前期の超絶赤字に続いて四半期で自己資本の半分近い損失を計上し、事業の見通しもお先真っ暗、Like a rolling stone的な転落一直線の最中にあるSHARPですが、悪い事というのは連鎖するもので、株価の急落を受けて、ほぼ唯一の救いの手であった筈のhong-hiが出資契約の無効を主張し出したんだそうで。
そりゃ出資予定額の三分の一近くまで株価が落ちているのだから、未履行でもあるし出来れば見直しをしたくなるのは無理からぬところで。一方のSHARPは無効合意を否定しているとの事で、これまた当然の態度ではあります。只でさえ資本が枯渇しつつあるところに増資も無しとなっては洒落になりませんからね。そして法的な話をすれば、契約自体は成立していた筈ですから、本件についてはSHARP側の主張が正しく、hong-hi側には当該価額での出資義務があるのは明らかなところで、本来一義的にはhong-hiの債務不履行が非難されるべき話のように思われます。
しかしそうは言っても、SHARP側は深刻な経営危機にあって救済を乞う立場、しかも独立維持のためにhong-hiとの関係を拗らせるわけにはいかないという大きな弱みがあるわけで。出資を減らすわけにはいかない、一方でhong-hiの逆恨みを買うわけにもいかないし撤退されるのも論外と、真っ向から矛盾する制約の間で進退極まった恰好で、非常に厳しい立場に追い込まれてしまいました。
今後の行く先については、仮にhong-hiの出資が履行されたとしても、それ以上の損失があってさらに増資が必要な状況には変わりなく、かつhong-hi以外の有力な出資候補が見当たらない以上は、どちらに転んでもhong-hiに吸収される可能性が極めて高いんでしょうが、さてどういう経路を辿るか。あるいは可能性は低いけれども、リストラに成功して規模を縮小しつつも自主存続に成功するのか。非常に興味深いケースで目が離せません。もっとも嫌でもニュースが目に入ってくるわけですけれども。さてさて。
まあそもそもの話をすれば、hong-hiがその利益を最大化する動きを取ればSHARPにとっては悪意側に動く可能性が高かった事は明白だったのに、それを甘く見たというか自分に都合良く解釈して縋った時点でもう詰んでいたんでしょうけれど。行き着くべき所に行き着いた、それが少々早かったというだけの話なんでしょう。哀れなものです。
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