誰もがうんざりしてると思うんです。つくづく阿呆だなあと。倒産寸前のシャープの身売りの件なんですけれども。ここまで酷いと、教訓にすらなるのかどうか。
本件における鴻海の鬼畜さ加減は今更云々するまでもないとして、元より鴻海が信用出来ない事も分かり切ってたわけです。以前出資を検討していた際、株価が下がったからと言って契約を反故にする形で買い叩こうとして破談した件、あの常軌を逸した所業を忘れたって人の方が少ないでしょう。あれだけからしても、誠実さとか善意とか、およそ提携や合併をするにあたって欠くべからざる要素を欠いており、協業の相手として不適格な類の業者である事は明らかでした。それ以前に呈示する条件等も空手形ばかりになって実質無意味だろうし、まともに交渉する事すら期待出来ないだろうと。
誰もがそうと知っていた筈の相手に対し、直近のシャープ経営陣が決定したところの被買収の選択、しかも契約を交わす前に機構を切って一本化する、という判断は、率直に言って正気を疑わざるを得ないものでした。正式な契約すら後から反故にするような連中にそんな立場を与えたら、そりゃもう好き勝手されるに決まってんじゃないですか。対等でないどころか、相対的な優位ですらない。シャープ側に断るという選択肢が普通に存在した例の出資破談の時ですらああだったのに、今回はそれを遥かに超えて、鴻海の出資が無ければ即倒産な状況ですから、決定権を完全に鴻海側に渡してしまったものに他ならないわけです。目一杯足元見て値切るに決まってますし、さらに雇用の保障等、諸々の条件も事実上白紙に戻ったと言うべきでしょう。頭おかしいんじゃないの?と誰もが思う意味不明な判断だったわけです。
しかしもはや後の祭りです。シャープが切り捨てた段階で産業再生機構は完全に撤退してしまいましたから、 今更泣き付いてもどうにもなりません。機構や行政の側からすれば、シャープこそが信用ならない相手と見做されてしまっているのですから、不可能とまでは言わずとも、それを覆す事は非常に困難な状態なってしまっているわけです。
今後の取りうる選択肢は2つ+α。一つはこのまま鴻海の一方的な提案を飲んで大人しく食い物にされる道。もう一つは、債権者たる銀行を説得し、つなぎ融資を引き出して時間を稼ぎ、その間に機構や行政に泣き付いて救済を得る道。αは、流石にまず無いでしょうけれども、どちらも選ばず、大人しく破綻して民事再生に進む道。どっちを向いても地獄しか無いこの絶望的な感じは他人事ながら引きます。
完全にシャープの自業自得とは言え、転職せずに未だ必死にしがみついている社員の方々には多少なりと哀れに思う気持ちを禁じ得ません。どうするんでしょうね。ここ数年、経営陣の振る舞いは不誠実そのものだったのであって、あっちもこっちも舐めてるとしか思えないふざけた態度で振り回し続け、その無能の極みと言う他無い愚かな判断の数々も相俟って、甚大な被害、損失を撒き散らした挙句に行き着いた先がこれですか。それで損害を被り、あるいは人生を狂わされた被害者には刺されても文句言えないんじゃないでしょうか。ほんとに。
もっとも、最後の最後まで、その態度と判断の誤りっぷりは一貫していた、という事で、むしろ当然の帰結と納得すべきなのかもしれませんけれども。信用を捨て、信用出来ない相手に縋った結果なわけで、あれだけ滅茶苦茶やっといて、しかし最後は救済されて幸せになりました、というのもそれはそれで理不尽な気もしますしね。碌なもんじゃなかったのですから、その最後もそれらしく、その報いを存分に受けて、そのままさっさと退場してこの世から消える、というのなら、それはそれで妥当なのかなと。やれやれです。何にせよさっさと綺麗に片を付けて頂きたいものですね。
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