4/16/2015

[biz law] コンビニFC店主と本部間の労働関係及び店主組合との団体交渉義務認定

コンビニチェーンのフランチャイズ契約店の店主の作る組合が、労働組合法における労働組合であると認められたんだそうです。従って本部は当該組合と労働協議を行う義務があり、その拒否は不当労働行為にあたるとして団体交渉を行うよう命令も出されました。

今回対象となったのはファミリーマート。そのフランチャイズ店主約20名が構成する組合が、契約更新の条件等につき本部側に交渉を求め、本部に拒否された事から労働委員会へ救済を求めたところ上記のような判断・命令が出されたとの事。本件認定及び命令を出したのは東京都労働委員会。首都の委員会につき最大といっていいだろう高い影響力から、余程の事が無い限り以降は全国共通の公式見解という事になるのでしょう。

本件は言うまでもなく、相当に画期的な判断です。店主は個人事業者であり、形式的な意味での本部との雇用契約は存在しない事から、労働組合法に言うところの使用者と労働者の関係にはなく、団体交渉の義務も存在しないものとされて来ました。随分昔から、それこそコンビニチェーンの黎明期から、幾度となくFC契約店の店主が過酷な労働環境に陥り、それを問題とする指摘が上がれども、個人事業者の自己責任とされた結果本部に是正が促される事すらなく、実質的に放置され続けて来たわけですが、ようやくそれらを覆し、弱者たる店主が救われ得る道が開かれたわけです。

具体的には、フランチャイズ契約における本部と契約店主は、その店舗運営はおよそ本部の指揮下にあり、また本部の運営は店主の労務提供なくして成立しない事から、実質的に使用者と労務提供者の関係にある、と認定されました。素直に首肯し得る合理的な見解のように思われます。また、本判断はその高い一般性から、ファミマ以外のコンビニチェーンは当然として、その他業種にも広く適用されるべきものであり、より広く労働者の救済に資するだろう点からしても、尚更に歓迎すべき判断と思われるわけです。

といって、団体交渉はそれなりの割合の労働者が加入し規模を備えなければ有意な影響力を持ち難いものなところ、長年バラバラでやってきたFC店主達が団結するにも色々と困難も予想されるわけで、直ちにどうこうというわけにも行かないんでしょうけれども。行く行くは纏まるだろう、とは言っても、それまでに本部側がFC店潰しに走る可能性も懸念されますし。折角状況を根本的に改善する道が開けたのだから、店主側は目先の妨害に負けず、また焦ることなく、地道に連携を強めて行って欲しいものだと思うのです。そうすれば、遠くない将来には悲惨な話を聞く事も無くなる、とまでは行かずとも、相当に減る事になるでしょう。

本部側の抵抗は酷い事になるんでしょうけど。しかしまあ、労働組合が出来る時というのは何処でもそんなものとも言えるわけで。元々の労働規制が導入された経緯にしろ、個別の会社にしろ。そういう抵抗は見苦しいし、さっさと諦める方がすっきりしていいだろうに、と第三者的には思うわけですが、とりわけブラックな業界、会社ほど反発するものだし、これまでの業界の実態を鑑みるに最悪に近いだろうコンビニ本部とあっては、その種の経営側の例に漏れず、聞く耳持た合ずに合法不法取り混ぜて無茶苦茶やったりするんでしょうきっと。それはもうそういうものだと諦める他無いんじゃないかと。というわけで、その辺はすっぱり無視して、さっさと組合が構築され、逆に本部側が諦めるところまで行く事を願う次第なのです。そこまで行って、ようやく本来なすべき労働環境の改善に手が付けられる筈なのですから。

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