が言い渡されたそうです。加えて40万ドルの罰金。重いのか軽いのか判断しづらいですね。日本基準で言えば非常に重いと言えるでしょうが、米国基準なら軽いと言うべきでしょうか。一応、法定刑の上限だそうですが、何せ規模、悪質さ共に前代未聞でしたから、法が予定していなかったレベルの罪を既存の範囲内で最大限裁いた結果という事なのでしょう。
容疑者はOliver Schmidt、同社米法人のMichigan州の担当役員でした。容疑は言うまでもなくDieselgateの米国内での案件全般、すなわち米国向け同社製ディーゼル車につき米規制当局の排気ガス検査時にのみ動作し、通常走行時には動作しない排ガス低減装置・機能を搭載する事で検査を欺き、違反車両数十万台を米国内で販売して法令に違反した罪という事になります。
容疑者は逮捕後は容疑を認めており、4年以下の懲役と10万ドル以下の罰金への量刑の軽減を求めていましたが、通りませんでした。
有罪との判断、及び量刑については、その悪質さと規模、また同氏が独VWの子会社内とはいえ上級の役員であり、米当局に対し繰り返し虚偽を述べていた事等から、特に疑義を挟む向きもないようです。ただ、本件は元々本国ドイツのVW本社で計画され、そのBoschが担当したとされる装置や制御ソフト等の開発も同じくドイツで行われたもので、米国法人はそれらを米国で販売するにあたっての当局への窓口に過ぎませんでした。そして、現時点ではその主犯たる独VW本社の面々は訴追も聴取もされていないわけです。そうである以上、Schmidt氏が断罪されたからといって、本件でなされるべき責任追及は一段落したとすら言えないだろう事は明らかです。
しかし、独の面々はその政治力によって守られ、米国へのその身柄の引き渡しはおろか、ドイツ国内で訴追される見込みもありません。クリーンディーゼル自体を無かった事にするかのように、EV事業のアピールに邁進する一方で、その指示に従った米国法人の役員は長期に渡る収監を余儀なくされるわけです。Schmidt氏に同情する余地はありませんが、同氏が公判内で訴えたとされる、その本社の決定に従ったに過ぎないのだ、との弁解、またその裏にあるだろう心情には、氏自身の罪の内には収まらない理不尽と不公平を見出さざるを得ません。
Schmidt氏が本件訴追に至った経緯についても、ドイツ国籍を有し、国内に留まっていればその他の役員らと同様に逮捕されなかっただろう同氏が、"たまたま"Floridaへ旅行に訪れた際に米当局に逮捕された、というのです。その不自然さから、同氏をスケープゴートにしようとしたという類の本社の思惑を疑う向きもある程です。
同氏が逮捕された時は、これで芋づる式にVW本社周りにも追及がなされるものだと期待したのですが、結果は完全に逆、全く進んでいません。同社以外にも偽装が発覚した伊・仏の大手各社も同様で、訴追以前にまともに捜査さえも行われていない現状、それが示すEU周辺の政財界の想像を絶する腐敗ぶりに、愕然とせざるを得ないのです。どうにもならないのでしょうか。
ところで、本件で吹っ飛んだクリーンディーゼルの代わりとしてVWが注力しているEV事業は、同社の掛け声の強さにも関わらず、今の所全く売れる気配もなく、同社の思うようには全く進んでいません。おそらく同社に怨恨を募らせているだろう同氏には、それが小さくない慰めになっているのかもしれませんね。それで足りる筈もないのでしょうけれど。
Volkswagen Official Gets 7-Year Term in Diesel-Emissions Cheating
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