7/29/2014

[biz law] 特許庁新システム案件、完成予定2022年で仕切り直し

ようやくというか、結局白紙撤回で決着。システム開発の完全な失敗に加えて受注時の賄賂攻勢とそれに絡む不正会計まで発覚した東芝ソリューションズの特許庁案件、コンサル契約のアクセンチュアと合わせて約56億円を返還して無かったことにする運びになったそうで。

損害賠償はどうした、という疑問はさておき。同時に発表されたやり直し案件のスケジュールは完了が2022年という。元々が2006年の入札で2011年1月稼働の予定だったところに、さらに2倍程の時間をかけて段階的に構築・移行する算段という事になります。

そんな長期計画にして大丈夫、というか可能なんでしょうか。いや、5年では無理だったからそれ以上の時間をかけるというのは概ね自然な帰結だし、その期間を前提に考えると段階的にやらざるを得ないのもまあ当然と言えなくもないと思います。が、そもそも的な話、いくら何でもそんな遥か先にゴールを設定しても、社会は時々刻々と変化するわけで、とりわけ知財関係なんて変動の激しい分野では、そもそもの特許制度自体が変わってしまう可能性が極めて高い事もまた明白なのです。特許庁自体が改組される可能性も相当にあるし、TPPのような他国絡みの話もあるし。ベースになるアーキテクチャやシステムの基盤技術も変わりますし。

もちろん、そういう状況の変化も込みで想定して、適応的に運営していく前提のプロジェクトというのなら、まあいいんじゃないかというかむしろ妥当だとも思うわけですが、残念ながら官僚連中にそんなプロジェクトを推進する能力があるとはとても思えません。もしそれが出来るのであれば、そもそも現状のような酷い事態には至ってはいなかった筈なのですから。

やっぱり、NTTデータ(+富士通)とか日立あたりの営業的ポジショントークに流されただけとかそういう話なんでしょうか。実際問題それ以外に考えられないわけですが・・・。今回の件で失われた時間は数年、逸失機会は数知れず。しかし、これからの十年はそれにも増しての、おそらくは数百億規模の損失が出るだろう事は殆ど疑いようもありません。いい加減、もはや進歩の止まったITシステム如きに多額の公金を投じる慣行は廃止すべきだと思うんです。大抵のシステムは、とりわけ公共関係ならその予算も期間も10分の1位で十分なものが作れるでしょうに。ため息しか出ません。こんな資金も時間も浪費するばかりの体たらくで他国と知財戦争とか、ジョークとしても笑えませんね。

特許庁システム開発中断:東芝子会社など2社56億円返還