12/11/2013

[law] 最高裁が元女性な夫と人工授精児間の父子関係を認定

うへえ。性転換した夫と、他人の精子を用いた人工授精による妻の子との間の父子関係が争われていた審判訴訟について、一審二審ともに棄却の判決がなされていたところ、最高裁でまさかの判決破棄、父子関係認定の決定が下されたのだそうで。

小法廷での判決、しかも裁判官五人中の二人までが反対するという、極めて怪しい判決ではありますけれども、最高裁の判例が出来てしまったという事で、当面はこれが公的な法の立場という事になるんでしょう。しかし、この判決は、単に個別の親子関係に関する審判に止まらず、生物的な事実と真逆な関係を法的に認めるものであり、性転換者のみならず、一般の血縁関係の概念、すなわち生物的、物理的な事実にその基礎を置いていた筈の諸々の法的実体の概念、その基本的な構成自体を転換する意味合いも必然的に含まれる以上、その影響は尋常ではなく、最高裁の決定と雖も、これを以って終わりとなる筈もないわけで。既に各方面で異議の声が挙がっているのも当然の話、個人的にも極めて強い疑義を禁じ得ません。

既に決定中の反対意見にもある通り、生物的に親子ではない二人の人間の間に血縁を認める事は出来ない、それは明らかです。"血縁"という言葉の定義から殆ど自明と言ってよいでしょう。判決の理由には、男性として婚姻を認める以上、生物的な事実とは無関係に嫡出の推定は働かせるべき、としているそうですが、論理的な妥当性があるとは到底言えないでしょう。

そもそも血縁がない事実が明らかなところに、その"推定"などありえないし、生物的な事実関係を無視する点についても、そんな暴論が通るのなら、再婚者の嫡出否認規定はじめ、およそ法において人間の生物的な性質に基づく膨大な規程が全て無意味という事にもなります。どう説明をつけるつもりなのでしょうね?というか、裁判官は人間を何だと思っているのでしょうか。科学的に理解された生物的な性質、その制約を超越した空想上の存在とでも言うつもりなのでしょうか。全く以てわけがわからないわけですが、どう捉えればいいんでしょう。困りました。

性別変更の元女性と精子提供で産まれた長男は父子 最高裁

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