尖閣諸島・魚釣島に上陸した香港所在の民間活動家7名の内5名が沖縄県警により入管法違反容疑で逮捕された件、その原因たる領土問題の状況、構造自体には実質的にさほどの影響もないんでしょうけれども、これを切掛に類似の行為が増加する可能性が高く思われる事、またそれに応じて対応手段も過激化し、双方に深刻な被害が発生する可能性も高まるだろう、その意味で非常に残念な結果と言うべきもののように思われます。
海上保安庁の対応としては、勿論上陸を許した過失は小さくなく広い方面からの非難は避け難いでしょうけれども、上陸後の逮捕というのは入管法により容疑者を起訴のち刑罰に服せしめる事が出来るのですから、単に妨害のち帰還させるのに比べて抑止効果は高くなる筈だし結果としては必ずしも悪いものとも言えないでしょう。法定刑は入管法第七十条により3年以下の懲役もしくは300万以下の罰金、悪質につき執行猶予はつけるべきではない事案、公平に処分されれば2年程度か、相当に重いものになるでしょうから、実際の社会的なインパクトもそれなりに期待出来そうです。それが過激化に対する歯止めになってくれればいいのですが。
もっとも、これから以前の衝突事件のように政治的措置により不起訴処分のち送還などという事にならなければ、ですけれども。早速中国外務省からは何やら要請が入った様子ですし、現政権が衝突事件の時と同じアレですから、おそらくはまた同じ様に処理しようとするんでしょうけれども、流石に今回は相当に世論の反発を受けるでしょうし、さてどうなることやら。
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さらに9名逮捕、こちらも同じく入管法違反容疑ただし前者が不法上陸に対しこちらは不法入国。実質殆ど差は無いようにも思われますが、量刑に違いはあるのかどうか、少々気になるところではあります。
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何か、余罪が無いから起訴出来ず送還、というような話が大っぴらに流れていますね。これは入管法第六十五条の入国警備官引渡規程を念頭に置いた話なんでしょうけれども、本条は引渡すことができる、とする任意規程なのだから、不起訴処分とする根拠にはなり得ないのに何故そんな話になってるんでしょうか。しかも公務執行妨害も器物損壊も共に疑われる行為があった事が明白にも関わらず。メディアは多分に条文を正確に認識していないか知ってあえてミスリードを狙っているのかのどちらかなんでしょうけれども、県警、検察、入管の三者ともが端からその線で動いている様子なのは全く以て不自然と言わざるを得ません。そのように処理するよう予め政府側から指示があったんでしょうけれども、正当な法の執行がなされない事には遺憾な限りです。