2024衆議院選挙が終わりました。結果は事前の予想通り、自民公明の与党の過半数割れです。
しかしこれは政権交代を必ずしも意味しません。とりわけ維新と国民民主の2党は立民や他の野党と様々な面で対立しており、連立政権の構築・運営には相当な困難が見込まれます。一方で、自民政権が続くとも言えません。今回の選挙の主たる性質、すなわち与党への不信任の結果として議席を得た野党各党が、その有権者の意思に明らかに反するだろう自民との連立を許容するわけにはいかないでしょうから。
と言っても、自公と立民の協力はおよそあり得ない以上、結局のところ基本的には二択です。自公+野党の一部の連立か、立民軸の全野党連立か。いずれにせよその成立は容易ではなく、仮に成立したとしても極めて不安定なものになるでしょう。離合集散が頻発する可能性は極めて高く、従来はよく起こったところの自公共以外からの一部議員の離党からの自民への合流での決着が今回は経緯的に困難な事も相俟って、相当の期間に渡って混迷が続くだろうと予想されています。
が、従来の与党、自公政権に明確に不信任が示されたのですから、それも致し方なしです。米英のような歴史に裏打ちされた政権交代の仕組みを育ててこなかった日本においては、政権の不信任に混乱や機能不全が伴う事は避け得ない、それは自明という他ないのです。
もっとも、それは必ずしも悪い事ではありません。おそらくは個々の議題毎に各々が是々非々で臨む事になるのではないかと思われますが、そうだとしたらそれはある意味、国会が本来の意味で機能するという事でもありますから。言うまでもなく大変な仕事ですが、国会議員には、その職責に耐えうる人を全国民の代表として選んでいる、筈です。少なくとも建前上は。高齢だから困難だとか、世襲だから能力が足りない等という言い訳は通用しません。もちろん経験不足とかいう泣き言も論外です。
当然ながら、内閣も作らねばなりません。首相は誰にするのか、大臣はどこからどう選ぶのか。政策はどう作るのか。野党がとりあえず一度は諸々飲み込んで連立するとして、即内部対立から不信任で再び解散、などという不毛な事態を暫くの間でも避ける事は出来るのか。首相公選制ならその心配の大部分は無用だったはずなのですが、日本がそれを承知で議院内閣制を採っている以上はどうにもなりません。制度の枠組み内で最善を追求する他ないのです。
ともあれ、今回選出された議員諸氏には、徒に感情や建前に固執する事なく、各々の課題・問題・議題に応じて、対話をもって譲るべき所は譲り合い、現実的で合理的な落とし所を見出すという議会と議員の本来的かつ基本的な仕事を粘り強く遂行される事を願います。
その結果、何も決まらない、行政の運営にも難儀する、というのであれば、それはそれで仕方ない事なのだろうと思うのです。その困難から逃げ続け、漫然と自公に政権を委ね続けた結果が今なのであって、その悲惨な帰結に直面し、国民として拒否の意思を示した以上は、どんなに苦しくとも立ち向かうべきなのだろうと思うのです。この先にどんな挫折や後悔があろうとも、あるべき姿を求めて努力を続ける、後戻りだけはしない、そういう強い意思を、議員ひいては日本国民が備える事を願うのです。斜陽の国、日本の先行きに幸いのあらんことを。