安堵はしつつ、自社製品でも普通に起こりうるだろう事も分かるでしょうから。 これで自動運転自体が縮退する格好になるのか、もしそうなら、ここ数年で本機能の開発につぎ込まれた莫大な人的・物的投資が一転して大変な負債になってしまうわけですが、さて。
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