9/13/2016

[law] 東京中央卸売市場の豊洲移転頓挫に

東京都中央卸売市場の豊洲移転に際しての環境整備措置の瑕疵に関する虚偽発覚の件、まさにやっちまいやがった、というか、もうどうにもならないんじゃないかと。

具体的な経緯等については省きますが、土壌汚染の影響の完全な排除は、食品を扱う施設の性質上、元々反対意見の根強かった本件移転に際しての関係者間における合意の大前提であり、欠くべからざる主要素と言うべきものだったわけです。それが全く履行されていなかったというのだから、話になりません。これまでの議論、交渉のほぼ全てがお釈迦となりました。反対意見を持っていた向きは断固拒否等と態度をさらに硬化させるでしょうし、賛成側の中からも、信頼関係の前提が失われた、として姿勢を転換させる向きも当然多数出るでしょう。現実に汚染の影響が懸念されるのだし、むしろこの期に及んで移転の実施を表立って主張出来る者はいないのではないでしょうか。もしいるとしたら、余程の阿呆か、でなければ移転が実行されなければ破滅する類のポジションを取ってしまった人位でしょうか。勿論本件に絡んで後ろ暗い事をした向きは皆そこに含まれるんでしょう。逆に言えば、今現在、移転を主張・擁護する向きは、何らかの関与が疑われるだろうわけです。

その嫌疑のかかる筆頭であるところの東京都の担当部門は、完全に開き直って、コンクリート層が影響を遮断するため悪影響はない、とか愚かにもなし崩し的に現状の追認を得ようとしているようですが、論外と言わざるを得ません。それで足りるという主張が通るのなら、そもそも土壌の入れ替えも盛土の追加も必要とはされなかったでしょう。実際の影響の有無や程度はここでは関係ありません。その措置は市場関係者はじめ汚染の影響を懸念する向きの同意を得るための前提条件だったわけで、その前提条件が根本から虚偽であり、従ってそれらを前提としてなされた合意・同意はもはや無効となってしまったのです。大体、調査すら始まっていない現時点で、しかも専門家でもない都の職員らに、影響の有無など判断出来るわけもない、にも関わらず影響はない、と断言している時点でもう。。。その反省の欠片も感じられない愚かさ加減には、つくづく終わっていると言わざるを得ないのです。

さておき。これからどう始末を付けるのか。これが既に移転した後であったなら、既に業務を豊洲に依存している関係者はやむを得ず追認する他ない、という展開もあり得たのかもしれませんが、まだ移転前です。現時点では反対する関係者も少なくなく、移転の目処すら立たない状態になってしまいました。結局のところ、移転の実行は一旦白紙に戻さざるを得ず、合意形成もマイナスからやり直しという事になります。

本来なら全て取消にしてなかった事にしたい、と誰もが思うところでしょうけれども、モノ自体は既に作ってしまった以上、それも出来ません。一旦取り壊して建て直すにしろ、改修で対応するにしろ、追加の予算は少なくとも数百億にはなるでしょう。さてこの状況で、そんな予算が通るものでしょうか。通らなければ、移転計画自体が破綻する事になってしまうわけですけれども、しかしだからと言ってどうなるものでもありません。

まさに取り返しの付かない八方塞がり。つくづく馬鹿な事をしでかしてくれたものです。せめて犯人は血祭りに挙げられなければ収まりが付かないだろうところ、直接の実行犯が都の担当部門とその受注業者である事は疑いようもなく、そこを中心にこれから多数の関係者に広く苛烈な突き上げが当分の間続く事になるでしょう。ただ、職員らの独断でやったにしては犯行の規模・態様がいささか大きくかつ大胆に過ぎるようにも感じられますし、少なからず議員ら上位決定権者の関与も疑われるところではあります。その辺は、皆が揃って責任回避・押し付け合いを試みているところでしょうけれども、そこはどんどん仲間割れに勤しんで、最終的には全員諸共に地獄に落ちてもれなく責任を取って頂きたいと心から願う次第です。

一般市民としては、食品が総汚染となる前に露見したところだけはかろうじて評価出来る位でしょうか。それも消極的な評価というだけなのがなんとも。