検討中の面々が、そもそもウィルスが何か理解していないであろう、とかいう喜劇的な状況はまあ置いておいて。今までのと違う所と言えば、単なる作成保管が俎上に乗ってるのがキモですね。
とすると、ここでまず、というか根本的に問題になるのは、本件の文脈におけるウィルスの定義であろうと思われます。作成保管した段階で判断できる要件にしなければいけない、となると、厳密かつ具体的に定義しなければなりませんからね。
一般的な定義で言えば、「自己複製機能とそれによる他の計算機への感染機能を持つプログラム」、という事になる筈ですが、これだとちょっと広すぎるのと、そもそもの行政側の立法動機である所の機密保護を達成する事は出来ないであろうわけで、きっとそちら向けの定義にしようとする筈であります。
情報保護目的の定義というのは色々考えられますが、個人情報保護でも使われるような既存のパターンで行くなら、「情報管理者の承諾を得ずに情報を取得する機能を持つプログラム」とかいうニュアンスで検討してくるでしょう。これは極論的な可能性の一つに過ぎませんが、仮にそういう路線で行くとなれば、大騒ぎになるのは間違いない、というかソフト業界に対する強力な規制となるわけで、その辺から反対喰らって、おそらく成立しないでしょう。
代表的な所の上記2案の定義はいずれも無理筋であろうわけです。すなわち、立法的に機密保護と規制回避を両立しなければならない事案なわけで、とすると、例えば上記2案の中間的なものでなければならないわけで。
というような話になると、これは難しいでしょう。おそらく今現在、解はないであろうし、また憲法論も巻き込んで、スパイ罪云々とか、あらぬ方向へと場外乱闘を繰り広げつつ、百害あって一利なし、な話になるであろう、とここまで予想して、まあいつもの事か、と、諸行無常を感じたりしてしまうのであります。しかし今日は冷えますね。
ネット犯罪対策強化、ウイルス作成罪創設へ