1/07/2015

[biz] 羽田空港のNEC製鳥検出システム、機能せずゴミに

2年ほど前羽田空港に導入された鳥の自動検出システムについて、著しい誤検出・検出漏れのために事実上放置状態にある旨報道がなされていますね。それで空港がどう対処しているかというと、昔ながらの人的対応すなわち目視による確認に戻ってしまっているそうです。

当該システムはレーダーと監視カメラを用いた、ごくスタンダードな画像認識ソリューションです。ベンダはNEC。一応当時世界初という事で、プレスリリースも発行されました。今となっては、世界初というのは単に技術的に可能な機能に需要が無かっただけの事だったのだろう等と思えてしまうのですが、それはともかく。価格は一式およそ10億円。元々の機能・機器構成の割にいささか高価な感があった本システムですけれども、価格に見合うどころか最低限の働きすら出来ずに粗大ゴミと化す惨状を晒したわけです。しかし飛行機を鳥と間違うとか、どういう事なの。。。

この手の自動認識システム、メーカーの建前を真に受けて導入したところ、いざ実運用してみたらエラー頻発で使い物にならない、なんて事はよくある話ではあるのですが、用途が用途だし、そこそこの額の公金を使った案件でもあるために、社会的にそれ相応の落とし前を付ける必要はあるという事でしょう。こうして世間の批判に晒される運びとなってしまいました。直接の担当たる羽田空港の関係者、またおそらくは関与しただろう国交省の面々にはいい恥さらしですね。

といって、彼らもおそらくはNECの誇大広告的セールストークに乗せられてしまったところはあるでしょうから、多少は同情する余地も無いではないのかもしれませんが。しかしそれ以前にも顔認証等で散々に引っ張りまわされ、税金を搾取された挙句に白を切られておきながら、の話でもあるわけで。学習能力が絶望的に欠けているのか、逆に救えない程にNECと癒着していると言う事なのか、それともその両方か。いずれにしても関係者は須く救い難いまでの愚か者揃いだと言う他無く思われるところです。実用に耐えるか位、導入する前に検証しておけば回避も出来たでしょうにね。やれやれです。

先日お手盛りの実証実験で無理やりお墨付きを出し、さらに巨額の税金を注ぎ込んで導入される見込みとなった所の顔認証システムについても、実用に耐える能力が無いだろうハリボテ技術な点では同じですし、その結果もおそらくは本件と類似した帰結に至る可能性は非常に高いものと予想されます。問題は、その影響の及ぶ範囲、程度が共に本件とは桁違いに広くまた深刻になるだろう点でしょうけれども、それでもNECは無責任を貫くのだろうでしょうか。きっとそうなるのでしょう。想像するだに暗鬱たる気持ちにならざるを得ないのです。

しかしねえ。この手の話って、どれも紛う事なき詐欺なのに、何故繰り返し起こっては何事も無かったかのように見過ごされるんでしょう。いい加減予防なり事後罰なり、司法による歯止めが掛けられて然るべきだと思うのです。さしあたっては、国交省は本件に関してNECに損害の賠償を請求する位はして頂きたいところなのですが、さて。

ちなみに、本件システム導入時のプレスリリースはこちら。アレもコレも出来ると言いつつ、具体的な検出率とか性能に一切触れてない辺り、確信犯的でとてもテンプレな感じです。
NEC、鳥位置検出ソリューションを国内外で販売開始

10億円かけた羽田の鳥衝突防止装置、機能せず

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